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 大学病院ではたらく美容外科医のコラム 


美容外科の初回手術のタブー

神戸大学美容外科には、他院でされた手術の結果について相談希望の患者さんも多く来院されます。
最近では、
「鼻の手術を受けたけど、気に入らない。何とかならないか?」
「顔に注入剤を入れたけど、取り除けないか?」
「脂肪注入された乳房がすごく固くなったが大丈夫か?」
といった訴えで来院されました。

どんな手術をされたのか、はっきりわかれば良いのですが、残念ながら紹介状を持参される患者さんは多くありません。
幸い当院ではCTやMRIといった画像検査ができるので、それらも駆使して対策を考えます。
場合によっては神戸大学形成外科のカンファレンスにかけ、より多くの専門医の意見を求めることもあります。

いよいよ方針が決まれば手術ですが…やはり修正手術は大変なのです。
一度メスを入れられた組織は、瘢痕組織という固い組織に置き換わっており、普通ならものの数分で終えることのできる手順が、何倍もの時間を要することも珍しくありません。

そんな苦労を乗り越えて、目的の場所に到達してみると…鼻の手術で「うわ!めっちゃ曲がってるやん!」なんてのは良い方で、「あれ?ないっ!?」なんてこともあります。
そう、最初の手術で切り取られてしまったんですね。

まぶたの手術でも、「うわ…ガチガチや!こんなん無理や!」なんて途方に暮れそうになることもあるのです。

そんな修正手術と格闘する日々を送る中、来年の日本美容外科学会のシンポジウムの座長を拝命しました。
「修正」というテーマの中で、座長裁量で好きに組み立てて構わないとのありがたいお言葉です。
そこで『修正手術から学ぶ、美容外科の初回手術のタブー』という挑戦的なタイトルとさせていただきました。

修正手術を必要とすることは、患者さんにとって好ましいものではありません。
でも、それがなくなることはありません。
どんな匠と称される先生が担当されても、すべての患者さんを満足させるなんてあり得ないのです。
それなら「もし修正手術を必要とした時に、どうしようもない手術」は、すべきではないのではないか?と考えたのです。

幸い、シンポジストは、日本の美容外科を代表する美容外科医の先生方がお引き受けくださいました。
先生方が豊富のご経験の中で「こうなってると、どうしようもないんです」と感じておられる点を披露していただき、皆で共有できたら、とても有益ですよね。
私自身が何気なくやっている手術が、槍玉に上がるようなことになったら…と考えると、恐ろしいですが…笑

たとえそうであっても、ことの顛末はこの場でもご報告します。


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