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概要

色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum:XP)は様々な程度の日光過敏症状を呈し、露光部皮膚の乾燥、色素沈着を呈し、皮膚癌を高率に発生する高発癌性遺伝疾患である。A~G群、V(バリアント)型の8つのサブグループに分けられる。一部のグループでは様々な程度の神経症状を合併する。

原因

現在A~G群、V型の全ての原因遺伝子が判明している。A~G群の遺伝子は、紫外線によって生じたDNA損傷を修復する過程に必要な蛋白を作り、V型の遺伝子は損傷乗り越え複製に必要な蛋白を作る。 色素性乾皮症では、これらの欠損により、傷をもった遺伝子が増えてしまうことにより、発癌に至ると考えられている。しかし、強い日焼け症状の出現、多形皮膚萎縮についての発症機序は不明。また合併する神経症状の出現の理由も不明である。

症状

各群によって症状は異なる。本邦で最も多いA群では、乳児期より高度の日光過敏性があり、成長に伴い露光部皮膚の乾燥、雀卵斑様色素斑が目立ち、早い例では10歳頃から皮膚癌の発生がみられる。 神経症状は、3歳頃から出現し、20歳ごろには高度の歩行障害、誤嚥等が頻発する。聴力障害も5-6歳ころから現れる。いずれのタイプも放置すると小児期から青年期に皮膚がんを発症する。

治療法

根本的治療法はいまだ確立されておらず、皮膚科、小児科・神経内科、眼科、耳鼻科、整形外科、歯科、泌尿器科など多診療科の医師がチームを組んで、遮光指導、皮膚がんチェック、補聴器装用、リハビリ指導などの患者ケアにあたる。家庭、学校を含め日常生活空間で窓ガラスに紫外線カットフィルムを貼る。外出時には、帽子、衣類、サンスクリーン剤による厳重な遮光を行なう。個々の皮膚がんはステージ、発症部位、個数等に応じて外科的切除、イミキモドや5FUの外用などを選択する。

予後

生命予後を決めるのは神経症状であるが、遮光が適切に行なわれなければ全患者で若年で皮膚がんを発症するため、生涯にわたる遮光を余儀なくされ、QOLは著しく低下する。診断が遅かった症例では、顔面の皮膚がんの断続的な外科的切除を強いられ、整容面でもQOLは著しく低下する。

なお、XPの診療ガイドラインは現在日本皮膚科学会で審査中です。
XPの患者さんのご紹介は紹介状を添えて月曜日に受診下さい。
予約については当院地域連携室にご連絡下さい。
どうしても受診できない場合の検査依頼については、“検査のながれ“をご覧下さい。