R4年度CMXリトリート「若手道場」

メディカルトランスフォーメーション研究センター・リトリート「若手道場」は、 令和5年2月9日、10日の2日にわけて森康子オーガナイザーのもと、 若手を中心とした実行委員会による運営で実施された。 平成30年度に前身の「シグナル伝達医学研究展開センター(CSMI)・リトリート」としてはじまった 「若手道場」は、本年が5回目の開催となる。 当センターに所属する若手研究者を中心に、発表、交流、相互理解を深める場を提供することにより、 研究者間の連携を強化し、あらたな共同研究の創出ならびに組織の活発化を目的としている。
過去二回はSARS-CoV-2パンデミックの影響によりオンライン開催であったため、3年ぶりの対面開催となった。対面による学会開催が限られ、社会状況を見ながらの開催ではあったが、総勢65名と過去最大の参加者数となった。多くの参加者にとって久しぶりの対面での研究発表の場となったと考えられる。対面開催の利点を活かし、研究室の垣根を超えた交流が行われた。また、特別講演は大学院講義とすることで、 現地参加ができない大学院生も参加できるように配慮した。

特別講演には、金沢大学医薬保健研究域医学系細菌学分野の藤永由佳子教授と、国立感染症研究所獣医科学部の前田健部長をお招きした。さらに卒業生である若田愛加博士(国立感染症研究所ウイルス第三部)に、キャリアパスに関するお話をして頂いた。参加した大学院生全員が発表を行うことで、参加者が主体的に会に参加し、ディスカッションできるように心がけた。ポスターセッション後に、フランクな話をする場として情報交換会をポスター会場で行った。さらに、研究室を代表して若手スタッフが、それぞれの研究の紹介を行うことで、相互理解を進めた。本会では、39演題のポスターと26演題の口頭発表が行われたが、すべての発表のクオリティが非常に高く、各演者が十分に準備してきたことが伺えた。 また、最優秀プレゼンテーション賞を設け、学年ごとに1名ずつ優秀な発表者を選出した。
1日目には、グループディスカッションを行い、自由なテーマで研究やキャリアパス、研究での悩みなどについて議論・意見交換を行った。ここでも活発な議論・意見交換が行われ、大学院生や若手教員の相互理解、交流という本会の目的を達成できた。

1日目の特別講演では、藤永由佳子先生に「ボツリヌス菌に魅せられて30年…」という演題で、学生時代から行ってきた一連の研究をご講演頂いた。ボツリヌス毒素がどのように生体内に取り込まれ毒性を発揮するのか、という基礎的な話題から、治療法の開発に向けた研究まで、幅広くお話頂いた。2日目の特別講演では、前田健先生に「マダニ媒介感染症SFTSの感染拡大」という演題でご講演頂いた。出血熱である重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の国内における発見から、疫学解析に至る一連の研究を、ユーモアを交えて分かりやすく発表して頂いた。SFTSは、兵庫県を含む西日本において特に発生件数が高く、治療法が存在しないため、最新の情報を共有できたことは、有意義であったと考えられる。どちらの特別講演でも、若手参加者から活発な質問があった。さらに若田愛加先生には、「女性研究者の経験談」という演題でご講演頂いた。大学院時代の経験が、卒業後にどのように役立っているのかを具体的にお話しされ、学生のキャリアパスについて、貴重なご意見を頂いた。
本会の最後にセンター⻑の内匠透教授より、多分野が 集まって対面でリトリートを行い、研究者が交流できたことは有意義であったとの総評を頂き、好評のうちに閉幕した。
実行委員長 臨床ウイルス学分野 特命准教授 有井 潤
日 程 | 令和5年2月10日(木)~2月10日(金) |
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場 所 | 淡路夢舞台(兵庫県淡路市夢舞台2番地) |
令和6年度若手道場実行委員会 |
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