
兵庫県養成医制度について
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兵庫県養成医制度に関して
神戸大学外科学講座では、兵庫県養成医で外科を専門領域として希望される先生の専門医研修を全面的にバックアップできる体制が整っています。
兵庫県養成医の前期派遣先となることの多い各医療圏の中核病院には、神戸大学外科学講座から各領域の外科指導医を派遣し、研修の質を担保しています。同様に8年目・9年目の後期派遣先となる病院にも、可能な限り外科指導医を派遣し、手術執刀の指導が行える体制を整えています。 6年目・7年目の後期研修は高度医療機関等で専門的な医療技術の 習得が可能な期間ですがこの期間に大学院に進学して研究を行い、後期派遣の2年間と合わせて卒後9年目終了時に博士号を取得するという選択肢があります。
神戸大学外科学講座からは既にこのようなコースで博士号取得予定の先生方がたくさんおられます。県養成医の先生は大学院に進学し、研究を行いアカデミアになるという将来を想像できないかもしれませんが、義務年限終了時までに学位を取得すれば留学を含めて将来の選択が広がると考えています。
興味がある先生は是非問い合わせください。養成医で博士号を取得予定の先生方の声を載せておりますので参考にして頂ければと思います。
肝胆膵外科楠原 達樹
神戸大学 2018年度卒業
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初期研修 (1~2年目) 西脇市立西脇病院 前期派遣 (3年目) 西脇市立西脇病院 外科 (4年目) 兵庫県立淡路医療センター 外科 (5年目) 丹波医療センター 外科 後期研修 (6~7年目) 神戸大学医学部附属病院
肝胆膵外科 (社会人大学院生)

- 肝胆膵外科を選んだ理由
- 学生時代に肝移植の手術を見学し、肝胆膵外科に興味を持ったことがきっかけです。縁あって各研修病院でも肝胆膵外科の先生方に指導頂き、高難度手術の魅力に惹かれ肝胆膵外科への入局を決めました。
- 6,7年目を大学院に進学してみて率直な感想
- 私は肝臓グループに所属し、肝細胞癌に対する手術と粒子線治療の研究を主に行っています。大学院に進学したことで、研究マインドを養い、医師同士のつながりを得られたことは、何にも代えがたい大きな財産となりました。特に、治療戦略を多角的に考える力が培われ、今後の診療にも大いに役立つと感じています。
また、養成医は派遣先の病院で近い学年の外科医と接する機会が限られがちですが、大学院では非常に優秀な医師たちと研究を議論する機会に恵まれ、大きな刺激を受けました。こうした環境の中で高いモチベーションを維持し続けることができたこと、さらに手厚い指導体制のもとで研究を進められたこともあり、後期研修中に論文を無事Acceptさせることができました。今後は後期派遣先でも研究を継続し、臨床と研究の両面でさらに成長していきたいと考えています。 - これからの外科医人生の抱負
- やりたいことが多く、義務年限後のキャリアについてはまだ決めかねています。外科医として技術を磨き続けることは大前提ですが、それに加えて、自分ならではの価値を発揮できる外科医を目指したいと考えています。
- 養成医の先生へのメッセージ
- 診療科の選択やライフスタイルについて悩むことは、誰しもが通る道だと思います。外科は大きなやりがいと成長の機会に満ちた分野ですが、一方で働き方やキャリアの展望について不安を感じることもあるかもしれません。近年はワークライフバランスが重視されるようになり、神戸大学外科学講座でもこの点に力を入れて取り組んでいます。
もし外科に興味があれば、ぜひ気軽に各病院の養成医の先輩や神戸大学キャリアサポートセンターに相談してみてください。実際に現場で働く先輩たちの経験やアドバイスが、皆さんの進路選択の大きな助けになるはずです。外科の魅力を知り、やりがいを持って成長できる環境で、一緒に未来を切り拓いていきましょう!
