小児科研究部門
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忍頂寺先生のスウェーデン留学体験記


忍頂寺先生のスウェーデン留学体験記  2018.06.08 
 5月に入り突然夏のような陽気が続いています。例年より雨が少ないため乾燥した上に、スウェーデンでは20度を超えると夏のように感じられます。こちらでは4月に春を祝う祭りがあり、5月では方々で様々なイベントごとがあります。今月下旬には夏至祭がありますので祭り三昧です。昨年は来たばかりで「なんでこんなに浮かれているんだろう」と思っていましたが、一冬越すとその意味が分かるようになりました。待ちに待った短い夏なのです。太陽の日差しも温かい気温も今年はより貴重なものに感じます。

 昨日まで隣国フィンランドで国際学会が開かれていました。私の所属する研究室をはじめUppsala大学もいくつかの研究室のPIがオーガナイザーを務めており血管研究をしているほぼすべてのメンバーが参加することになりました。残念ながらデータ不足で私単独のポスターを作ることはできなかったのですが一緒に研究を進めているポスドクのポスターに私のデータを加えてもらうことができました。発表当日もたくさんの質問を受け刺激を受けて帰ってきました。とはいってもまだまだこの分野での知識・経験不足は否めません。また他のポスターと比較して我々のプロジェクトはようやくスタートラインに立ったようなところで、まだまだ先は長いなあと感じています。

 今回はごみをテーマに取り上げます。スウェーデンは環境先進国と言われていて世界に先駆けてリサイクルやごみの分別に取り組んできた歴史を持ちます。そのことを知っていたので1年前にスウェーデンに到着し家庭ごみの分別を見たときは正直「たいしたことないなと思ってしました。近くのごみステーションに捨てられるごみは生ごみ、燃えるゴミ、包装紙・新聞など紙類、プラスチック、金属、ビン(色ありと色なし)といったところです。もう少し離れたところには電池や衣類などの回収ボックスがあります。ほとんど神戸にいたころと変わらない印象がありました。

 ところが日本でいうところの「燃えないゴミ」(神戸では緑の文字が書かれている袋)に当たる分別がありません。これまで我が家が捨てたごみの中でお皿などの陶器類、植木鉢、蛍光灯や電球、スプレー缶、壊れた時計は近くに捨てるところがありません。調べてみるとUppsalaでは6~7か所の収集所がありそこに捨てに行くシステムになっているようです。
 捨てるものはわずかでしたが、完全に興味本位で収集所に行ってみることにしました。幸いバスで1本で行けるところにありました。着くとそこはまずまず大きな敷地がとってあり、他の人は車で捨てに来ていました(写真参照)。先ほど書いたようなものはすべて捨てることができましたし、タンスや冷蔵庫等粗大ごみも捨てることができます。ものによってはお金がかかるようですが基本的には無料で捨てることができます。引っ越しの多いこの町では多くの人がこのステーションを利用するようでした。 もう一つ面白いのはごみの回収方法です。もちろん日本のようにごみを出す曜日が決まっおらずいつでも近所のごみステーションに捨てることができます。回収日は大体曜日と時間帯で決まっています。そして回収車での回収はアメリカのそれと同様で、岩谷先生が昨年7月に書いてくれているような回収方法が基本となります。しかし住宅のごみステーションの中には金属で下に固定された形のごみ箱(特に新しい住宅の近く)をよく見かけていたのでどうやって回収するのだろうと思っていたのでしたが、ある日とうとう見ることができました(写真参照)。

ゴミ

 なんと金属のごみ箱の下にまた更に巨大な金属の箱がありある操作をすると底が開くようにできていたのです。慌てて写真を撮ろうとしたのですが間に合わずこの写真しか取れませんでした。(またそれ以降この回収車に出会うことができていません) さらにもう一つ日本と違う回収方法をとっているものにPantがあります。回収できるタイプのペットボトルや缶にはPantと書いてありリサイクルを示す矢印マークのほかに1~2クローナ(現在1クローナ13円程度)という値段が書いてあります。これを大きなスーパーに持っていくと回収する機械があり、回収を終えボタンを押すとレシートが出てきます。これをレジに持っていくとお金に換えることができます(もしくは買い物の値段から値引きしてもらう)。昔、日本で缶を100個集めたら数円と交換し、小遣いの足しにしていたのを思い出しましたが、それよりはるかに効率がいいですよね。でも実際には缶やペットボトルに入った飲料を買うときには飲料代と別にPantのお金を払っているのです。回収しに行かなければその分「損」をする仕組みになっているわけなんですね。
今回はこの辺で。

