ごあいさつ
神戸大学 医学部附属病院 緩和支持治療科/大学院医学研究科 内科系講座 先端緩和医療学分野 のホームページにアクセスいただきありがとうございます。
当教室は、2012年10月の大学院医学研究科 先端緩和医療学分野、2013年6月の医学部附属病院 緩和支持治療科の設置に始まりました。
開設より当分野を引っ張ってくださっていた 木澤 義之先生・山口 崇先生のあとを継ぎ、2026年1月より、釆野優が本分野を主宰いたしております。
全国でも数少ない緩和医療学分野の大学医局として、地域での持続可能な緩和医療提供体制の構築と次世代の緩和医療専門医の育成、緩和医療の研究・開発を使命とし、緩和医療の臨床・教育・研究に取り組んでまいります。以下に、私たちが目指す分野の展望を紹介します。
”患者・家族に緩和ケアが届く社会”を実現する
緩和ケアは、「生命の危機に直面する疾患を持つ患者と家族」を対象とし、「多面的かつ包括的なアセスメントに基づいて患者と家族のQOLの向上を目指す」ことを専門とする分野です。つまり、疾病や治療に関連する苦痛を和らげ、重篤な疾患を持ちながらその人らしい生活を過ごせるようサポートを行います。
苦痛を和らげることは、医療の根幹をなす営みです。私たちはその基本を何よりも大切にし、患者さんが疾患に対する治療に安心して取り組めるよう、専門的な知識と技術をもって「からだ」と「こころ」の症状緩和に取り組みます。そして、そのような緩和医療が全国どこにいても、いつでも受けられる社会の実現を、私たちは目指します。
地域で次世代の緩和ケアを担う人材を育成する
“患者・家族に緩和ケアが届く社会の実現”には、人材育成が不可欠です。全国的に見ても、緩和医療を専門とする医療者は依然として不足しています。今後の高齢化社会における緩和ケアニーズの高まりに対応するためには、専門的緩和ケアを担う人材育成は喫緊の課題です。私たちの分野では、緩和ケアの専門性が必要とされかつ十分に発揮できる「緩和ケア病棟」「緩和ケアチーム(急性期病院での緩和ケアコンサルテーションサービス)」「在宅緩和ケア」での研修をバランスよく行い、がんなどの悪性疾患だけではなく心不全・呼吸器疾患・神経疾患など非がん疾患にも幅広く対応でき、成人のみならず小児にもケアを提供できる専門人材を育成します。また、神戸・兵庫県域での人材育成体制を一つのモデルとして構築し、その成果を全国に発信してまいります。
未来の緩和医療の研究・開発
また、これからに向けて重要なこととして、未来の緩和ケアを創造する研究・開発が挙げられます。これまでも当分野では、症状緩和治療やより良いコミュニケーション方法の開発などに関する研究を行ってまいりました。今後は臨床研究・基礎研究・社会医学研究を横断しながら、Unmet Needsの解決に挑戦してまいります。このような革新的な挑戦に取り組みながら、国内外の緩和医療学研究を牽引していくリサーチマインドを持った人材の育成にも取り組みます。
最後に、神戸・兵庫県域は、阪神淡路大震災などの経験を経て、相互に助け合い励ましあう、互助精神・地域の絆の強い地域であると認識しております。緩和医療を根付かせていくうえで、これは大きな地域の強みであり、本分野は、地域の一員としての自覚を持ち、時に支え支えられながら、神戸・兵庫県域の緩和医療のさらなる発展に尽力してまいります。
皆様の変わらぬご指導とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
2026年(令和8年)1月
神戸大学医学部附属病院 緩和支持治療科
特命教授 釆野 優