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R5年度若手道場 特別講演

本講演はオンラインにて大学院特別講義「先端医学トピックス」としても開催されます。

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(KEYNOTE 1) 10月6日(金)17:30~19:00

深田 正紀 先生

名古屋大学大学院医学系研究科 附属神経疾患・腫瘍分子医学センター 神経情報薬理学講座 教授

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シナプスの制御機構とシナプス疾患の病態機構
Mechanisms for synaptic function and synaptic disorders

シナプス伝達や可塑性の制御機構を理解することは、「記憶や学習」の仕組みを理解するだけでなく、認知症や神経発達症、てんかん等の病態解明においても重要である。すなわち「シナプスの制御機構」と「シナプス疾患の病態機構」の解明は表裏一体の関係にある。シナプス伝達の長期増強(LTP、 Long-Term Potentiation)は、古くからシナプス可塑性の実験モデルとして知られてきたが、近年の精力的な研究から、“AMPA型グルタミン酸受容体の神経活動依存的なシナプス後部膜への輸送機構”が、LTPの分子基盤として考えられるようになってきた。本講演では、AMPA受容体をシナプス後部でアンカリングする足場タンパク質PSD-95に焦点を当て、(1)PSD-95のシナプス膜局在を制御するパルミトイル化酵素群と、(2)PSD-95の足場活性を調節するリガンド-受容体 “LGI1-ADAM22”、によるシナプス機能制御とその破綻により生じる脳病態機構について紹介したい。

(keynote 2) 10月7日(土)9:30~11:00

石井 優

大阪大学大学院医学系研究科・感染症免疫学講座
生命機能研究科・個体機能学講座 免疫細胞生物学 教授

生体イメージングによる免疫炎症動態の解明:新たな病原性細胞の発見
Intravital imaging dissecting immune cellular dynamics and identifying novel pathogenic cell types in vivo

生命システムでは「動き」が重要である。多種多様な細胞の動態は時空間的に精緻にコントロールされています。このようなシステムの研究には、従来の組織学的解析法では不十分でありました。固定・薄切した組織観察では、細胞の「形態」や「分子発現」などを解析することはできますが、細胞の「動き」を解析することはできません。細胞の動きを見るためには、「生きた細胞」を、「生きた組織」「生きた個体」の中で観察する必要がありました。本講演では、私がこれまで行ってきた様々な組織における生体イメージングと、その可視化情報に基づいたシングルセル解析の実際を紹介し、見ることによって初めて分かった様々な細胞の巧妙な動きや、生体を見ることによって見つかってきた新たな細胞種について紹介したいと思います。