Haga slott
新しい住宅の近くにあるゴミ回収所


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忍頂寺先生のスウェーデン留学体験記  2018.04.14 
 皆さんこんにちは。少し間が空いてしましたが、こちらはようやく春の気配がし始めたところです。とはいっても気温は5℃前後、降りはしないものの道の脇にはちらほらまだ雪が残ります。丁度こちらに来て1年が経過したところですので今回は研究生活を中心にご報告させていただきたいと思います。

 以前にも少し述べましたが私のメインテーマはendothelial Nitric Oxide Synthase(eNOS)という分子です。iNOSやnNOSなどと主に一酸化窒素合成酵素として知られ細胞内情報伝達の一因子です。この分子は特に血管内皮細胞において(当研究室がターゲットとしている)VEGFの下流にあり、現在では主に血管新生や血管平滑筋に作用し血管透過性に関与すると報告されていますが、詳細なメカニズムはいまだ不明なままです。そこで細胞内シグナル伝達を1人のポスドクが、私は主に網膜を対象臓器として、とある網膜症のメカニズムがeNOSと関連しているとの仮説の元、日々研究をしています。網膜は血管生物学の中では比較的メジャーな対象臓器で、特に血管の発達を見るのに適したモデルです。また基本的に仔マウスを使用した実験になりますが、生後様々な処置を施した後3週間目で評価をするので1つの実験がそれなりに大掛かりになります。私は網膜の解剖を練習した後、ようやく2月末ころから本格的に実験を始め少しずつデータが出てきたところです。変異マウスも半年かけてようやく到着し、繁殖がひと段落してこちらも準備が整ったといったところです。他の研究同様in vitroからのアプローチもこちらに来た当初から取り組んでいますが今一つプロジェクトを前進させる結果が出ていないのが現状です。未熟ながらも少しずつ研究の進め方が見えてきていますので、これからは加速をつけてどんどん進めて行きたいと思っています。  またこのほかに前回体験記から私にとって2つ大きな研究室のイベントがありました。

 1つ目はこちらに来て初めてのLab meetingでの発表がありました。私の場合日本での臨床データしかもち合わせていなかったため、前任地での研究成果を発表する機会は与えられませんでしたが、こちらに来てからの成果をお話しさせていただくのは同時期に新しく来たポスドクメンバーの中では早い方でした。先に述べたIn vitroでのnegative dataを中心にお話ししましたがたくさんのご意見をいただきました。また今後の方針ということで網膜の実験計画についてもたくさんのコメントや質問をいただき、いまだ慣れない英語で返答する良い勉強になりました。

 2つ目はRetreatというイベントでした。この体験記を書く直前に行われましたが、1泊2日の合宿形式で研究についてとことん話し合うイベントです。我々の研究室の他に数グループが参加しVascular Biology Unit全体で行われました。基本的には1人10分で短く研究発表+質疑応答といういわゆる学会形式でした。このイベントで最もよかったことは、網膜は私の属する研究室では比較的マイナーな対象臓器でしたが他の研究室でしている人もちらほら見られたので、異なるアプローチや手法を知ることができたことでした。また研究室も近いので少し話をし、顔見知りになることで今後にもつながるのではないかという期待ができたことです。また様々な国の方が様々な形式でプレゼンテーションをするためプレゼンテーションの仕方について学ぶよい機会にもなりました。

