CSMIリトリート「若手道場」

令和4年2月3日~2月4日 リモート開催

シグナル伝達医学研究展開センター・リトリート「若手道場」は、令和4年2月3日、 4日の2日にわけて内匠透オーガナイザーのもと、CSMI特命助教を中心とした実行委員会による運営で実施されました。 平成30 年度にはじまった若手道場は、当センターに所属する若手研究者を中心に、 発表、交流、相互理解を深める場を提供することにより研究者間の連携を強化するとともに、 あらたな共同研究の創出ならびに組織の活発化を目的としており、本年が4回目の開催となります。

今年度は当初は、対面での開催を考えていましたが、COVID-19 の影響により、 急遽オンラインによる開催となりました。急な開催方式の変更ではありましたが、 オンライン開催の利点を活かし、広く参加を募った結果、普段は診療等のため参加しにくい 臨床系の若手研究者も参加可能となりました。また、特別講演は学部学生にも開放したため、 総勢61名と過去最大の参加者数となりました。

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特別講演には、東京大学大学院薬学系研究科薬学専攻医療薬学講座の池谷裕二先生と九州大学生体防御医学研究所医学系学府炎症制御学分野の 池田史代先生をお招きしました。特別講演後にフランクな話をする場として情報交換会の場を設けましたが、 諸般の事情により2日目のみの実施となりました。

本会は若手研究者、大学院生にセッションでの座長を務める機会を設けることにより 主体的に会に参加してもらうこと、研究発表を通して相互理解を深めることを目的としています。 そのため、参加者にはできる限り口頭発表を行ってもらうようにし、 その結果28 演題の発表を行うこととなりました。 すべての発表のクオリティが非常に高く、各演者が十分に準備してきたことが伺えました。 また、各日、最優秀プレゼンテーション賞を設け、 大学院生(修士、博士)の発表者から2名ずつ優秀な発表者を選出し、合計4名が 受賞しました。


最優秀プレゼンテーション賞の受賞者と先生方

左からPutu Yuliandariさん 勝二先生 Adi Ariffiantoさん(感染制御学分野)

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橘先生 辻奈津美さん 内匠先生(生理学分野)

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山田留衣さん 古屋敷先生(薬理学分野)

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1日目の特別講演では、池谷裕二先生に「脳の動作原理と外部拡張」という演題で最新の研究成果をご講演頂きました。 講演の前半は、脳の自発活動=ノイズについての研究を、過去20年ほどにわたる主要論文をレビューしながら、 そこからご自身の研究へつなげたという研究成果をお話いただき、 後半では脳とAIの融合についてのお話を伺いました。 SFの世界のようなことが実際の研究で行われているということに非常に驚かされました。 また、膨大な情報量を話しながら、非常にわかりやすくお話された点が印象的でした。 大学院生からの「新しい研究のアイディアはどういうふうなところから得るのですか?」という質問には、 学生と話をしたり、過去の論文を読んだりしと、広い意味でのディスカッションをして着想を得るとのお答えでした。

2日目の特別講演では、池田史代先生に「分解だけじゃない:ユビキチン生物学」という演題でご講演頂きました。 最新の研究のことだけでなく、大学卒業後から今までのキャリアや、その選択に至った経緯、 ドイツ・オーストリアでの15年に及ぶ研究生活、異文化の中で様々な背景の学生たちをたばねていく難しさなど 幅広くお話くださいました。
交流会では、女性の大学院生からの質問に、進路やワークライフバランスなどについて女性研究者としてのご自身の 経験をお話しくださり、特に女性の大学院生は熱心に耳を傾けていました。 印象的であったのは、ドイツ・オーストリアではPIは、 ワークライフバランスの点はなかなか厳しい状況で、使えるものは何でも使って研究を頑張っているという話でした。
どちらの特別講演でも、若手参加者から非常に活発な質問があり大変有意義な会となりました。


池谷先生と池田先生

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本会の最後にセンター⾧の内匠透教授より、コロナウイルス感染症の蔓延した状況では、 対面リトリートの開催は難しい状況であったが、このような時期だからこそオンラインであっても研究者が交流することは 特に有意義であったとの総評を頂き、好評のうちに閉幕しました。

(白藤俊彦 生理学・細胞生物学講座 特命助教)