GIST (消化管間葉系腫瘍)

1. GISTについて

消化管壁の粘膜下層(壁の中心付近)に発生する腫瘍のことを、粘膜下腫瘍(SMT:Submucosal tumor)と呼びます。そのうち、粘膜下層内のカハール介在細胞から発生した腫瘍のことを消化管間葉系腫瘍(GIST:Gastrointestinal stromal tumor)と呼びます。GISTは癌とは異なりますが、癌と同様に他の臓器へ転移することがあり、悪性の経過をたどる腫瘍です。
毎年人口10 万人あたり1~2人がかかる稀な病気です。発症部位は胃が最も多く、次いで小腸、大腸に発生します。ちなみに、胃癌は人口10万人あたり100人くらいがかかるといわれていますので、いかに少ない病気であるかがわかると思います。

2. 手術に必要な主な検査について

手術を含め、治療方針の決定には、全身・内臓機能の評価と進行度(ステージ)の評価が必要になります。検査は、入院で短期間に集中して受けていただくことも可能です。

  • 上部消化管内視鏡検査、CT検査、PET検査でGISTの進行度評価を行います。さらに、GISTの病理組織学的な確定診断を得るために、超音波内視鏡検査を行う場合があります。
  • 採血、心電図、肺機能検査など、全身・内臓機能の評価を行います。

3. 初診から手術までに要する期間・入院期間の目安

  • 初診から手術までの期間:2~3週間
  • 入院期間:1~2週間

4. 治療方針について

GISTは、腫瘍の大きさ、肝臓や肺などの他臓器への転移の有無により治療方針が異なります。他の臓器へ転移を認めない場合、サイズの小さいGISTは外科的治療だけで治癒が期待できます。しかし、サイズの大きいGISTは、手術後に肝臓や肺に転移することもあり、術後に分子標的治療薬を長年にわたって内服することもあります。一方、他の臓器へ転移を認めた場合、外科的治療のみでの治癒は難しく、まず分子標的治療薬の内服を行います。このように、GISTといっても診断時の状況により、治療方針は異なります。
また、検査においてGISTの確定診断が得られないSMTも存在します。大きさや、増大傾向の有無を評価し、外科的治療を行う場合もあります。

5. 外科的治療について

GISTに対する外科的治療は、できるだけ臓器を残すことを考慮した「局所切除術」が原則です。ただし、部位や大きさによっては、より広範囲の切除(胃GISTの場合、噴門側胃切除術や胃全摘術など)が必要になることや、切離や切除後の縫合に工夫が必要になることもあります。
当科では、腹腔鏡による局所切除術を第一選択としており、さらに消化器内科医による内視鏡と協力して行う腹腔鏡内視鏡合同手術(laparoscopic laparoscopy and endoscopy cooperative surgery:LECS)を積極的に行っています。ただし、腫瘍のサイズが大きい場合や、切除や縫合が困難になる場合には、開腹手術を選択しています。

6. 術後補助化学療法について

術後の病理組織学的検査において、GISTと診断された場合には、下記の分類表を用いて、リスク分類が行われます。

<modified- Fletcher 分類>

  腫瘍径(cm) 核分裂数(/50HPF) 臓器
超低リスク ≦2 ≦5 Any
低リスク 2.1-5.0 ≦5 Any
中リスク ≦5 6-10
5.1-10.0 ≦5
高リスク Any Any 腫瘍破裂
>10.0 Any Any
Any >10 Any
>5.0 >5 Any
≦5 >5 胃以外
5.1-10.0 ≦5 胃以外

超低~中リスクの場合は、術後6カ月から1年おきの定期的な画像評価を行い、再発の有無を確認します。一方で、高リスクと評価された場合、術後3年間程度の分子標的治療薬の内服が推奨されています。この治療方法を、術後補助化学療法と呼び、術後の再発抑制を期待します。