研修·教育TRAINING / EDUCATION

先輩の声

川口 弘毅

川口 弘毅大学院 放射線腫瘍学

私が放射線科を志望したはじめのきっかけは、母校である高知大学で、当時放射線科教授だった小川恭弘先生のKORTUCの研究と、臨床への実践を目の当たりにしたことです。皮膚の上まで盛り上がって露頭した巨大な進行乳癌を、オキシドールを注入して放射線への増感効果を上げたうえで放射線治療を行い、その治療効果が目に見えて現れる、そのシンプルでありながら劇的な効果に、当時とても真面目とは言えなかった学生の私にも非常に大きな印象を残しました。すぐに私は小川先生に連絡をし、その後先生のご出身であった神戸大学の放射線科を見学させていただくことになりました。そしてそこで放射線科というマイナー科の一つでありながら、非常に多くのスタッフがいて活気があふれている医局を見てさらに驚きを覚え、卒業後はここで働きたいと強く感じて、研修医を経て入局することになりました。

当時私は診断と治療の区別もついていませんでしたが、放射線科は大きくは診断・IVR・治療の3つ、もっと細かく言えば各臓器ごとにたくさんの分野に分かれていて、どんなタイプの先生にも適性が合った分野が見つかる、懐の広さがあります。私自身も神戸大学、そして兵庫県立がんセンターでの研修を経て、最終的には、はじめに興味を持つきっかけとなった、放射線治療の分野に進むことになりました。神戸大学の放射線腫瘍科は、トップである佐々木教授を筆頭に、上から下までの距離がとても近く、話がしやすいことが大きな特徴です。ちょっとしたことでも気軽に発言して、そこから研究などのテーマが広がり、大きなプロジェクトとなって世の中に注目される成果につながることもしばしばです。臨床面でも、治療効果をダイナミックに実感できる特有の魅力とともに、他科の先生方をはじめ、同僚たちとの関係も良好で、自分のペースにあわせて仕事ができることも魅力的なところだと思います。そして何よりも、我々が勤務している神戸大学病院は観光スポットとして有名なハーバーランド、そして三宮からもほど近く、グルメには事欠きません。見学に来られたら、医局員一同でこの神戸の街をご案内しつつ、精一杯おもてなしさせていただきます!

まだまだ放射線治療医は全国的にも不足しており、未開拓の分野も多く、活躍できる場は本当にたくさんあります。そして当教室は多様な先生方に対応できる幅広さと魅力を持っています。当教室で一緒に兵庫の放射線治療を支えていただけることを心待ちにしています!

窪田 光

窪田 光大学院 放射線腫瘍学

私が今後入局を考えている学生/研修医の皆様にお伝えしたいことは、「神戸大学放射線腫瘍科では他大学出身者か否かは問題ではない」という事です。

私は徳島大学を卒業後、自分の出身校ではなく神戸大学医学部附属病院で初期研修を行い、神戸大学放射線科に入局しました。入局後は神鋼病院(現 神鋼記念病院)や兵庫県立がんセンターで後期研修を行いました。後期研修では主に放射線診断学およびIVRを学ばせていただきました。多様な経歴を持つ先生方に囲まれ、日々勉強させていただきました。しかし、その後放射線治療を経験した際に、自分が学んできた放射線診断学を直接患者さんの治療に活かす事ができることに気づかされ、放射線治療を専門とすることを決めました。

現在は放射線治療を専門として、神戸大学放射線腫瘍科の大学院生として研究、臨床に携わらせていただいております。入局する際も同様でしたが、他大学出身者でも全くよそもの扱いされることもなく、症例を経験させていただき、発表や論文作成の機会をいただいています。放射線腫瘍科ではめずらしく、基礎的な研究にも携わることも可能であり、充実した大学院生活を送っております。神戸大学放射線腫瘍科は、他大学からの入局者が多く、現在も大学在籍医師8名中、私を含め3名が他大学からの入局者です。そんなことは関係なく、「一人前の放射線治療医に育てよう。」という熱意が、医局全体に満ちています。これは今後皆様が入局したときにも変わらず続いていくことは間違いありません。その他にも神戸大学放射線腫瘍科の魅力は計り知れません。関連病院の多さも一つです。特に高精度放射線治療を学ぶことができる神戸低侵襲がん医療センター、粒子線治療を学ぶことができる兵庫県粒子線センター・神戸陽子線センター、小児放射線治療を学ぶことができる兵庫県こども病院などがあるため、放射線治療医としての経験の幅が広がることは間違いないでしょう。

やる気を存分に発揮し、放射線治療の修練に集中できる環境が神戸にはあります。神戸大学放射線腫瘍科の佐々木良平教授の若手放射線治療医への愛情の深さもはかり知れません。興味のある方はぜひ見学にいらしてください。

