平成30年度独立行政法人日本学術振興会研究拠点形成事業(A. 先端拠点形成型)への採択について

和氣 弘明

医学研究科 生理学・細胞生物学講座 システム生理学分野 教授

和氣教授

この度私がコーディネーターをつとめさせていただきまして、神戸大学を国際拠点とした研究拠点形成事業に採択して頂くことができました。まずはご協力いただきました関係各先生、および書類の作成にご協力いただきました事務の方々に厚く御礼を申し上げます。

本事業は我が国において先端的かつ国際的に重要と認められる研究課題について、我が国と世界各国の研究拠点をつなぐ持続的な協力関係を確立することにより、当該分野において世界的水準である研究交流拠点の構築とともに、次世代の中核を担う若手研究者の育成を目的としています。

本課題においては現在着目されているグリア研究を主軸に神戸大学を拠点とし、日本側協力機関として東京大学、山梨大学、理化学研究所、東北大学、慶応大学とともに、ドイツ・ザールランド大学、デンマーク・コペンハーゲン大学、カナダ・モントリオール大学、米国・マウントサイナイ大学の海外拠点と連携し、グリア研究における技術よびリソースの共有化、国際共同研究の推進、若手研究者の育成を図って参ります。平成30年度にはドイツにおいてキックオフシンポジウムが開催されることも決定されており、今後5年間でグリア国際コンソーシアムの構築を目指して参りたいと思います。

これまで脳科学の研究においては神経細胞に対するアプローチが主体となって行われ、重要な成果が上げられてきました。一方で神経細胞の約4倍の数存在するグリア細胞はその名の通り、古典的にglueとしての役割を持つ細胞として考えられているのみでした。このようなグリア細胞は高等動物になればその比率が増えることから、近年高等動物に特有の高次脳機能を担う細胞として着目されはじめ、様々な精神・神経疾患への寄与が示唆されております。

本国際交流を通してグリア細胞の新たな側面を探索し、疾患概念へのグリア細胞の寄与を明らかにし、これを基にした新たな治療法を創出することに国際的に取り組んで参りたいと考えておりますので、何卒ご支援の程よろしくお願い申し上げます。