医用工学研究班
近年、医療における人工知能やロボット工学の応用を目的とした研究が医用工学分野で盛んにおこなわれています。当研究室でも外科医が中心となって手術映像の人工知能による解析や技術分析などに取り組んでいます。また、奈良先端科学技術大学院大学生体医用画像研究室をはじめとする理学系・工学系の研究機関と共同研究も行っております。われわれ外科医の視点を大切にしてこれらの研究を進めることで、“実際の手術に還元できる医用工学技術の開発”を目指しています。
具体的な研究内容を下記に示します。
- 人工知能を用いた腹腔鏡画像の解析
- 3D/4K内視鏡の有用性
- 触覚センサーを有する手術支援ロボット鉗子の開発
- 内視鏡把持装置に関する研究
この他にも、若手の大学院生を中心に、柔軟な発想で自由に研究テーマを模索し、活発に取り組んでいます。
癌免疫研究班
PD-1阻害をはじめとした癌免疫に関する治療法の進歩は、消化器癌にも不可欠なものになりました。当研究室では、山下特命准教授の指導の下、大学院生を中心に腫瘍学及び免疫学の手法をもとに、消化器癌の病態を解明すると共に、新たな治療開発に取り組んでいます。また、神戸大学の各診療分野をはじめ、他大学、企業とも共同研究を積極的に進めています。
- NKT細胞ワクチンベクター開発
NKT細胞ワクチンベクターであるOVA-EP-DC/Galを用いて、NKT細胞を介した一連の反応で腫瘍反応性T細胞を誘導し、抗腫瘍効果を検討しています。
- 胃癌手術検体抗体取得(iBody株式会社との共同研究)
胃癌治療薬開発を目的として、手術標本よりB細胞を抽出し、無細胞タンパク合成を用いて抗体情報を取得する技術(Ecobody 技術)を用いて、抗体取得を行っています。 - 消化器癌患者末梢血T細胞の免疫シナプス形成(Sysmex株式会社との共同研究)
イメージングサイトメトリーを用いて免疫シナプス形成能を細胞集団レベルで検出し、その生理的意義と癌患者の特徴を解析しています。 - 消化器癌の術前化学(放射線)療法における腫瘍微小環境の変化
食道癌術前化学療法や直腸癌術前化学放射線療法の治療成績の向上を目指して、ヒト検体及びマウスモデルを用いて、その微小環境の解析を行っています。 - 骨髄由来免疫抑制性細胞(MDSC)と腫瘍微小環境
腫瘍の進展と予後に深く関与し、治療標的となりうる骨髄由来免疫抑制性細胞(MDSC)の機能解析とそれに関連する治療開発を行なっています。