チェアマンの挨拶

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チェアマンの挨拶

外科学講座チェアマン 掛地 吉弘

Surgeryの語源はラテン語のChirurgiaからであり、Cheiro(手)とergon(技)を合わせた言葉で、”手の技”を意味します。文字通り”手の技”、手術をして病を治そうとするのがSurgeryです。手術が治療の中心ですが、外科医の仕事は手術だけではありません。必要な検査をして診断し、その患者さんにとって最良の治療を考えます。例えば癌の治療法も、手術、化学療法、放射線療法、など様々です。メスを入れて切った方が良いのか、切らない方が良いのか、冷静に客観的な判断が求められます。局所的な治療である外科手術で根治が望めるのであれば、手術に向けて全身管理を行い、最高の技術で手術を施し、術後は合併症を起こさないように全身管理を行います。一人の患者さんにとって必要なことを全て行う、あるいは管理することを外科医は求められています。手術を含めて、様々な治療を自ら施したいと考える人に、外科は広く門戸を開いています。

1846年に米国BostonのMassachusetts General Hospitalで全身麻酔手術が行われて、まだ170年ほどしか経っていません。人類が手術時の痛みから解放されて2世紀にも満たない短い間に、外科手術は日進月歩の進化を続けています。消毒法の確立、血液型の発見による輸血の実施、抗生物質の開発により手術の安全性が確保されました。X線の発見や内視鏡の発明で診断能が向上し、20世紀には拡大手術が盛んに行われました。21世紀になると低侵襲手術が求められ、開胸・開腹手術から胸腔鏡・腹腔鏡を用いた内視鏡外科手術、そしてロボット手術へと発展してきています。より良い治療を求めて、医学、工学、理学など多領域の英知を結集して治療成績を向上させる試みを続けています。

外科はきつい、汚い、危険(3K)な職場と言われてきましたが、労働条件は改善されています。意味もなく職場に縛り付けられたり、先輩から罵声を浴びてろくな指導も受けない徒弟制度のような環境は過去のごく一部の遺物となっています。21世紀のデジタル化された社会において、無駄なく効率の良い外科専門医の育成に学会も交えて取り組んでいます。定型化された手術手技はビデオで反復学習できますし、実際の手術もビデオに録画して復習できます。手術室では易しい手技から高難度の手技まで段階的に習得できるよう指導体制を整えています。外科手術にとって大切なpointは何か、外科医に求められる手術のセンスとは? 決して手先の器用さだけではない外科の真髄、本質が身に付くように指導します。経験した手術はNational Clinical Databaseに登録して、専門医に必要な症例数を一定期間に経験できるようになっています

外科の醍醐味は、手術を受けて快復して笑顔で退院していく患者さんが教えてくれます。視診、聴診、触診、打診、など五感を使って患者さんを診る、胸腔内や腹腔内がどのような状態になっているのか推察し、処置や手術で直接的に手を動かして改善できるのか、医師として頭と体を駆使して臨みます。身体的、精神的に病に苦しんでいる患者さんに、手術を通して外科ができることを精一杯の努力で試みます。外科はチーム医療なので、一人で孤軍奮闘することは避けて、先輩、後輩が力を合わせて、看護師さんや薬剤師さんなど他職種の協力も得て治療にあたります。最高の医療を提供するために、各人が何ができるか、組織をどう動かすか、常に工夫してより良いstepへ進めるように考えています。一人の研修医が専門医、指導医と確実に成長していくように、明確なcareer pathを呈示します。もちろん画一的なものではなく、個人の事情に合わせたtailored career pathです。外科を志望してくれる女性医師に対しても、work life balanceを考え、可能性が拡がるように皆で応援します。医学部を卒業した後の医師人生は40年を越えるspanがあります。卒後2年間の初期研修、3年間の後期研修に留まらず、中・長期の経歴を最良のものにするために必要な情報、資材、環境を準備します。

神戸大学の外科は臓器別に食道胃腸外科、肝胆膵外科、乳腺外科、心臓血管外科、呼吸器外科、小児外科に分かれ、国際がん医療・研究推進学、低侵襲外科学も併せて8分野が機能的に診療活動を行っています。各分野の専門性を活かすとともに、全体がまとまって一つの外科学講座として動いています。自分のやりたい分野が決まっている方はもちろん、まだ専門分野は決めていないけど外科医になりたい方も大歓迎です。様々な分野、領域があり、選択の幅が広いのも外科の利点です。興味がある分野が変わった時に柔軟な対応ができますし、その興味がある分野で世界中でtop levelの施設を紹介することも可能です。

コンピュータ技術が進み、artificial intelligence (AI)により様々な職種が取って代わられることが予想されていますが、外科医の仕事は発展、拡張を続けています。病気の本態を遺伝子レベルで理解し、細胞、組織、臓器のレベルで謙虚に最良の手術を考えて、人間としての患者さんに敬意をもって接する外科医が求められています。刺激に満ちた、充実して内容の濃い人生を考える際に、外科は魅力のある選択肢の一つです。気軽に外科の門を叩いてください。暖かく誠意をもってお応えします。

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