肝胆膵外科小泉 宣
兵庫医科大学 2017年度卒業
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初期研修 兵庫県立淡路医療センター 2年 2年 前期派遣 兵庫県立淡路医療センター 1年 1年 兵庫県立丹波医療センター 2年 2年 後期研修 神戸大学医学部附属病院 6カ月 6カ月 神戸労災病院 6カ月 6カ月 神戸大学医学部附属病院 1年 1年 後期派遣 公立宍粟総合病院 2年予定 2年予定

- 肝胆膵外科を選んだ理由
- 学生時代に肝移植を題材とした作品、ニュースに触れたことで漠然と移植外科医に憧れを持っていました。当時、県養成医は総合内科医にしかなれないという縛りが存在していたため、心の奥底に憧れをしまっていましたが、福本教授をはじめとした多くの先生方のご尽力により県養成医も外科を専攻することが可能となったため、移植外科医を志すために肝胆膵外科を選択しました。
- 6,7年目を大学院に進学してみて率直な感想
- 肝胆膵外科の肝臓グループで大学院生として学会発表、論文作成に励み、地域病院では得にくいacademicな活動に触れる機会をいただいたことで、academic surgeonとなるための基礎を学ぶことができました。キャリア形成のモデルとなるような先生方に指導いただき、その熱量や知識に圧倒されたものの、今後どのように外科医として学んでいくべきか知ることができ、医師人生の糧になったと思います。また、臨床を離れ、時間的余裕ができたため肝移植を勉強するために京都大学に定期的に手術見学に行くことができました。今後必要となるような手術手技を目にしておくことができたため後期派遣時に移植に触れる機会がなくても手術へのモチベーションを高くする楔が得られたと思います。
- これからの外科医人生の抱負
- 後期派遣として地域病院で外科医として働きますが、大学院で得た経験や知識、つながりを使って、academicな活動も継続していけたらと思います。後期派遣終了後は移植施設での研修やリサーチフェローとしての海外留学を目指し移植外科医になれるように邁進していきたいです。
- 養成医の先生へのメッセージ
- 医師になった際には、県養成医だからキャリアが制限されるという考え方を受け入れていましたが、振り返ってみると、外科医のキャリアを形成する上で弊害となった経験は一つもありません。養成医としての役割や制限をまずは抜きにして、自分がどうしたいか、何をしたいかを考えて、専門科の選択をしていただければと思います。もしそれが外科であれば神戸大学では十分なサポートが得られますので安心してその道を進んでください。
食道胃腸外科雜賀 裕士
鳥取大学 2017年度卒業
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初期研修 製鉄記念広畑病院
(現はりま姫路総合医療センター) 2年2年 前期派遣 兵庫県立丹波医療センター 1年 1年 兵庫県立淡路医療センター 2年 2年 後期研修 神戸大学医学部附属病院 6カ月 6カ月 三田市民病院 6カ月 6カ月 神戸大学医学部附属病院 1年 1年 後期派遣 公立八鹿病院 2年予定 2年予定

- 食道胃腸外科を選んだ理由
- 兵庫県養成医として研修医を過ごしている際にちょうど私たちの学年から外科などの特定診療科への進路が開かれ、学生時代から漠然と興味のあった一般外科を志望しました。食道胃腸外科と肝胆膵外科の選択はなかなか決定が難しかったですが将来的に主に田舎の外科医として働く選択肢を考え、食道胃腸外科を選びました。
- 6,7年目を大学院に進学してみて率直な感想
- 県養成医として8,9年目に後期派遣で神戸にはいられないことは決定事項のため、そもそも大学院進学も義務年限終了後でよいと考えていました。しかし幸運にも大学病院勤務中に、新たに医療創成工学専攻が新設されるとお聞きし強く惹かれたため、医工学博士号取得を目標に7年目に大学院進学することとしました。この専攻は日本各地と遠隔でやり取りすることが前提であるため地域派遣中でも問題ないという利点もありました。医学博士ではないという不安要素はありますが、乙号研究生としての医学博士号取得を模索している段階です。今後のことは不透明ですが、現時点では大きな制約なく後期派遣中も大学院生の活動も継続することができると考えています。臨床医としてだけではなく様々な職種・背景の方とかかわりながら医療機器開発を行うという新しい選択肢をもつことに刺激を感じています。
- これからの外科医人生の抱負
- 最終的に都心部のハイボリューム施設で働くのか、地域の中核病院で働くのか、自分の中で明確なビジョンを決めかねている段階です。但馬出身者で田舎に対して抵抗がないことは自分の小さな長所でもあると思うので、いずれ但馬などの地方に貢献することも考えて幅広い対応ができる一般外科医となるべく研鑽を続けます。
