ご挨拶

 

御挨拶

菊田 順一
菊田 順一
この度、神戸大学大学院医学研究科 未来医学講座 免疫学分野を主宰することになりました菊田 順一です。本教室は、2023年12月1日に立ち上がった新しい研究室です。どうぞ宜しくお願い致します。

私は、2006年に大阪大学医学部医学科を卒業後、国立病院機構大阪南医療センターにて初期臨床研修およびリウマチ科後期研修を行いました。数多くの関節リウマチ患者さんを診察・治療する経験を得た中で、骨・関節破壊の原因となる破骨細胞の実体をin vivoで明らかにしたいと思い、2009年に大阪大学大学院医学系研究科に進学しました。生体二光子励起顕微鏡を用いて生きた骨組織内部を観察する方法論を立ち上げておられた石井優先生のもとで、成熟破骨細胞の機能を可視化する生体イメージング系を独自に開発し、破骨細胞による骨吸収制御メカニズムを明らかにしました。2013年に学位取得後も引き続き石井研究室で、生体イメージング技術を活かした免疫学研究を行い、関節リウマチをはじめ様々な免疫疾患の病態の理解と創薬への応用に取り組んでまいりました。

長年の免疫学の学問的進歩により、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害剤など、免疫システムに注目した様々な治療法が登場し、これまで治療に難渋していた疾患においても病状の寛解や治癒を目指すことが可能となりました。一方で、いまだに病態メカニズムがはっきりとせず根治治療が難しい疾患が数多く残されています。免疫学教室では、これまで培ってきた経験を活かして、自己免疫疾患や肺線維症、がんなど様々な難治性疾患の発症初期における病態を解析し、「病気がなぜ引き起こされるのか」を明らかにすることで、副作用の少ない理想的な治療法の開発に役立てたいと考えています。また、将来の免疫学研究を担う若手研究者の育成にも尽力してまいりたいと考えております。今後とも御指導御鞭撻の程どうぞ宜しくお願い申し上げます。
 
 

研究室の取り組み


私は、これまでの研究活動・医学教育の経験を活かし、医学および医療における社会的使命を果たせるような教室運営を目標とし、以下に具体的な取り組みを述べさせていただきます。
 

1. 医学への精進と貢献

私はこれまで、「生体内で病気が起こっている現場では、実際に“何が” 起こっているのか」、「治療薬は生体内で“いつ”、“どこで”、“どのようにして”効果を発揮するのか」」という内科医としての疑問を、基礎医学研究によって解決したいと考えてきました。本教室では、私がこれまで培ってきた生体イメージング技術という独自の研究アプローチを用いて、免疫疾患の病態を理解し適切に治療できる未来を切り拓いていきたいと考えています。特に、アンメットメディカルニーズを解決できるようなトランスレーショナル研究を推進し、基礎・臨床教室とも積極的に共同研究を行いながら、医学および医療の発展に貢献したいと考えています。
 

2. 世界で活躍できる医療人の育成

私は、医学生時代に経験した基礎医学研究の魅力が、その後の基礎医学研究者を目指す大きなきっかけとなりました。本教室では、知的好奇心が旺盛で、高いリサーチマインドを持った若手医学研究者・Physician Scientistの育成に尽力したいと思います。病気で苦しむ患者さんの気持ちに寄り添い、将来の新しい治療法の発見に貢献したいという思いで研究者を志す若い人たちのために、最適な研究環境および教育を提供したいと考えています。基礎医学研究医の養成プログラムに参加する意欲的な医学生には、それぞれの希望や興味などを考慮して相談しながら個別の研究テーマを設定し、個々の学習・習得段階に応じてスキルアップを図りたいと思います。また、研究的視点と高いモチベーションを持った大学院生には、それぞれのバックグラウンド(臨床経験)・将来展望を考慮しながら、研究分野に関する専門知識と、研究者として将来自立するために必要な手技を体系的に習得していただきます。そして、個々の長所を伸ばしながら、柔軟な発想とリサーチマインドを育み、国際的な視野も併せ持つ人材を一人でも多く輩出し、世界に向かって大きく羽ばたいて活躍してほしいと思います。
 

3. 研究室内の多様性と調和の実現

私はこれまで、多くの素晴らしい上司、先輩、同僚、後輩に恵まれてきたおかげで、現在の研究活動につながっていると心から感謝しています。研究は1人では決して成し遂げられず、多くの人の協力と信頼関係が必要不可欠です。教室を運営するにあたり、人は最も重要な財産ですので、人との出会いや縁を大切にしながら、研究の楽しさを共有できる仲間を一人でも多く増やしたいと考えています。研究室では“和”を重視し、ラボメンバー同士のコミュニケーションを大切にするとともに、それぞれの研究がストレスなくスムーズに進展できるよう、明るく開けた講座運営を心掛けたいと思います。また、四六時中研究に没頭したい人も、臨床と研究をうまく両立をしたい人も、家庭や育児との両立を目指したい人も、それぞれがお互いに切磋琢磨して研究成果を出せるよう、多様な価値観を尊重したいと考えています。
 

4. 様々な連携を通じた人材交流の促進

近年、生命科学研究の発展はめざましく、様々な専門的知識・技術が研究に求められるようになり、1つの研究室だけでは問題を解決できなくなってきています。実際に、私自身も数え切れない程の共同研究者に大変お世話になって、現在に至っています。本教室では、これまでの人材交流の経験を活かして、若手研究者を中心とした国内外の連携研究室との相互交流や共同研究を推進するとともに、ラボメンバーの研究モチベーションの維持や活性化にもつなげたいと考えています。特に、医学部学内の基礎・臨床医学の連携、他部局の異分野融合による連携、企業との連携、国際連携など様々な形での連携を通じて、人材交流を行い、“神戸”に根付いた医学研究の実践を目指したいと思います。