CMX

センター長あいさつ

内匠 透

生理学・細胞生物学講座
生理学分野 教授

日本は超高齢社会を迎え、がん、代謝疾患、認知症をはじめとする加齢に伴うさまざまな疾患が年々増加しています。急速に進む少子化はわが国の様々な問題に影響を及ぼしており、子供の心身ともに健全な発達は社会の願いであるものの、自閉症をはじめとする発達障害も増え続けています。また、令和2年にパンデミックに至り大きな社会変容をもたらしたCOVID-19のようなウイルスをはじめとする新興・再興感染症についても重要な課題となっています。このような状況の中、安心・安全でQOLの高い社会を実現するためには、諸疾患の病因や超早期・早期をはじめとする各ステージにおける病態を踏まえた、より適切かつ有効な予防法や超早期診断法の開発が切に求められています。最近の研究では、前述の疾患の多くが、ジェネティック・エピジェネティック変化などの異常に起因することが明らかになってきています。そのため、今後は病態機序の解明に基づくレジリエントな医療の実現がもとめられています。
 メディカルトランスフォーメーション研究センター(CMX: Center for Medical Transformation, CMX)は、神戸大学医学研究科及び他部局、国内外の研究機関や企業の研究者が融合した緊密な連携のもと、当研究科の強みである基礎医学研究をDX(デジタルトランスフォーメーション)時代にふさわしい取組として深化させ、様々な疾患の病因・発症メカニズムの理解を深め、研究成果を社会実装することを視野に入れ創設されました。  この取組の目的を達成することにより、難治性がん、代謝疾患、精神神経疾患、感染症といったさまざまな疾患の病因・発症メカニズムを解明し新規診断技術の開発、治療薬・医療機器の創出、予防法の開発等のメディカルイノベーションの創出を推進し、安心・安全でQOLの高い社会の実現に貢献することを目指します。