 学会形式の発表の間に、もう一つイベントがありました。それは自由に研究テーマを選んでタイトル、目的、方法、重要性といったApplicationのようなものを書くというものでした。これはグループワークとして行われましたが、バックグランドの違う他グループの人と一緒に取り組みました。我々の班は腫瘍をテーマにしている研究者が多いのでテーマは「乳がんとその転移メカニズムの解明」でした。残念ながら全く親しみのないテーマで、方法論の引き出しも少ない私は、ほとんど議論に参加できませんでした。しかし学生時代のチュートリアルを思わせ、わいわい話しながら1つのものを完成させる過程は何となく楽しいものでした。さらに面白かったことは当然グループの中には腫瘍に全く興味のない研究者もいます。典型的日本人の私としては多少興味がなく、門外漢でも少しでも協力できるように努力したりすべて終わるまで参加するという態度だけでも見せます。しかしこちらの人は比較的はっきりしていて興味がなかったら全く議論に参加しないだけでなく時間になったら他に取り組んでいる人がいるにもかかわらず会場を後にしていました。それに対して残っている人も何も言わないのです。無意識のうちに「和」を乱すまいとしていた自分が改めて典型的日本人だなと感じたときでした。

 研究は異本的に個人プレーなのですがLab meetingやRetreatのようなイベントを中心に他者と交わり議論し仲間を増やしていくことも研究の一部なのだと改めて感じさせられました。またそれを可能にするために英語が共通言語となり様々な国の研究者と研究をつなげているのだと当たり前のことを改めて気づかされ、来た時よりましになったもののまだまだ同じ土俵で議論するというレベルではないため引き続き鋭意努力が必要と痛感しました。

Haga slott
Retreatが行われた会場。ラボからバスで45分程度のところにあります。
Haga slott(ハガ城・左)という名前なので観光地を想像していましたが、
宿泊所と会議室(右)しかない研修所のようなところでした。
周りには湖以外は何もなくまさに缶詰の26時間でした。


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忍頂寺先生のスウェーデン留学体験記  2018.01.19 
 少し遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。スウェーデンでもクリスマス前から長期休みに入り、公的機関では1月2日より、ラボ内は先週くらいから少しずつ日常を取り戻し、今週からは学生さんが授業を開始したようで現在はかなりの賑わいです。
 こちらに在住する誰もが言うのは冬の日照時間=太陽の出ている時間ですが少しずつ延びてきている印象です。冬至を過ぎてからだいぶよくなりましたが、今はそれでも8時くらいから徐々に明るくなり、15時くらいから暗くなり始めますので日本よりだいぶ短く感じます。 仕事面では細胞を使った実験が少しだけ進み、輸入予定のマウスの到着が見えてきたということでマウスの予備実験を開始したところです。こちらにも動物実験を開始するためのコースが存在し、e-learningがあります。20近いコースと終了時のテストがあり、何度受けてもよいのですが複数回答のもの全問正解が求められるのでそう簡単ではありません。内容も必ずしもテキストに載っていることばかりではないため難解な問題はGoogleなどで調べてはトライしを繰り返し、結局1ヶ月近くを要しました。中には30回近く受けたテストもありました。その後動物舎の案内をしていただき、その建物のアクセスカードやデータベース使い方などを教わり年明けにようやく出入りすることができるようになりました。それが終わっても私自身ご存知マウスの実験は初めてですのでごく基本的なことも少しずつ教えていただきながら、研究対象を網膜で扱う予定となったため網膜の解剖法を教わったところです。マウスの処置を今後指導してもらう必要があるのですが、まずはWild typeでその後変異マウスでの実験になりますのでまだまだ道のりは長いという印象です。

 今回は少し小学校の話題を提供したいと思います。こちらスウェーデンでも小学校からは義務教育となります。基本的にどこでもよければ入ることができるのですが希望の場所にいくためには事前登録が必要となります。貝藤先生の助言もあり事前にWebで登録を済ませていました。そのためこちらに来て当初よりすぐに学校に入ることができました。現在通っているのはUppsalaに数少ないInternational schoolで、中でも短期間滞在する人向けのEnglishクラスです。もちろん通常クラスに行くこともできたのですが、基本が英語が話せることが前提のクラスでSweden語の授業のあるクラス、Sweden語が話せることが前提で英語の授業のあるクラスのどちらかしかありません。私の娘は当然英語が話せなかったかのでほぼ選択肢はなく、特別のEnglishクラスに所属していました。最初は友達と話ができなくて行きたくない日もあったようですが、所属しているほかの子達も同様でしたのでお互い言葉の不自由な同士で1ヶ月もしないうちに馴染んで楽しく過ごしている様子でした。またスウェーデンの学校自体が宿題もない上、カリキュラムが比較的ゆっくりのようで新しいことを次々理解しなくてはいけないとか、テストがあって勉強しなくてはいけないとかいうわけではないようで今でも日々のびのびと過ごしています。またのびのびといえばとても休みが多いことです。ご存知2ヶ月の夏休みに加えて、約2週間のクリスマス休暇、このほかにイースター休暇と秋休み、冬休み(スポーツ休暇と名がついています)にそれぞれ1週間ずつあります。これにあわせて休暇をとる親も少なくありませんし、逆に仕事熱心な親の場合は職場に子どもをつれてくる人もいます。

