Messageごあいさつ

「質の高い臨床教育・研究の確保事業」は
医師の働き方改革に貢献することを目的としています――

事業統括者
大学院医学研究科長・医学部長
村上卓道

 このたび、神戸大学は文部科学省の令和5年度「質の高い臨床教育・研究の確保事業」に「ICTの包括的導入による業務最適化に時短医療者活用とシミュレーション教育の拡充を組み合わせた質の高い臨床教育・研究の確保事業」の事業で応募し、採択されました。

 「質の高い臨床教育・研究の確保事業」は診療参加型臨床実習の充実や保健分野における研究の質の向上等の課題に対応するため、大学・大学病院における、より効率的で質の高い臨床教育・研究実施のための新たな体制を構築する優れた取組を支援し、これを持続的な業務改善に繋げることで、医師の働き方改革に貢献することを目的としています。

 神戸大学の事業はこれらの要求に対して、勤務形態の自由度を高め、女性医師を登用するとともに近年急速に発達したICT (情報通信技術)を先進企業から大胆に導入し、事務的作業を徹底的に効率化し、生じた人的、時間的余裕を人間しか行えない創造的な活動に投入し、応えるものです。本事業を推進し、他施設でも実施可能なロールモデルの確立を目指します。

教育プロジェクト責任者
神戸大学医学部医学科長
勝二郁夫

 医学教育において、診療参加型実習の充実および教育の高度化が求められていますが、教育スタッフは本来の教育業務に十分な時間を割くことが困難になっております。そこで。令和5年度より採択された「質の高い臨床教育・研究の確保事業」においては、ICT(Information and Communication Technology)を包括的に導入し、業務の最適化とシミュレーション教育の拡充を図り、質の高い臨床教育・研究の確保事業を目指します。診療参加型臨床実習を充実させるために、メタバース空間等を活用した臨床実習前シミュレーション教育の充実、AIを活用した患者問診教育の質向上、AIを活用したチュートリアルFAQシステムの構築、実習管理システムの構築を図りたいと考えています。

研究プロジェクト責任者
医学部附属病院長
眞庭謙昌

 当院は基本理念に、まずは特定機能病院の使命としての「患者中心の医療の実践」、「人間性豊かな医療人の育成」、「先端医療の開発と推進」を掲げています。さらに当院の特色として、「地域医療連携の強化」、災害救急医療の拠点活動」、「医療を通じての国際貢献」という独自の取り組みも推進しています。こうした目標を達成するためには、医師をはじめとした医療スタッフが持続性を確保して業務に従事できる環境を形成することが必須といえます。

 「医師の働き方改革」はまさにそれを実践するために始まろうとしていますが、医療を取り巻く環境の多様性や複雑化が進む中で、解決すべき課題が多いことも間違いありません。こうした中で、今回、採択された「質の高い臨床教育・研究の確保事業」を活用し、ICTや医療DXを積極的に導入し、当院を構成する多様なスタッフ、それぞれが満足できる環境で、充実した診療、教育、研究が遂行できるよう努めてまいります。