- 養成医の先生へのメッセージ
- 診療科選び、大学院進学などは養成医であることで特殊な選択を強いられると思います。しかしどの進路を選択したとしても、上級医の先生方はみなさん親身に相談に乗っていただけますし、制度そのものを私たちの希望に沿って改革していただけることもあります。ぜひたくさん悩んで相談していただき、その結果外科を選択されたらうれしく思います。どのような進路でもみなさんと働けることを楽しみにしています。
肝胆膵外科藤澤 亮裕
鳥取大学 2017年度卒業
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初期研修 公立宍粟総合病院 2年 2年 前期派遣 赤穂市民病院(外科) 1年 1年 公立宍粟総合病院(外科) 2年 2年 後期研修 神戸労災病院(外科) 6カ月 6カ月 神戸大学医学部附属病院(肝胆膵外科) 1年6カ月 1年6カ月 後期派遣 公立豊岡病院(外科) 2年予定 2年予定

- 肝胆膵外科を選んだ理由
- 元々地域枠で医師になったため、肝胆膵外科どころか外科医という選択肢を現実的に考えていませんでした。その中で実際に自分の手で患者さんの治療を直接お手伝いし、なおかつ術前術後を含めた全身管理をできることに外科の魅力を感じ、たまたま3年目から地域枠の中にも特定診療科コースが設立されたため外科を選択しました。外科手術の魅力を実感しつつ、なんとなくこのまま地域医療として外科医を続けていくのかなと自分の中でイメージしていましたが、6年目で後期研修の際に神戸で働くようになり肝胆膵外科医の先生方と接するようになりました。術前の画像診断能力、術中にプランを遂行する技術力に衝撃を受けました。困難な手術の連続である肝胆膵領域で自分の外科医としての腕をさらに磨けることももちろんでしたが、肝胆膵外科の先生方の人柄に最も魅力を感じ、肝胆膵外科を選びました。
- 6,7年目を大学院に進学してみて率直な感想
- 大学に来ると臨床の勉強だけではなく研究もイメージされる方が多いのではないでしょうか。私自身大学での研修だけでなく研究に関しても全く興味がなく、イメージの外の世界でした。しかしながら大学院で論文作成を指導いただきながら進めていくと、よく聞く「大学院に行けば臨床に深みが出るぞ」という言葉の意味合いがわかってきました。自ら日常診療のなかに問題点を探し出し、なおかつそのプロブレムに自分なりの答えを考えていける能力はなかなか地域の病院で働くだけでは培えませんが、この観点がない医師は日々進化する現代の医療から置いていかれてしまうのではないかと危機感を感じました。また、地域枠という特性上なかなか派遣先の病院で近い学年の外科医と接する機会がありませんでしたが、非常に能力の高い先輩、同期、後輩たちに刺激を受けたことも大学で過ごしたメリットの一つです。
また、私の最も印象に残っている大学での経験としては脳死肝移植のドネーションに行かせていただいた事です。これまでに感じたことのない厳かな雰囲気と、命のリレーという感動を体験できましたし、衝撃的な出来事でした。 - これからの外科医人生の抱負
- 肝胆膵外科で過ごすことがまず地域枠の私からするとイメージの外の世界であったため、正直なところ今後のビジョンはまだ定まっていません。しかし神戸大学肝胆膵外科で先輩方が尽力されている肝移植やコンバージョン手術といった高難度な手術や研究、または海外留学も含めてリミットをかけずに選択肢を考えていきたいと思っています。
- 養成医の先生へのメッセージ
- 地域枠で入学し兵庫県養成医になると、私自身がそうであったように「なんとなく僻地の医師をしてとりあえず早く9年を終えたい」ということに目が行きがちかと思います。しかしその先の将来も考えたとき、常に先輩後輩と関わりのある養成医制度の中で後輩に指導できるようなかっこいい先輩になれているかも想像してみてほしいと思います。大学病院には決して医局員を取り込む目的ではなく、養成医のキャリアについて本気で心配してくださっている先生方がたくさんおられます。
また、地域枠はディスアドバンテージではなくさまざまな病院で早くから経験を積めるアドバンテージのあるシステムともいえると思います。さまざまな病院で修練を積めたおかげで、私自身他の誰とも違うアイデンティティのある消化器外科医に成長できていると感じています。具体的には鼠経ヘルニアの手術方法は各病院によってメインの術式が異なったため教科書に書いてある方法はほぼ経験できましたし、血液透析シャントもかなり複雑なものまで50件以上の血管吻合を経験させていただけました。単一のブランド病院で修練したレジデントではなかなか経験できないキャリアプランとして、大学病院での勉強をはさんでみることはいかがでしょうか?