 こちらの小学校がずいぶん日本と違うところは2つあります。まずひとつは運動会や音楽会といった学校を挙げて集団で行う行事がほとんどないということです。ほとんどというのは唯一終業式と卒業式はあります。高校まで行くと比較的派手でトラックを借りて荷台に生徒が乗り町中を走り回るという光景を見かけます。娘の小学校では教会で終業式が行われました。異なる日程で卒業式があったようです。行っていないので様子はお伝えできませんが歌を歌うこと以外は日本と同様の終業式だったようです。また日本では集団で行われるのが比較的一般的な健康診断もスウェーデンでは完全に個別でした。身長・体重・眼の検査と問診(ワクチン歴や生活習慣にかかわること)といった簡単なことですが、これを1人しかいない学校専属の看護師が行います。生徒全員に個別にするのはずいぶん大変だろうなと思います。また個人面談が学期ごとにあります。私は毎回行けてはないのですが、ほとんどの生徒の場合は両親がそろって学校に出向き、30分から1時間程度学校での様子と家での様子を話し合います。問題等があればここでゆっくり話し合います。日本でも家庭訪問を合わせると年2回程度は個人面談がありますが、かけられる労力と時間のウェイトが少し多いような気がしています。

 もう一点は学期の最後とクリスマス時期に先生にプレゼントを渡すことです。日本では先生にプレゼントを渡すことは卒業式くらいのような気がします。これはほぼ恒例行事のようでクラス内の親の誰かが取りまとめて集金し、プレゼントを用意します。学年ごとに先生が変わるからというのは理解できますが、クリスマスにも渡すのには正直驚きました。比較的先生と生徒の距離が近いというスウェーデンの文化を反映しているからかもしれませんね。
 義務教育だけにもちろん授業料は無料です。それに加えて教材や筆記用具などはすべて学校から支給(レンタルが多いですが)されます。はじめは学校に行くとiPadを渡されて調べ物をする光景は少し新鮮に感じていました。一応音楽や工作や体育などを時間ごとにこなし、通常14時ころ終わります。そこまでは日本とほぼ同様ですが共働きが多いせいか、ほとんどの子どもがその後Fritidsという学童学級に行きます。ビデオをみたり、工作したり、外で遊んだりと文字通り自由に時間を過ごします。別のクラスの子どもともここで友達になります。17時くらいが最終の預かりで親が多くの場合迎えに来て終了です。このFritidsは土日こそないものの先に出てきた長期休暇にもあります。長い休みにすべて親が休むわけにもいかないからでしょう。Fritidsにはいくらかのコストが発生しますが数千円の単位ですので子ども手当てで十分補うことができます。教育にも十分に公的なお金がかけられ、見える形での税金の使われているかなと思っています。

スケートリンク
始業直前(8時すぎ)の学校の様子。クラス毎に先生がカウベルを鳴らし子ども達が教室に向かいます。
左の写真の校庭の一角ではこの季節にはスケートリンクがつくられ体育の授業でスケートを楽しむようです。


