認知とは、外界にある対象を知覚し、知識や記憶に基づいた思考、推理などを経て、それが何であるかを判断、解釈、理解する情報処理過程です。人間には、認知能力のあらゆる側面において、非常に大きな個人差があり、このような個人差を生じさせる因子として、環境的なものばかりでなく、遺伝的な要因も大いにあることが、行動遺伝学の研究などにより明らかになってきました。認知機能のその遺伝学的な影響を明らかにしようと、分子遺伝学的、神経科学的、認知科学的な様々な分野が融合し協力して、関連遺伝子の同定を目指した研究が、近年行われはじめています。
私たちは、(1)行動解析により得点化したマウスの網羅的遺伝子発現解析、(2)知能指数IQが顕著に違う一卵性双生児を用いた網羅的遺伝子発現解析や網羅的ゲノムメチル化解析、(3)精神発達遅滞、自閉症の網羅的染色体微細構造異常解析、(4)霊長類動物を用いたゲノム比較解析、等を行って、認知能力、一般知能因子gに関わる遺伝子の同定、環境生活因子との交絡を見出すことを目指しています。
参照
Copyright (C) Kobe University Graduate School of Medicine. All Rights Reserved.