緩和ケアの専門性は、「生命の危機に直面する疾患を持つ患者と家族」を対象とし、「多面的かつ包括的なアセスメントに基づいて患者と家族の生活の質(Quality of Life: QOL)向上を目指す」医療の実践です。より平たく言えば、「症状マネジメント」・「治療・療養に関する意思決定の支援」・「エンド・オブ・ライフケア(終末期ケア)」が専門であると言えます。
神戸大学医学部附属病院では、全国に先駆けて2006年から緩和ケアチームの活動を開始し、2013年6月に診療科として緩和支持治療科が設立されました。当科では、疾患や時期、入院・外来の如何を問わず、必要に応じて診断時から緩和ケアを実施する体制を整備するよう努力しています。その一環として、入院患者に対する緩和ケアチームのコンサルテーションに加え、外来通院中の患者さんとそのご家族が専門的緩和ケアを受けられる外来コンサルテーションの体制整備を進めており、症状緩和のみならず患者さんの治療や療養に関する意思決定支援、治療医の診療に対するサポート、がん診療拠点病院の機能として求められる地域コンサルテーション(地域の病院や診療所での困難事例へのサポート)などを通じて、神戸大学医学部附属病院と兵庫県のがん医療に貢献していきたいと考えています。