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忍頂寺先生のスウェーデン留学体験記  2017.11.15 
 皆さんこんにちは。
日本もだいぶ寒くなってきたようですがいかがお過ごしでしょう。こちらはすっかり冬模様です。朝起きたときの気温は氷点下で、道路や窓ガラスには霜が降りています。今日は積もってはいませんが雪が降っています。日照時間も格段に減り、出勤・退勤時は真っ暗です。
 研究に関しては私の手技自体はかなり安定してきたものの未だプロジェクトを前進させる結果は得られていないため正直進展なしといったところです。ただ留学組がもれなく苦労する「言葉ですが、私の場合この半年で改善がみられるもののひとつですので少しだけお話します。
 すでにスウェーデン人の英語力の高さはご存知の通りですが、やはりネイティブではありませんので話している内容はさほど難しくありません。発音は私をはじめとした東アジア人よりもはるかにきれいなのですが、比較的ゆっくり話してくれるので生活のセットアップに関する英語はあまり困りませんでした。しかし問題は仕事でした。研究室にはネイティブは1/4程度しかいないのですが、ネイティブでないほかの皆も英語に慣れているのでしょうか。最初は本当に分かりませんでした。ボスとのmeeting, Lab meeting、日常の連絡事項、coworkerとのやりとりにいたるまで支障だらけで何度も聞き返すことも少なくありませんでしたし、細部は全く聞き取れませんでした。あんまり分からないと「後でメールするから」といわれたりその場で図や文を書いてもらったりしていました。ようやく連絡事項が聞けるようになったのは3ヶ月、Lab meetingで質問できるようになったのは4ヶ月(知識は別として)、研究内容や雑談で意見交換ができるようになった(Discussionというにはおこがましいですが)のが5ヶ月を過ぎたところなのでだいぶ遅かったと思います。今でも昼食時やFikaのときなど特に雑音が多い中での会話はすべては理解できません。またネイティブ同士の会話についていけないこともしばしばです。また何か考え事をしているときには英語に切り替わるのにタイムラグが生じてしまいレスポンスに時間を要したりどもってしまったりしますのでまだまだなのでしょう。しかし半年前に比べると自分の中では格段に過ごしやすくなったのは確かです。

 今回は話題として自転車を取り上げてみたいと思います。ウプサラは小さな町で、バスがよく発達していますので特に不自由はしないのですが、ちょっとした用事をより短時間で済ませたり、近所で買い物をしたりするのには自転車が便利です。私自身が自転車が好きということもあり、こちらに来て1ヶ月して購入を決意しました。とはいっても買い物の中では比較的高価なものですし、かごやライト、ベル、反射板などの付属品はすべて自分で購入する必要があります。自転車修理もかなり時間がかかります。そこで付属品がついていてかつ本体を可能な限り安く済ませるために週末屋外で開かれる蚤の市(Loppis)で購入しました。幸いほぼ新品のMTBは市場値の約1/4程度で購入できました。

現在の愛車
現在の愛車 よく盗まれると聞いてかぎは2つつけています。


 北欧はデンマークをはじめとして自転車大国といわれています。その証拠に自転車道がほぼ歩道と並んで走っており、整備されています(地図参考)。多くの公園ではタイヤに空気を入れる道具が整備され(下図参照)、誰でも無料で簡単に自転車の空気を補充できます。
 

路線のバス
(左)少し細かいですがUppsalaの自転車地図。赤線が自転車道。中心部を除いてほぼ全域に整備されている
(右)自転車の空気入れ 大きな公園や広場の一角にある


 また安全に対する意識も高く、多くの人がヘルメットを着用し、曲がるときには手信号を使用しています。
また罰則(罰金)がはっきり決まっています。
その例をいくつか挙げると
 ・歩道への侵入 500SEK(SEK 約14円)
 ・暗い時間での無灯火 前・後それぞれ500SEK
 ・ブレーキなし 500SEK
 ・反射板なし 500SEK
 ・2人乗り 500SEK
 ・信号無視 1500SEK
 ・一旦停止無視 1000SEK 
 この罰則規定がどこまで市民に浸透し、かつどの程度取り締まりがあるかは分かりかねますが、歩道を走る自転車に一般歩行者が叱責しているのはよくみかける光景です。日本と同様ですが自転車道がないときは車道を走り、歩道では自転車は降りなければいけません。

