教授挨拶


特命教授/部門長 岡山 雅信

ミッションは地域医療人材の養成と地域医療学の確立

長寿は人々に多くの恩恵をもたらすとともに、人々の価値観も大きく変えました。生活の質を重視し、豊かな暮らしへの欲求が高まっています。これに伴い、患者に寄り添う医療、地域医療の充実がが求められています。その実践として、いま、地域包括ケアシステム(地域ごとに医療・介護・予防・生活支援・住居の継続的で包括的なネットワーク)の構築が急がれ、それを実現するために、地域医療を担う人材の育成が大きな課題となっています。

地域教育部門のミッションは、地域医療人材の養成と地域医療学の確立です。

循環型地域医療教育・研修システムの確立

地域医療教育には、地域医療への心構え・意欲・使命感の醸成、地域医療システムの理解、および基本的な診療能力の習得の3要素が必要です。その上で、勤務する場所に合わせた知識や技能を習得するのが望ましいと考えます。地域医療の教育はその実践を通して行う必要があり、地域医療現場での、効率的かつ効果的な教育手法を開発することが必要です。

このため、当部門では、卒業後一定期間で、様々なステージ(医療機関と経験内容)を循環して経験する教育・研修システムを提唱しています。地域が変われば、その医療も変わると言われるほど、地域医療の個別性が高いため、地域のニーズに適切に対応できる能力が備わらなければなりません。この循環型教育システムは、様々な状況に対応できる医療人の養成に効果的と考えます。このため、当部門では、この循環型地域医療教育・研修システムの確立を目指します。

より効率的な地域医療人材の育成

一方で、地域医療学の確立は、より効率的な地域医療人材の育成につながります。個別性の高い地域医療を学ぶためには、様々な地域で、実践を通して学習するのが良いことは間違いありません。しかし、個々の経験でのエッセンスを体系化して地域医療の理論を構築する必要があります。これにより、様々な経験が言葉として伝承可能となり、効率的な教育へとつながります。

多くの優秀な地域医療を担う人材の輩出を目指します

地域医療は個別性が高いため、"学"の確立は進んでいません。しかし、地域医療学の確立を通して、地域医療の匠の技を教育に落とし込み、多くの優秀な地域医療を担う人材の輩出を目指します。その中で、学習者(学生・研修医等)に思い出となる教育の提供が出来ればと思っています。

地域医療教育部門に対する皆さまからのご理解とご支援をお願い申し上げます。