神戸大学 医学部付属病院

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神経分化・再生5年生(取材当時) 織井 亮匡「巨人の肩の上に立つ」

※専攻・学年は取材時のものです。

写真:織井 亮匡

Q.いつ頃から医学研究コースを履修しようと考え始めたのですか?
またそのきっかけは何ですか?
編入学当初から考えていました。将来、基礎研究と臨床を両立した医師になりたいと考えていたので、学部生の初期から医学研究に触れることのできる機会を積極的に活用したいと思っていました。
Q.この分野を選んだ理由は?
私は将来、消化器内科医をしながら炎症性腸疾患領域の基礎研究をしたいと考えていたため、分野を選択する時点で、興味のある研究分野は大方絞られていました。編入学する前は皮膚免疫における神経系を介したアジュバント物質の研究をしていたこともあり、神経免疫の領域で腸の研究をしたい旨を消化器内科の先生にご相談したところ、本分野を紹介して頂きました。魅力的な研究テーマに加えて、留学生も多く研究室の雰囲気がよかったため、本分野を選択しました。

写真:織井 亮匡

Q.このプログラムの魅力は何ですか?
自由であることが最大の魅力であると思います。自分の興味に合わせて研究室も自由に選択できますし、研究室に所属した後も、先生方は私たちの希望を聞いて、それに沿った研究テーマを与えていただけます。さらに、多くの医学生は学業やバイト、部活などで忙しいと思いますが、実験は各々のスケジュールに合わせて自分自身で計画できるため自分のペースで研究に臨めます。自由度が高い分とてもやりがいのあり、研究を突き詰めたい人はとことん突き詰められるプログラムだと思います。
また、他の学生とコミュニケーションをとれる機会があるのもこのプログラムの魅力の1つだと思います。神戸大学リトリートでは主に学内の医学生と、全国リトリートでは全国の医学生と交流できます。同じ志をもった医学生と研究内容を発表し合い、ディスカッションをする事は貴重な機会であり、とても刺激になります。
Q.現在の取り組み、今後の取り組みを教えて下さい。
現在、遺伝子改変マウスを用いて、臓器感覚神経について組織学的に解析をしています。私たちの体は臓器間で情報伝達を行い、臓器機能を相互に制御することで生体恒常性を維持していますが、その詳細なメカニズムはわかっていません。各臓器のどこで、どの細胞がどの様な情報を収集しているのかを明らかにすることが私のテーマになります。今後は、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、より詳細な臓器と神経の構造を解析していく予定です。
また、昨年度(2022年度)に神戸大学医学部学生研究会を発足しました。学生が研究しやすい環境・学生主体の研究活動の実現を目的に、交流会、勉強会、研究を行っています。これらの活動を通して、神戸大学内での縦のつながりや横のつながりの輪を広げ、学生を中心に神戸大学の医学研究を盛り上げていきたいと考えています。

写真:織井 亮匡

Q.このプログラムに参加し、得たことがあなたの将来にどのように活かされると思いますか?
研究を通じて、臨床医学への別の視点を持つことができるようになったと感じています。例えば、肝切除の術中に、肝に投射する神経を切除する過程を見学した時のことです。私は肝臓の神経を温存するか否かが気になりました。臨床上特には問題にはならないようですが、この視点は、私が臓器感覚を研究しているからこそ得た視点だと思います。
また、『巨人の肩の上』に喩えられるように、現代の医療は先人たちの膨大な研究結果の上に成り立っています。研究に少しでも携わったからこそ、先人たちの研究の一端を垣間見ることができましたし、自分の研究が将来社会に還元されるのではというワクワクを感じることができています。このワクワクは将来自分が医学を微力ながらも進歩させていく原動力になると感じています。
Q.これから履修を考えている学生へ一言
一度きりの人生ですので何事もチャンスと捉え、是非、研究の世界に飛び込んでみてください!