路線のバス

 さらに少し面白い自転車にまつわる付属品があります。それは上図の写真のようなものですがここに子どもを乗せることができます。日本では小さい子どもを後部に乗せるシートはありますがそれ以降少し大きくなった子どもをどこかに連れて行くのは不便です。このカートでは20-25kgくらいまでの子どもを乗せることができます。子どもが小さければ2人載せることもできます。もちろん荷物も載せられるので重宝する人が多く、ブラジル出身の友人家族は母国に帰る際に持ち帰っていました。またさらに上図のように連結式の自転車もあります。もっともこれはほぼ自転車が乗れるような子ども用ですから実際は別に子ども用自転車に乗っている場合が圧倒的に多いような気がします。
 自転車ももちろん右側通行です。最初は私も慣れずに対向車に合ったとき左によけてしまったり、そもそも反対車線を走っていたりしました。 路面が凍結するような季節になり、自転車の登場回数は少なくなってきていますが快適な自転車ライフも北欧生活の醍醐味であると感じています。
今回はこの辺で。


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忍頂寺先生のスウェーデン留学体験記  2017.09.25 
 皆さんこんにちは。
 こちらはすっかり冬めいた気候になってきています。まずは日照時間が格段に少なくなりました。つい12ヶ月前までは22時ころまで明るかったのですが今はほとんど日本と同じで1819時ころに暗くなります。朝も6時にはまだ薄暗いくらいです。これからもっと日が短くなるとのことですのでどんな世界なのか楽しみ半分ですが、加えて雨も多くからっと晴れることが少ないので欝々もするようです。
 今回は話題として公共交通機関を取り上げてみたいと思います。車のない私たち家族は日常的にバスや電車を使っています。日本より便利ということはないのですが面白い点も含めていくつかご紹介します。

1、 バス
  日本でもほぼすべてのバスがそうなりましたが基本的に低床で乗り降りの際は地面とほとんど差がありません。どのバスにもBIOGASと書かれており環境に配慮していることが伺えます。主要な路線でなおかつ朝や夕方のラッシュ時には5分に1本ありますし、娘の通学と私の通勤に使うバスも10分に1本ありますので不自由は感じません。料金ですが現金が使用できず通常のクレジットカードで35kr(約450円)、プリペードカードをチャージして支払って22kr(約300円)とやや割高な感じがあります。けれど最初のバスに乗ってから75分間は何度乗り降りしても追加料金はないのでかかっているお金はこちらのほうが安いくらいです。もちろん定期券を買うともう少し安くなるようです。こちらに来て驚いたのは頻繁にダイヤ改正があることと路線までが変わってしまうことです。 まずダイヤ改正ですが私が着てからすでに2回ありました。1回目は夏休み開始とともに改正されどのバスも通常の1/2-1/3に本数が減少します。日本で言えばお盆や正月のダイヤと同様ですが、こちらの夏休みが非常に長いので約2ヵ月半の間バスが大変少なかったです。実はこの間、学校(いわゆる休み中にある学童学級のようなものですが)や保育園の生徒数が減り多くの先生が長期休暇を取るため、3-4つの学校の生徒がひとつの学校に集められます。それがたいてい田舎の方の学校になることが多く、7月はバスも少ない上2人の娘が町の反対側の学校(保育園)に行くことになったため出勤前に2時間ものバスの旅をする必要がありました。さらに本数も少ないので綿密に計画を練ってバスに乗り遅れないようにする必要がありました。現在のダイヤは8月末に改正されほぼ日常どおりの便利なダイヤになりました。もちろん土日の本数や朝ラッシュ前、夕ラッシュ後に本数がぐっと減るのは日本と一緒です。

 もうひとつは路線の変更です。なんと8月のダイヤ改正とともに路線ががらりと変わったのです。そのままの路線もなくはないのですが、例えばこれまで1番の路線のバスはウプサラ駅を中心とした町の中心部を南北に通っていたのですが、路線変更に伴い中心部は全く通らずに町の周辺をぐるっと1週回るような路線に変更しました。これまでなかったルートである上、番号が従来使われていた番号のまま(もちろん書いてある行き先は違います)ですので、よく混乱しないなあと感心していたのですが、やはりスウェーデン人にとっても混乱するようで「○○は通らないのか?」と聞いている場面によく出会います。最近ではバスの中に町の中心は通らないよといった案内が張ってあったり、バスの運転手が聞いていないのに教えてくれたりしますので少なからずやみんな間違えるのではと思っています。また路線変更に伴いバス停をほぼすべて新設していますし、屋根つきのバス停でこれまで使われていたものが現在は使っていないような場所も結構ありますので経済的にもそれなりの損失とは思うのですがなぜか1年に1度程度はこのイベントはあるようです。私の家族にとってはこれまで近くのバス停に10分ほど歩いて行っていましたがこの路線変更に伴い家の目の前がバス停になり、学校の近くまで行ってくれるため大変便利になりました。

