

パーキンソン病は、主要な神経難病のひとつであり、人生の中~晩年期に、ふるえや筋固縮などの運動障害や、認知症・うつなどもともなう疾患です。本症の病態主座は、中脳のドパミン細胞の進行性の変性であることはわかっていますが、この変性が起こってしまう機序はいまだ不明な部分がおおいです。
そこで、わたしたちは、パーキンソン病の遺伝的な特徴を明らかにすることにより、本症の分子機序を明らかにし、神経保護剤などのあらたな治療法の開発へつなげたいと願って研究をしています。
わたしたちはこれまでに、α-synucleinの一塩基多型や、ゴーシェ病遺伝子GBAがパーキンソン病のリスクとなること(参照1,2)をしめすと同時に、ゲノムワイド関連解析により、パーキンソン病のリスク遺伝子座を発見してきました(参照3)。
今後は、さらにこの流れを加速させ、
- 次世代シークエンサーなどの最先端ゲノミックスにより患者ゲノムをよみとき、パーキンソン病遺伝子(家族性・孤発性)を発見する
- パーキンソン病遺伝子の機能と病態の関係を、臨床病理検体やモデル動物もつかって解析、発症分子機序を解明、治療開発へすすめる
ことをおこなっていきます。
参照
- Mizuta I, et al, Multiple candidate gene analysis identifies α-synuclein
as a susceptibility gene for sporadic Parkinson's disease. Hum Mol
Genet 15:1151-1158, 2006
- Sidransky E, et al, Multicenter analysis of glucocerebrosidase mutations
in Parkinson's disease. N Engl J Med 361:1651-1661, 2009
- Satake W, et al, Genome-wide association study identifies common variants
at four loci as genetic risk factors for Parkinson's disease. Nature
Genet 41:1303-1307, 2009