教授あいさつ
教授 久保 亮治
神戸大学大学院医学研究科 内科系講座 皮膚科学分野は、1926年に神戸大学病院の母体である兵庫県立神戸病院に設けられた皮膚科にそのルーツを持つ、歴史ある教室です。この度、錦織千佳子先生の後任として、2021年8月に第5代教授を拝命いたしました。
臨床(bedside)と基礎(bench)との融合を通じ、皮膚という臓器の仕組みと、さまざまな皮膚疾患と皮膚症状の発症メカニズムを解析してきた経験を伝え、疾患の本質を見抜く鋭い眼と、患者さんを診る優しい心を育み、若い力が活き活きと活躍する明るく透明性の高い教室を創っていきたいと思います。
私たちには、
「診療」「研究」「教育」の
3つの使命があります。
まず「診療」です。私たちには、神戸市だけでなく兵庫県の皮膚科医療を支える使命があります。一般的な疾患から急性期疾患、がん、難病、さまざまな稀少疾患に至るまで、あらゆる皮膚疾患を診療し、患者さんやその御家族とともに、患者さんの人生を支えていきます。大学病院の医師、看護師、様々な医療スタッフが一体となり、さらにはかかりつけ医の方々、関連病院の方々と連携し、ひとりひとりの患者さんを大切にする医療を行っていきます。いま、医療は大きな変革期にあります。バイオ医薬、細胞療法、再生医療など、次々と生み出される新しい医療法人療技術を正しく理解し、適切に患者さんに届ける、患者さんと共に歩む診療を行っていきます。さらに次に述べる「研究」と「診療」のキャッチボールを通じ、基礎医学と臨床医学とを結びつけ、最先端の医療、診断、治療の提供を目指します。
次に「研究」です。研究に最も大切なのは、不思議にワクワクする心、疑問を持つ力、そして謎を解き明かしたいと思う好奇心です。なぜこの皮疹は身体の一部にだけ現れるのだろう?なぜこの皮疹は丸い形をしているのだろう?そんな素朴な疑問を出発点に、皮疹が形作られる仕組みを探り、疾患のメカニズムに迫ります。疾患の解析を通じて患者さんに成果を還元できた時の喜び、健康な皮膚がどうやって維持されているのか、その精緻なメカニズムが明らかになる時の興奮を、是非味わって欲しいと願っています。神戸大学皮膚科の伝統である悪性腫瘍、光医学、アレルギー学の研究と、私が行ってきた皮膚のバリア機能の研究、母斑や遺伝性稀少疾患の解析との融合を通じ、皮膚という臓器の仕組みを解き明かす基礎医学研究と、疾患の仕組みを解き明かし治療に結びつける臨床医学研究を推進していく所存です。
最後に「教育」です。教育は私たちの未来そのものです。皮膚科は、視診と病理による診断学、内科的治療、さらには外科手技に至るまで、幅広い領域を併せ持つ診療科です。皮膚という臓器を形作る多様な構成要素、表皮、付属器、血管や神経が走行する皮下織、そこに分布する免疫細胞、さらに脂肪織から筋肉に至るまで、それぞれに生じる炎症、腫瘍、自己免疫、先天性疾患などなど、多種多様な疾患があります。専門医取得までの5年間をかけて多様な疾患とその治療を幅広く学んだ後、研究を通じて基礎研究者の視点で疾患を考えることができる臨床眼を養う、医師主導治験などのトランスレーショナルリサーチを行う、1つの疾患を深く掘り下げてサブスペシャリティを養う、オペのスペシャリストになる、さまざまなキャリアパスに進むことができる道を用意し、関連病院や基礎研究室と連携した教育体制を整えます。教室で学んだ方々が次の世代を教え、さらに教えることを通じて自分も成長する、若い力が伸び伸びと活躍する教室を目指していきます。
このような「診療」「研究」「教育」は、決して一人の力で成し得るものではありません。大切なのは人と人との出会い、そして繋がりです。患者さん、医学生、初期研修医、教室の仲間たち、医療スタッフのみなさん、地域や他施設・他大学の先生方、そして基礎医学領域の先生方、すべての人との出会いを大切に、医学と医療の進歩に邁進してまいります。教室員一同、皆様との出会いを心よりお待ちしております。
沿革
1926(大正15)年、県立神戸病院に皮膚科が開設され、1929(昭和4)年に皮膚泌尿器科と改称されました。1946(昭和21)年に県立神戸病院は県立医科大学(旧制)となり、1948(昭和23)年、皮膚泌尿器科学講座の初代教授として上月実が就任しました。1962(昭和37)年に皮膚科と泌尿器科がそれぞれ独立し、皮膚科初代教授として佐野榮春が就任しました。1964(昭和39)年には、県立医科大学が国立移管されて神戸大学医学部となり、皮膚科は1967(昭和42)年に神戸大学医学部に移管されました。その後、1975(昭和50)年より三嶋豊、1992(平成4)年より市橋正光、2003(平成15)年より錦織千佳子が教授を務め、2007(平成19)年より現在の名称:内科系講座皮膚科学分野となり、2021(令和3)年より第5代教授として久保亮治が就任し、現在に至っています。
本教室は、兵庫・大阪の24病院に常勤医を派遣し、地域医療を支え専攻医教育を行っています。また、三嶋時代からの悪性黒色腫、市橋・錦織時代からの光皮膚科学の研究を受け継ぎつつ、久保の就任後は、本格的な分子生物学、細胞生物学、遺伝学の手法を導入し、皮膚の基礎生物学および様々な遺伝性疾患・母斑・母斑症の遺伝学的解析と病態メカニズム解明を進めています。
佐野 榮春
初代教授
三嶋 豊
2代教授
市橋 正光
3代教授
錦織 千佳子
4代教授
久保 亮治
5代教授
スタッフ紹介
教授 久保 亮治
Akiharu Kubo
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専門診察疾患皮膚科一般、アレルギー性皮膚疾患、母斑、母斑症、角化症、水疱症、色素異常症、さまざまな遺伝性皮膚疾患
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研究領域皮膚バリア学、細胞生物学、遺伝学、発生生物学、免疫学
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所属学会日本皮膚科学会 中部支部代議員、学術委員、認定皮膚科専門医
日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医・指導医
日本研究皮膚科学会 理事、事務総長
皮膚かたち研究学会 理事
日本細胞生物学会 評議員
日本免疫学会
The Society for Investigative Dermatology (SID)
The European Society for Dermatological Research (ESDR)