2、 鉄道
 スウェーデン国内には日本で言うとJRのような会社があり都市間を結ぶ鉄道網がしかれています。ウプサラは首都であるストックホルムと特急列車で約40分、国際空港であるアーランダ空港まで20分ですのでその間に鉄道は頻繁に走っています。切符も券売機で購入後1時間以内に乗車すればよく、上記2つの場所に行くのには指定席を取る必要はありません。ただ長距離の列車は話は別です。2時間3時間以上かかるような別の都市に行くのには基本的に予約が必要で、席を確保する必要があります。立って乗ること(席なし、自由席)はできません。もちろん席に余裕があるときは直前にも購入できますし乗車もできます。また驚くことに料金も一律ではありません。朝1番や夜遅くは乗る人が少ないので安く、午前の便は比較的高いようです。また詳しい仕組みは分かりませんが、需要と供給をなんらかでモニタリングしているようで、残席に応じて値段が変動するみたいです。ですから時期と時間によっては値段が飛行機よりも高くなってしまう事態も生じます。またこちらにも新幹線でいうグリーン車に相当する1等車両が存在します。前述のように値段は需要と供給のバランスで決まっていますがコーヒーや果物が無料というサービスがついています。残念ながら私たち家族はいまだ乗ったことはありませんが。
 毎週土曜日のみストックホルムで補習学校があるため我が家では小学2年生になる上の娘を通わせることにしています。その際の行き帰りにこの鉄道を使うわけですが。基本的には非常に快適な電車の旅です。ただ混乱するのは突然出発や到着のホームが変更になることです。時間ぎりぎりだと切符を買わなければいけない上、ホームを確認する必要がありますのでしばしば走らなくてはいけないこともあります。

3、 タクシー
 車がない我が家では日本でたまに使う存在でしたが、こちらでは非常に使い勝手が悪いものになってしまいました。なぜなら基本的にはこちらは流しのタクシーはありません。タクシースタンドかもしくは呼ぶしかありません。ウプサラでは今のところ駅や大型スーパーの前にしかタクシースタンドは見たことがありません。しかも市内は一律料金で、その料金は350kr(約5000円)とやや割高です。
このタクシーきわめて客が少ないんだろうなあと思っていましたが、思わぬところで使われています。こちらでは遠方の学校に行く必要のある子どもが少なからずいるのですが、その際に市に申請し認められるとバスでいくことのできない場所へは空いているタクシーが送迎してくれたりすることがあります。その際タクシーは子どもが乗っているという看板を屋根の上に立てて家から学校まで送迎をするのです。高額な税金がここにも投入されているだけなのですが子育てがしやすい国というのは公共交通機関の協力もあってのことと改めて感じました。  今日はこの辺で。

路線のバス
毎日お世話になっている路線のバスです。前乗りで料金は先払い。
ほぼダイヤ通り運行されます。車内にはラジオが流れていることが少なくありません。


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忍頂寺先生のスウェーデン留学体験記  2017.07.07 
 日本ではそろそろ夏本番を迎えようとしているころでしょうか。スウェーデンでも日照時間が長くなると同時に昼は汗ばむ陽気です。ただ夜や朝は日陰に入ると涼しいくらいでとても過ごし易いです。

 前回の体験記から2ヶ月がたちました。ちょうどこちらに来て3ヶ月になりました。ようやく個人番号やIDカード、銀行口座の開設など事務的なことが終わったところでひとまずほっとしています。生活もリズムがほぼ確立しています。朝6時に起床し、7時半頃から娘たちを学校や幼稚園に送り届け、9時くらいから研究を始めます。どんなに遅くとも18-19時には家に帰ってきますがそこから子ども達を寝かせて21時ころから少しゆっくりしながら皿洗いや翌朝の準備をして23時頃に就寝です。もちろん当直はありませんし休日出勤もたまになのですがなぜか毎日があっという間です。よくよく考えると家事育児の時間が日本にいるときに比べ圧倒的に増えています。こちらでは(性別を問わず仕事と家庭を両立することは)ごく当たり前なのですが、働きながら私以上に家事育児をしている多くの日本のお母さんたちに改めて頭の下がる思いです。