妹尾 悟史

妹尾 悟史大学院 放射線腫瘍学

皆さんの放射線治療科に対する印象はどのようなものでしょうか。学生の方にとっては親族や友人に放射線治療を受けた人がなければ、ほぼ印象がないも同然でしょうし、研修医の方にとっては病院の端にある部屋で癌に放射線を照射している医者といった程度でしょうか。確かに医学部に入る前に抱いている一般的な医師像とはかけ離れているかもしれません。しかし、放射線治療は「科学のメスで癌を斬る」との考えのもと、全身の癌を治療対象とし、根治治療から緩和まで幅が広く、他科と比較して独自性もある非常に魅力ある診療科なのです。私はいわゆる再受験生として医学部に入学し、医者となりました。医学部に入学当初は救急医ないし麻酔科医を志していましたが、6年間の学生生活と2年間の研修医生活を経て、放射線腫瘍科を志望するに至りました。この8年の間で私が放射線治療に魅せられた経緯をお伝えし、この文章を読んだ後に少しでも放射線治療に魅力を感じていただければ幸いです。

私は18歳で歯学部に入学し6年間を過ごしました。歯学部の学生時代で最も興味を持ったのが麻酔科での全身管理や歯科救急で、卒業後は歯科麻酔科に入ることも一時は考えましたが、「せっかく全身管理を学ぶなら、医学部で全身のことを十分に勉強してからでも遅くはない」と考え、一念発起して26歳で医学部に入学しました。入学後は救急の初期体験臨床実習への参加など色々と勉強しましたが、授業で色々と勉強していくうちに、癌治療に興味を持つようになりました。そのきっかけとなったのは佐々木教授の授業で、食道癌や子宮頸癌、肺癌など手術のイメージの強い腫瘍を、放射線治療で治すという内容でした。授業を受けるまでの癌治療の印象は、手術が主体で、術前や術後に抗癌剤治療も行われる程度で、放射線治療に関しては存在を知っている程度の知識しか持ち合わせていませんでした。その印象が根本からひっくり返され、手術と同等ないし癌種によっては手術以上の治療成績があることに衝撃を受けたことは今でも覚えています。それ以降は放射線腫瘍科医を目標としてぶれることなく現在に至り、無事に専門医試験にも合格しましたが、神戸大学という環境も良かったように思います。神戸大学は関連病院が多く、粒子線治療を行う兵庫県粒子線センターや神戸陽子線センター、高精度の放射線治療を専門的に行う神戸低侵襲がん医療センター、臨床研究に秀でた県立がんセンターや国立がんセンターなど多様性があり、お互い協調して放射線治療科医を教育するとういう統一した意識があります。この環境で勉強できたのは非常に有用であったと感じています。

以上が簡単ではありますが、放射線腫瘍科医を目指した経緯です。どのように感じたでしょうか。放射線腫瘍科に対する印象が変わったでしょうか。少しでも興味を持って頂けたのであれば、見学に来てください。いつでもお待ちしています。文章だけでは伝えきれない放射線治療の魅力を直接感じることができると思います。

岩下 和真

岩下 和真大学院 放射線腫瘍学

卒後7年目の岩下和真と申します。学生時代は放射線腫瘍科の存在すらあまり知らなかったのですが、初期研修を通して癌治療の分野に興味がわき、神戸大学放射線腫瘍科に入局することになりました。癌治療は手術、化学療法、放射線治療という3本の柱で成り立っており、現在の癌治療において放射線治療は欠かせないものとなっています。切らずに癌を治すことが出来る放射線治療は、身体の負担も少なく、今後より一層の発展が見込まれる分野です。

神戸大学の放射線科に入局後は、1年間大学病院、その後2年間天理よろづ相談所病院で勤務し現在は神戸低侵襲がん医療センターで勤務しております。放射線科は診断、IVR、治療と様々な専門分野がありますが、始めの3年間で各分野を総合的に学んだあと専門分野に進んでいきます。神戸大学では豊富な関連病院が存在し各専門分野に精通した先生方にご指導頂き放射線科としての基礎を固めることが出来ました。専門分野である放射線治療部門に進んだ現在は、神戸低侵襲がん医療センターで多種多様な症例経験を積むことが出来ています。神戸低侵襲がん医療センターではタイプの異なる最新の放射線治療機を3台有しており、それぞれの特性を生かした放射線治療を行っています。乳癌の術後照射や骨転移の緩和照射といった通常照射だけでなく、定位放射線治療やIMRTといった高精度放射線治療や動体追尾放射線治療などにも携わることができ、忙しくも刺激的で有意義な生活を送っています。また、今年度からは神戸大学大学院医学研究科放射線腫瘍部門に属し、臨床だけでなく基礎研究に携わり、放射線腫瘍学をより深く学んでいます。放射線治療の更なる発展に貢献できるように研究活動が出来る場が神戸大学には整っており、放射線腫瘍医としてキャリアアップも可能です。

いずれの病院で経験を積んだとしても神戸大学の放射線科の先生方は熱心に指導してくださり、若手放射線腫瘍科医師には充実した日々を過ごすことが出来る恵まれた環境であると思います。豊富な人材と関連病院を有する神戸大学の見学に是非一度、訪れてみて下さい。

