医局からのお知らせ

  • 2021.09.05
  • お知らせ
  • 【総説出版】中西 信人、井上茂亮らの総説がJournal of Clinical Medicine (2021) に掲載されました

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    Nakanishi N, Liu K, Inoue S*, et al. Post-Intensive Care Syndrome and Its New Challenges in Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Pandemic: A Review of Recent Advances and Perspectives. Journal of Clinical Medicine 2021, 10, 3870.
    *Correspondence

    集中治療後症候群に関する総説を日本集中治療医学会 PICS・生活の質改善委員会が中心となってまとめております。集中治療後症候群(post intensive care syndrome:PICS)とは,集中治療室で治療後に生じる長期的な身体障害、認知機能、精神障害のことです。無事に退院したとしても多くの方が長期的な症状に苦しんでおります。特に昨今のコロナ禍で重症化した患者さんにおける集中治療後症候群の現状と対策をまとめることは喫緊の課題でした。

    今回我々の総説でのまとめではコロナ罹患後にICUに入した患者さんの退院1-6ヵ月後の集中治療後症候群の発症頻度は身体機能障害が28%-87%、認知機能障害が20%-57%、精神機能障害が6%-60%と報告によるばらつきはあるものの、大きな問題になっていることが分かりました。

    集中治療後症候群の対策としてはABCDEFバンドル(Assess, prevent, and manage pain(疼痛の評価・予防・管理),Both spontaneous awakening and breathing trials(覚醒・自発呼吸試験),Choice of analgesia and sedation(鎮痛薬・鎮静薬の選択),Delirium assess, prevent, and manage(せん妄の評価・予防・管理),Early mobility and exercise(早期離床と運動),Family engagement/empowerment(家族の存在/力)が重要であります。しかし、ABCDEFバンドルのそれぞれの実施率は16%-52%と半数以下でした。

    コロナ禍では感染の伝播のリスクもあり、今まで通りの治療を提供することが容易ではありません。しかし、どのように集中治療後症候群を予防していけばよいか、集中治療後症候群の病態から、診断方法、チーム作り、鎮痛・鎮静、せん妄予防、看護ケア、早期離床、栄養、面会制限とオンライン面会、長期フォローなどについてまとめてあります。

    是非一読下さい。

    本研究結果は以下のリンクからご覧になれます:
    https://www.mdpi.com/2077-0383/10/17/3870


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