がん基礎研究の進捗とゲノム医療の展望
Recent Progress in Basic Cancer Research and Cancer Genomics

がんは環境中の様々な発がん要因への暴露により誘発される多段階的なゲノムおよびエピゲノム変異の 蓄積により発生する。
近年のゲノム解析技術の革新的な進歩により、がん細胞が暴露要因に特徴的な 変異シグネチャーを有することが明らかにされた。
一細胞レベルでの遺伝子変異や発現遺伝子の解析が可能となり、 がんは極めて多様な細胞により構成されていることも分かってきた。
さらに、がんの進展や転移能および治療抵抗性の獲得には、 がん幹細胞の可塑性や微小環境との相互作用が重要な役割を果たしていることも明らかにされてきた。
特に、がん微小免疫環境の多様性はがん細胞の特性に大きな影響を与えていると同時に、 がん制御の治療標的としても有望な候補となっている。
本講演では、がん研究の最近の進捗とがん全ゲノム解析の医療実装への今後の展望について講演させて頂く。