教授挨拶Professor 

白川 利朗 (Toshiro Shirakawa, MD. PhD.)

近年、ライフサイエンス産業の成長ドライバーとしてのバイオ医薬品の重要性が急速に高まっており、遺伝子・細胞治療薬や抗体医薬品の熾烈な開発競争が世界中で繰り広げられています。
私自身は、神戸大学を卒業し泌尿器科学教室に入局後、遺伝子治療の黎明期であった1990年代後半に米国バージニア大学に留学したことが人生の転換点となりました。当時、最先端であったアデノウイルスベクターを用いた癌遺伝子治療薬の前臨床開発に従事し、帰国後、神戸大学医学部附属病院で前立腺癌患者を対象とした遺伝子治療臨床研究を実施できたことで、バイオ医薬品の開発研究に生涯携わりたいとの思いを強くしました。
この臨床研究では、遺伝子治療が著効した症例が1例あったのですが、その理由として遺伝子治療による腫瘍免疫の誘導があるのではないかと考え、腫瘍免疫を強力に誘導できる治療法の開発の必要性を認識するに至りました。また、この遺伝子治療薬は私自身で発明したものではなかったので、将来的には自身が発明した治療薬を実用化まで持っていくことを研究活動の目標として設定しました。
現在、免疫チェックポイント阻害剤の実用化により、がん免疫療法が急速に普及しています。我々の研究室でも、ビフィズス菌を抗原タンパクのデリバリーベクターとして利用した経口がんワクチンの臨床開発を進めています。本経口がんワクチンを免疫チェックポイント阻害剤に併用することにより、がん免疫療法の奏効率を大幅に向上する効果が期待できます。この治療薬を1日でも早く患者さんに届けることができるように神戸大学発の創薬スタートアップも起業しています。
われわれの研究室では、アデノウイルスやビフィズス菌といった微生物を遺伝子改変することにより革新的なバイオ医薬品を創出することを目的に研究活動を行っています。この分野に興味があり、一緒に研究活動に没頭したいというやる気のある学生さんの連絡をお待ちしております。

白川 利朗 (Toshiro Shirakawa, MD. PhD.)

主な研究テーマ

  • がん遺伝子治療薬の研究開発
  • ビフィズス菌を用いた経口ワクチンの開発
  • 病原菌の遺伝子解析による分子疫学、薬剤耐性獲得機序の研究

所属学会

  • 日本泌尿器科学会<専門医、指導医>
  • 日本遺伝子治療学会<評議員>
  • アメリカ遺伝子治療学会
  • 日本感染症学会
  • 日本癌学会
  • 日本癌治療学会

略歴 / 受賞歴

略歴

2016年-
神戸大学科学技術イノベーション研究科先端医療学分野 教授
2014年-
神戸大学大学院保健学研究科国際保健学領域 教授
2009年-
神戸大学大学院医学研究科感染症センター 准教授
2005年-
神戸大学医学部医学医療国際交流センター 助教授
2003年
神戸大学医学部医学医療国際交流センター 助手
2001年
神戸大学大学院医学系研究科腎泌尿器科学分野 助手
1996-98年
米国ヴァージニア大学泌尿器科研究員
1992年
神戸大学医学部卒業

受賞歴

2008年
第13回日本遺伝子治療学会 学会賞