また3月11日がやってきました。
8年が経過しますが、行方不明の方が、まだ2,533名に上るそうです。ご家族の心中をお察しすると、言葉もありません…
2011年頃、私は形成外科医として、乳房再建にシリコンインプラントを導入していました。
当時はまだ保険によるインプラントを用いた乳房再建は認められておらず、周囲を見回してもインプラントの手術を提供している病院なんてまったく見当たらないような状況でした。言うなれば、乳房インプラントの手術は、美容外科での乳房増大術(豊胸術)から学ぶしかなかったんですね。
そこで大学医局にお願いして、美容外科研修を許可いただいたのが美容外科との出会いですが、豊胸以外にも美容外科の手技が形成外科にとても有効なことを知り、のめり込んでいました。
3月11日14時46分、東北太平洋沖で地震発生が発生しました。
その瞬間も私は豊胸の手術を行っていました。
震源から遠く離れた大阪でもビルが大きく揺れました。
それまで経験したことのない長時間の揺れで、船酔いのような感覚に襲われたのを鮮明に覚えています。
テレビをつけると、津波が発生している報道がなされていました。が、1万5千人を越すたくさんの尊い生命を奪い去る大災害の始まりに、現実感がなかったように思います。
急いで病院に連絡を取りましたが、被害の状況も何もわからない状況で、病院としても時期を見て派遣チームを構成するので、それまでは待機するように、としか言いようがないような状況でした。
さて、震災後、日本では「絆」という言葉が流行りました。
絆という言葉には賛否があるのは承知しますが、人と人との繋がりを考えさせるきっかけになった言葉だと思います。
美容外科に良くない印象を持たれる方もたくさんおられることを自覚しながら、その繋がりの中で、どうすれば世の中に貢献していけるか?を考えながら1日を過ごしたいと思います。