HOMEコラム一覧大学病院ではたらく美容外科医のコラム

 大学病院ではたらく美容外科医のコラム 


日本語って難しい

昨日、学会の準備でPCに向かって仕事をしていると、医局(我々医師が普段仕事をする、自分のデスクのある部屋ですね)に電話がかかってきました。
電話主は某テレビ局の方。
お聞きすると、お顔のマッサージが、若返りに効果があるかを調べている。もし効果があるなら番組で取り上げたい、とのこと。

TV局 「すでに関東ですが、有効だという二人の先生がおられまして…」
私 「(え?そんな医者おるんや)“先生”というのは?」
TV局 「エステを経営されてる“せいけい”の先生です」
私 「?“びようせいけい”のドクターということですか?」
TV局 「東洋医学の先生です」
私 「?東洋医学の医師なのですね?」
TV局 「はい…いえ、鍼灸の先生です」
私 「私はマッサージという施術(しじゅつ)を提供していないので効果はわかりかねます。“手術(しゅじゅつ)”ではなく“施術(しじゅつ)”ですね。」
TV局 「“せじゅつ”ですね」
私 「…(そこ?そんなんどっちでもええやん)…」

話が噛み合わないまま、電話は切らせていただきました。
他人様のなさる“せじゅつ”を、否定するにはそれなりの覚悟が必要です。その方は、その“せじゅつ”でお客さんからお金を頂戴して、生活されてるんですから。
いきなり電話をしてきた人間関係が構築できていない方に、そんな無責任な話はできません。

電話を切った後、モヤモヤしたので調べてみました。
“施術”は本来は“しじゅつ”で正しい。がいわゆる業界によって内容が大きく異なるため、医師が行う手術などは“しじゅつ”、柔術整復士や鍼灸士などが行う施術は“せじゅつ”と読むことが多くなったそうです。

自分が生きている世界での、言葉の使い方が違っていなかったことに安堵しました。これまで20年以上学会等で“しじゅつ”と言い続けてきましたから。

文責:神戸大学病院美容外科診療科長 原岡剛一

 

神戸大学大学院美容外科フェイスブックアイコン神戸大学病院美容外科ツイッター
Page Top