新型コロナウイルスグループ
我々はアイルランガ大学熱帯病研究所と共同で、インドネシア東ジャワ州において呼吸器疾患患者から口咽頭・鼻咽頭拭液及び喀痰を採取し病因ウイルスを解析し、新型ウイルスの発生を監視しています。2019年12月に中国で発生した新型コロナに対しても直ちにRT-PCR検査系を立ち上げ、2020年2月より病因解析に加えてきました。インドネシアでは近隣諸国に比べて1ヶ月以上遅れて3月2日に最初の感染者が発見されました。我々は3月12日採取の検体に初めて陽性例を見出しました。14日には国が四つのラボをコロナ検査機関として指定しましたが、その一つに熱帯病研究所すなわち我々の研究室が選ばれ、それ以降は国の検査の一旦を担う形になっています。インドネシア保健省によると、5月31日時点でインドネシア国内の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染者は26.473人、死者数1.613人で東南アジアではシンガポールに次ぎ多く、感染は拡大の一途を辿っています。インドネシアSARS-CoV-2全ゲノム配列はこのウイルスの世界伝播の全体像解明に必須で、インドネシアでの進化の特殊性の解明、さらにはワクチン開発にも必要です。また、ウイルス伝播を抑制するためには、大多数のヒトがSARS-CoV-2に対する免疫を獲得する必要があります。SARS-CoV-2感染者には不顕性感染者も多く存在するとされていますが、その感染率は世界中において定かではありません。 |
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