入院について

糖尿病教育入院について

当院の糖尿病教育入院では、糖尿病の状態の評価、糖尿病合併症の評価、多職種のスタッフが連携したチームによる療養支援(サポート)を行っています。日本では、糖尿病患者さんが1000万人おられる(2016年国民健康・栄養調査)といわれていますが、病気の状態はお一人お一人異なっています。また、最近は新たな治療薬が次々と登場しており、薬物療法の選択肢が広がっています。薬物療法を適切に行うためには、患者さんの糖尿病の状態をしっかりと把握し、状態(病態)に応じた治療を選択することが重要ですが、当院では通常の検査に加えて、「糖を処理できる力(=耐糖能)」を詳しく評価することができるグルコースクランプという特別な検査も行うことができます。また、持続血糖モニター(CGM)やインスリンポンプ(CSII)といった最新の機器(デバイス)を用いた治療法についても、患者さんごとに提案させていただきます。

日本糖尿病学会では、糖尿病治療の目標は「血糖値や血圧、脂質、体重を適切にコントロールし、細小血管や大血管の合併症の発症や進展を阻止し、生活の質(QOL)や寿命を確保すること」としています。ただし、この目標は、ご年齢や合併症の状態、お持ちの他の疾患(併存症)によって、患者さんごとに異なるでしょう。糖尿病は、残念ながら現段階では「完治する」タイプの病気ではありません。「糖尿病とともに活き活きと自分らしく生きる」ことが全ての糖尿病患者さんにとって共通の目標だと考えています。

日本は2010年に超高齢社会(65歳以上の人口が21%以上)に突入し、高齢者率は現在も上昇しています。その結果、ご高齢の糖尿病患者さんも増加していますが、ご高齢の糖尿病患者さんでは、フレイル(健康と要介護の間の状態)やサルコペニア(筋量や筋力の低下)の予防が重要です。従来の食事療法の考え方である「カロリー制限」や、運動に関しても「〇〇が痛いから動かない」というのではなく、「よく食べて、よく動く」ことが健康寿命を延ばすことにつながると考えられてきています。また、ご高齢の糖尿病患者さんでは、低血糖や薬剤の相互作用や有害事象(副作用)が起こりやすく、血糖コントロールの目標も個別に設定することが望まれます。支援者であるサポーターとの連携も欠かせないため、退院後も安心して生活できるように、サポーターの方とも話し合いの場を設けさせていただきます。

当院では医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師、臨床心理士がチームとなって糖尿病教育に携わっています。当院が目指しているのは、「型通りの指導」である教育ではなく、患者さんご自身で「自己管理」ができるようになるための教育です。食事療法や運動療法についても、それぞれ「最適」な治療方法は、患者さんごとに異なります。患者さんが「やらされている」と感じる治療では決して長続きしませんので、患者さんが「これならできる」と思える治療を選択することが重要です。そのような「患者さん中心の医療」を実践するために、患者さんそれぞれの声に耳を傾け、患者さんの価値観を重視した療養支援を行いたいと考えています。また、患者さんが糖尿病治療をしながら、日常生活を送る際には、様々な負担を感じることがあるかもしれません。患者さんに負担感が少なく満足度を感じられる治療内容をご選択いただくことで、前向きに退院後の療養生活を送っていただけると考えております。「入院して良かった。」「入院したことで人生が変わった。」と思っていただけるような入院となるよう、当院の糖尿病チームメンバー一同でサポートさせていただきます。

肥満治療入院について

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