准教授 小野 竜輔
Ryusuke Ono
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専門診察疾患皮膚科一般、光線過敏症、色素性乾皮症
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研究領域光皮膚科学、色素性乾皮症
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所属学会日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本研究皮膚科学会
日本皮膚悪性腫瘍学会
日本美容皮膚科学会
日本光医学光生物学会
日本臨床遺伝学会
准教授 福本 毅
Takeshi Fukumoto
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専門診察疾患皮膚科一般、皮膚腫瘍、アレルギー性皮膚疾患、乾癬、発汗疾患、色素性乾皮症
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研究領域色素細胞学、細胞老化、エピジェネティクス、皮膚バリア学、メタ解
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所属学会日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本アレルギー学会指導医
日本皮膚悪性腫瘍学会
日本皮膚免疫アレルギー学会
日本色素細胞学会
日本発汗学会
日本抗加齢医学会
日本人類遺伝学会
日本乾癬学会
日本研究皮膚科学会
講師 織田 好子
Yoshiko Oda
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専門診察疾患皮膚科一般、皮膚アレルギー
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研究領域日光蕁麻疹
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所属学会日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本皮膚免疫アレルギー学会
日本アレルギー学会
日本研究皮膚科学会
日本アレルギー学会専門医
助教 山野 希
Nozomi Yamano
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専門診察疾患皮膚科一般、光皮膚科学、色素性乾皮症
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研究領域光線過敏、色素性乾皮症
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所属学会日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本皮膚免疫アレルギー学会
日本研究皮膚科学会
日本光医学・光生物学会
日本人類遺伝学会
助教 中谷 祥子
Syoko Nakatani
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専門診察疾患皮膚科一般、皮膚腫瘍
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研究領域皮膚腫瘍
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所属学会日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本皮膚悪性腫瘍学会
日本皮膚外科学会
助教 横山 大輔
Daisuke Yokoyama
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専門診察疾患皮膚科一般、皮膚腫瘍
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研究領域皮膚腫瘍
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所属学会日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本皮膚悪性腫瘍学会
日本皮膚外科学会
助教 原田 朋佳
Tomoka Harada
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専門診察疾患皮膚科一般、アレルギー皮膚診療
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研究領域食物アレルギー
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所属学会皮膚科専門医
日本皮膚免疫アレルギー学会
日本美容皮膚科学会
助教 望月 亮佐
Ryosuke Mochizuki
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専門診察疾患皮膚科一般、皮膚腫瘍
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研究領域皮膚腫瘍
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所属学会日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
日本皮膚悪性腫瘍学会
日本皮膚外科学会
日本皮膚病理学会
特命助教 吉岡 愛育
Ai Yoshioka
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専門診察疾患皮膚科一般、遺伝性皮膚疾患
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研究領域遺伝性皮膚疾患
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所属学会日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、
日本研究皮膚科学会
小児皮膚科学会
日本血管腫血管奇形学会
日本人類遺伝学会