附属病院長からのメッセージ

医学部附属病院長

眞庭 謙昌

神戸大学医学部附属病院は明治2年(1869年)に開院した「神戸病院」に始まり、のちに兵庫県立医科大学、そして神戸大学医学部附属病院となり、現在に至っています。開設に際しては、開港して間もない神戸において諸外国に引けをとらない医療を広く提供するため、初代兵庫県知事であった伊藤博文らの呼びかけによって地元の方々から寄付が集められ、神戸らしい洋館の病院が建築され、アメリカ人医師ヴェッダーが初代院長として招かれました。一昨年には創立150周年を迎えた歴史の中で「地域に根差した国際的先進医療の実践」という開院当時の理念が脈々と受け継がれ、発展してきました。

当院は、“@患者中心の医療の実践、A人間性豊かな医療人の育成、B先進医療の開発と推進、C地域医療連携の強化、D災害救急医療の拠点活動、E医療を通じての国際貢献”を基本理念に掲げ、地域医療構想における高度急性期病院として、また、国の指定による特定機能病院としての役割を果たしています。

高度急性期病院の機能は、地域の患者さん、そして圏域の医療施設から求められる当院の重要な役割であり、高度な専門性をもった各診療科が結集して重症患者さんの治療に当たっています。また、医療圏の要となるべき当院においては、地域医療連携体制を牽引していくことも求められ、兵庫県下での医療ネットワークの構築、医療情報の集積と分析を推進しています。医学生のみなさんには、最先端の高度医療を学んでいただくのはもちろん、連携する病院での実習などを通じて、当院を中心にして有機的に拡がる診療を実感していただきます。

特定機能病院に求められる役割の中で、「高度の医療の提供、開発及び評価」に加えて、「医療従事者の養成、教育」は当院が特に重点を置く機能です。当院では総合臨床教育センターが中心となって、広く医療にかかわる人材の育成、そしてキャリア形成のためのサポートを卒前・卒後、一貫して行っています。医師養成についても医療スタッフの一員としての学修を前提として、高い倫理観、協調性を身に付けたうえで、高度の医療とその開発の現場を学んでいただきます。

現在の診療においてはチーム医療が基本であり、不可欠であることはご存知の通りです。そのチームも、ひとつの診療科の医師チームから複数の診療科の合同チームへ、そして多職種が参加した院内チーム、さらには病院の枠を越えた地域連携へと広がっていき、これからはグローバルな視野も必須です。みなさんがこれから充実した医療従事者間のネットワークを活用して、患者さんに最良の医療を提供していくためにも、多くの同僚とコミュニケーションをとり、絆を築くことが重要と考えます。みなさんが将来に渡って信頼しあえる幅広い医療人の輪を構築できるよう、本院では教育環境の更なる整備を進めています。

大きな夢を持ち、意欲に溢れるみなさんと診療をともにする日を心待ちにしています。