清水 康之

清水 康之大学院 医学物理スペシャリスト養成コース

医学物理士と聞いて何を連想するでしょうか?
診療放射線技師の方はご存知の方も多いでしょうが、日本では一般的にまだあまり知られていない職種です。医学物理士認定機構によると『医学物理士とは、放射線医学における物理的および技術的課題の解決に先導的役割を担う者で、医学物理士認定機構が実施する医学物理士認定試験および認定審査に合格した者です。』とあります。医学物理というと広い意味にとることができますが、放射線治療の分野における医学と物理学のスペシャリストです。昨今では技術の発達により放射線治療は日々より高い精度が求められるようになり、専門的な技術、知識のニーズが高まりつつあります。これを受けて医学物理士は患者により安全で高度な放射線治療を提供するために不可欠なものとなってきています。実際私たちが行っている日常的な実務としては概ね下記の内容が挙げられます。

  • 放射線治療装置の精度管理
  • がん治療の患者の放射線治療計画の補佐
  • 完成した放射線治療計画の安全性、精度の確認
  • 放射線治療の物理学、生物学的な研究

医学物理コースではこれらに必要な専門知識、技術の習得や研究を行い、神戸大学医学部附属病院や関連病院の医学物理士として放射線治療を支え、発展させていくこと目標としています。神戸大学の医学物理コースの特徴として様々な背景を持った人が所属しているということが挙げられます。現在では放射線技師を背景としている人だけでなく理工系、生命科学系の大学の出身人もいます。そのため、各々によって医学物理士として必要なカリキュラムが異なります。医学系や放射線物理学など多くは楠キャンパスで受講し、必要に応じて基礎物理系の一部の科目については六甲台キャンパスで開講される理学部の講義を受講するといった柔軟に対応しています。私は生命科学出身だったため物理系については専門外でしたが、カリキュラムの甲斐もあり知識を深め、現在では医学物理の資格を取得できています。また、神戸大学の医学物理士は放射線腫瘍科の医師と距離が近く、医学物理士は学生も含め、放射線腫瘍科の治療カンファレンスに参加します。そのカンファレンスを通して放射線治療の有用性を知ることができ、また患者にとって何が必要か?医学物理士の立場から何ができるのか?など考えさせられることも多く、デスク上での勉強だけでは学べない多くの知識、刺激をうけることができます。また、研究のカンファレンスにおいても医師と物理士で垣根なく、互いに高めあえる環境となっています。

神戸大学の医学物理コースは医学物理士認定機構の認定コースでもあり、教育の環境は整っています。今、放射線医学や物理学に詳しくなくても問題ありません。未来の放射線治療をより良いものとする気持ちがあれば大丈夫です。神戸大学放射線腫瘍科は医学物理の学生を募集しています。神戸大学の医学物理士に興味を持ったならぜひ見学にお越しください。

中岡 藍

中岡 藍大学院 医学物理スペシャリスト養成コース

私は大学四年間を奈良女子大学の理学部で過ごし専攻は物理学でしたが、かねてから医学に興味があったので、将来は医療に関わることのできる職業に就きたいと考えていました。二回生のとき、インターネットで医学物理士という職業があることを知り、その魅力に魅入られ、大学院は医学物理士認定機構によって認定された医学物理士コースへ進学しようと決心しました。他大学の大学院では医療系の学部出身者が多いのに対し、神戸大学には理工学出身の先輩方が多く在籍されているということで、医学の知識に乏しい私でもしっかり勉強できる環境が整っていると感じ、神戸大学大学院へ入学することに決めました。

晴れて神戸大学大学院へ入学し、新学期が始まって早々に病院のカンファレンスに参加させていただいたり、品質管理業務に参加させていただいたりと、リアルな臨床現場を見せていただけて、私もここでこんな風に働くんだと想像し、感激したのを今でも覚えています。医学知識がゼロに等しかった私は、見るもの聞くもの全てが初めてのことばかりでしたが、わからないことが出てくる度に実際に大学病院で勤務なさっている医学物理士の方々や、博士課程の先輩方が丁寧に教えてくださいました。

また、講義だけでなく治療計画実習もあるので、医学の基礎から応用まで幅広く学ぶことができます。そのおかげもあり、合格率の低く、難易度が高いことで有名な医学物理士試験に合格することができました。研究に関しては、他大学にはない専攻分野にとらわれず研究できる環境も大きな魅力だと思います。実際私は大学院入学まで物理学の研究しかしてこなかったのですが、大学院入学後生物学の研究に興味がわき、教授と相談の上生物の基礎実験をさせていただいています。研究室には医学物理に限らず臨床や、基礎生物など様々な分野の研究に精通した先生方がいらっしゃるので、自分の興味がある様々な分野の研究に挑戦することができます。このように自分のしたい研究に全力で取り組める環境が整っていることは研究に対するモチベーションも維持することにも繋がると思います。

神戸大学は、出身分野にとらわれることなく、学びたいことを学ぶことができる環境が何よりの魅力だと思います。その分他大学院の学生と比べ多忙な日々になりますが、充実した学生生活を送ることができます。医学物理士という職業に興味がある方は出身分野問わず是非一度神戸大学へ見学に来てみてください。