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若手育成プロジェクト

神戸スプリングセミナーテルモプラネックス 2024年3月30日

2024年3月30日 テルモメディカルプラネックスにて若手医師・MEの為の手術トレーニングが開催されました。

獣医さんによる麻酔管理のもと拍動下ブタ心臓に対する冠動脈バイパス手術技能指導、人工心肺操作に至るまでより実践的なトレーニングを施行しました。天候にも恵まれ充実した一日となりました。

神戸スプリングセミナーテルモプラネックスに参加して

この度は、テルモのプラネックストレーニングに参加させていただき、ありがとうございました。このように動物の生体を用いたトレーニングは個人的には初めてで、大変貴重な経験でした。ご案内いただいたテルモ社員の皆様や、獣医師の先生、臨床工学士の方々など、たくさんの方にご指導を頂き感謝致します。

実は、研修日の5日前に、当院でon-pump arrest CABGを執刀しました。当院の症例数はCABGよりも大血管のほうが多く、私としても数多くのCABGを経験しているわけではないのですが、今回、数カ月ぶりに執刀する機会を頂きました。LITAの採取に時間をかけてしまったり、吻合後の止血に難渋したり、自分の実力不足を痛感させられました。どうしたらもっとクオリティを上げられるのだろうかと模索している中、このようなトレーニングに参加させていただくことができたのは非常にタイムリーで感謝しています。ハーモニックの丁寧な動かし方や、枝の処理のコツ、愛護的な吻合の方法、運針の仕方など、「ああ、あのときこうしたらよかったのか」と実感させられることが多くありました。

直接、チームとなって指導して頂いた田中先生から、特に吻合後の出血に対する追加針のかけ方もご教授いただきました。実臨床での手術では、吻合後に止血が必要な際、上級医の先生が追加針などのアフターフォローをして下さることが多いですが、今回自分の吻合に自分で追加針をかけてみるのは、今後年次が上がってそういう機会が増えると思うと大切な経験になりました。当然、実践で「試しにやってみる」なんてことはできませんが、実践と同じ環境で「こういう方法を試してみる」ができありがたく思います。さらに吻合が終わり岡田教授に、心臓に血流が戻った、赤くなったと言っていただけたことは光栄でした。

また、体外循環を立ち上げるとき、加藤先生の前立ちという形をとらせていただきました。医師としてこの4月から9年目になり、後輩の前立ちをしたり、後輩に教えたりという経験が今後増えていくことを考えると、そういう点でも大変勉強になりました。

私が神戸日赤で心臓外科をスタートさせてから3年が経過しました。普段、築部先生や泉先生から技術面でも知識面でも多くのことを教えていただいていますが、他施設の先生がたのやり方を直接手術台の上で教わることができたのはとても良い機会でした。次執刀する機会を頂いたときは、今回学んだことを活用し、質の良いITAの採取と、狭窄のない吻合100%を目指したいと思います。

この度は、岡田教授をはじめ、指導医の先生方、臨床工学士の皆様、テルモ社員の皆様のご協力のもと貴重な機会を下さいましたこと、大変感謝申し上げます。これを機にますます、心臓血管外科修練に励んでいきたいと思います。今後とも、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

神戸赤十字病院
心臓血管外科 菅野 令子

神戸スプリングセミナーテルモプラネックスに参加して

今回、プラネックスにて心拍動下冠動脈バイパス手術の手技を実践させて頂きました。まず内胸動脈の採取では実際に使用しているハーモニックを用いて採取ができ、本番さながらのトレーニングが可能でした。実際の手術では内胸動脈採取にそれほど時間を要することができず、急いで採取しているため細かい部分で雑になってしまうことがありましたが、もう一度そういった部分を自分自身で修正して確実なものにできるようトレーニングができました。そして人工心肺を確立では、人工心肺確立が初めての後輩と取り組み、自分自身の指導の仕方や立ち回りなど新たな観点でとても勉強になりました。そして左前下行枝に内胸動脈を用いて冠動脈バイパス術を行いました。これまで実臨床では冠動脈バイパス術を執刀した経験はありませんが、今回実際に本番と同様のセッティングでバイパス術を行うことができ、見ているだけでは分かリませんでしたが、実際に体験するとこれほどまでに難しかったのかと思う部分やこれまで常日頃術者を観察してきたことで、今回問題なく施行可能であった部分があり、今後の手術に対する見え方が変わりました。具体的には、心拍動下でバイパスを行うことや、シャントチューブが入った状態で吻合を行うことは自分自身にとって一番難しく感じました。今後はこのような手技を術者はどのようにうまく行っていくかを観察し、自分自身の手技も洗練させていければと考えました。今後実臨床で執刀する機会があった際には、今回のトレーニングを十分に活かして手術を行うことができると確信しております。

そしてこのような貴重な体験を動物の尊い命をもってして体験させて頂いたということに大変感謝とともに申し訳無さといった複雑な感情になりました。これまで大学の研究でも動物を用いた実験は行ったことはなく、動物愛護に関して考えたことや知識すらありませんでしたが、トレーニング前にスライドでプレゼンテーションをして頂き、大変考えさせられ勉強になりました。

プラネックスの施設で過ごした時間は、自分にとって計り知れない価値があります。ここでの経験は、今後進む心臓血管外科の道において、常に力強い支えとなると考えられます。実際の手技を通じて学んだこと、患者さんに対してより良い治療を提供するための知識と技術は、医師としてのキャリアにおいて不可欠なものです。心拍動下でバイパスを行うという技術だけでなく、プラネックスで学んだ全てのことは、今後直面するであろうあらゆる臨床状況において、自分の判断と技術を導く指針となるでしょう。これらの経験は、患者さん一人一人に最適な治療を提供するための自信となり、彼らの生命を救うための努力を支えるものです。

最後に、プラネックスの職員の皆様、そしてこの経験を通じて関わってくださった全ての人々に、心から感謝申し上げます。皆様の献身とサポートがなければ、このような学びの旅は実現しませんでした。これから先も、皆様から学んだことを胸に、医師として、また一人の人間として、成長し続けることを約束します。プラネックスでの貴重な経験を通じて、心臓血管外科の道を進む上での新たな一歩を踏み出すことができたことを、深く感謝しています。

神戸大学
心臓血管外科 白木 宏長