概 要

 2019年末に発生した新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2: SARS-CoV-2)による新しい感染症である新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は全世界に拡散し、2020年3月11日にWHOはパンデミックを宣言、感染者の増加に対し、日本国政府も2020年4月7日に新型コロナウイルス非常事態宣言を発出しました。
妊婦の感染予防対策、ならびに胎児・新生児への母子感染の可能性があるため、周産期管理法の確立は産婦人科医と新生児科医にとって喫緊の課題です。新たに出現した感染症であるため、妊婦感染のリスクと胎児新生児への影響について科学的エビデンスが乏しいのが現状です。妊婦以外の集団でも感染率や重症化率の報告は国や地域によりかなりの差があります。我が国における、妊娠中に新型コロナウイルスに感染した妊婦の頻度と重症度、感染妊婦からの出生児のうち、先天性新型コロナウイルス感染の頻度と症状および重症度は明らかでありません。また、どのような臨床症状、検査所見が先天性感染のリスク因子となるかは不明です。
 本研究では全国多施設研究として、妊娠中に新型コロナウイルスに感染した妊婦さん(新型コロナウイルスRNAが陽性ないし特異的IgG、IgM陽性の方など)の臨床情報を収集し、解析を行います。我が国における妊娠中の新型コロナウイルス感染の頻度と重症化の要因、先天性感染の頻度と重症度など、妊娠に関わる新型コロナウイルス感染の実態を明らかにし、妊婦感染と母子感染の予防のための対策を講じること、ならびに周産期管理指針を作成することを目的とします。
 匿名化された情報を代表研究期間において集積し、主たる協力研究機関と共に情報の解析を行います。
 研究成果が学術目的のために論文や学会で公表されることがありますが、その場合には、患者さんを特定できる情報は利用しません。