 研究のほうはようやく軌道に乗り始めたところです。もともと血管内皮を主対象にVEGFに関する研究をしている研究室ですがそのシグナル伝達の下流にNOSが関与しているという報告が散見されています。ただ伝達経路や作用といった詳しいメカニズムは明らかにされていませんので主にin vitroとin vivoに分け、さまざまな実験系からその全貌を明らかにしようというものです。私は前回の体験記でも述べましたがリアルタイムPCRを中心に進めてきましたがその後ウェスタンブロッティングを教わり、培養細胞を使って実験を進めているところです。

 今回は現在留学中のUppsala大学について少し触れておこうと思います。Uppsala大学はスウェーデン最古の大学であり15世紀に創立されました。ここ医学部のほか農学部、理工学部、文学部、経済学部、社会学部などほぼすべての学問分野を網羅するほどの学部を持ち学生は4万人以上とも言われている巨大な大学です。町自体は小さいので私のような外国人はほとんど大学関係の人であるといっても過言ではありません。私自身こちらに来て知り合った日本人を含めた外国人もほとんど大学の学生、研究員、職員です。他に私の所属する研究所の他図書館、植物園、博物館、病院などをあわせると多くの敷地が大学のものです。まさにUppsalaの町自体が大学とともに発展してきたともいえます。また特筆すべきはその学問です。植物の分類学の父であるLinneをはじめ、電気泳動で蛋白の分離法を確立しノーベル化学賞を受賞したTiserius、通りの名前にもなっている経済学者のDag Hammarskjöldなど数多くの有名な研究者を輩出しています。また学部や研究所にはノーベル賞の選考委員になっている先生方もたくさんいるようです。

 すばらしい研究環境で、成果はもちろん様々なことを持ち帰れるよう努力したいと思います。
ではこの辺で。

アパートメント
私の住んでいるアパートメント。1850年に建てられた年代物ですがTiseriusやスウェーデンの有名な作家Karin Boyeが学生時代をすごしたこともある由緒正しいアパートです。


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忍頂寺先生のスウェーデン留学体験記  2017.05.08 
 日本ではGWなのでしょうか、スウェーデンにも少なからず日本人観光客の姿が見受けられます。皆様お変わりなく過ごされているでしょうか?私は3月30日にスウェーデンに到着しこれまでゆっくりと生活基盤を整えてきました。とはいっても最初のセットアップはほとんどがHousing Officeという大学の組織が必要な家財道具を一式そろえてくれていたので、後は消耗品や食材、インターネットなどを整えたので1週間もしたら通常の生活が送れています。また家族も学校や保育園も順調に決まり、あまりこれといった不自由なく毎日が送ることができています。日本ではぎりぎりまで仕事や娘の学校があり、おまけに家の引越しまで重なって疲労困憊していたためこの順調さにかえって救われたと感じています。今はPersonal Number(貝藤先生の体験記参照)を待ち次なる生活セットアップに備えている状況です。

 研究の方は4月上旬に早々に教授にご挨拶に行くと、すでに研究室とオフィスの机が用意されておりすぐに研究の話となりました。私の場合前任者の引継ぎではなく、すでに先輩ポスドクが研究を開始している内容に加わるという形でした。ただその先輩ポスドクは育児休暇中で50%勤務ということになっており、その後すぐに100%育児休暇をとるとのことで、まさに「できることから」はじめているのが現状です。とはいってもご存知のとおり私自身日本では基礎研究の経験は皆無に等しく、実験手技もわずかな経験値、しかも手を動かしていたのは数年前という有様でした。ですから少しだけ日本で経験していたリアルタイムPCRと簡単な細胞培養、免疫染色と肩慣らしの状況です。ただものの位置から、機械の配置、コンピュータの使用ルールなどすべてが異なりますので1つ1つ分かる人を見つけては聞いて、進めていくため時間があっという間にたっていきます。研究の内容に関してはもう少し私の理解が進んでから改めてご紹介させていただくこととします。

 今回は初めての報告ということであまり内容がありませんでしたが、次回からちょっとした話題を提供しながらご報告したいと思います。
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