鼻の修正手術

鼻の修正手術について

鼻の修正手術

美容外科手術に「絶対にこれじゃないとダメ」という手術はありません。

そして「絶対に失敗しないんです」というドクターも存在しません。

そもそも「失敗」という言葉を使うべきかどうかも曖昧です。ドクターにとって(場合によっては、他の人にとっても)「成功」であっても、患者様にとっては「失敗」でしかないこともあります。

いずれにせよ、神戸大学病院美容外科には他院の鼻手術の修正を希望される患者様がしばしば来院されます。

他院の鼻手術といっても、いろいろな手術があるので、まとめて説明することはできません。ここでは、当院による他院の鼻修正手術に対する治療方針について説明します。

当院の基本方針「解剖学的に正しい状態に戻す」

簡単に言えば、元の状態に戻します。

鼻は複数の軟骨の骨組みと、その裏側の粘膜、表側の皮膚(+皮膚の下の脂肪組織)によって構成されています。

まずは手術によって変形したものを、可能な限り元に戻すことを目指します。求める鼻の形状を目指すのは、それからです。

全身麻酔で安心な手術

特に修正手術は予想外の事態があり得る手術です。手術時間が予定を大きく超えることもあります。手術中の判断によって肋軟骨採取が必要になった場合など、局所麻酔では十分な対応ができないことも考えられます。

局所麻酔でも不可能ではありませんが、以上の理由から当院では全身麻酔をお勧めしています。

オープン法による修正手術

鼻の手術には「クローズ法(鼻の穴の中だけを切開する方法)」と「オープン法(鼻柱にも切開を加える方法)」がありますが、当院の修正手術ではオープン法を用いています。

鼻の初回手術では、鼻の軟骨の形状に変化を加えることで、鼻先を尖らしたり、細くしたりします。また軟骨移植も、しばしば活用されています。そのような手術の影響を排除し、元の状態に戻すには、しっかりと状態を観察することが重要です。

そのためにはクローズ法ではなく、オープン法が必要です。

術中に認められる問題

具体的な手術内容は、症例ごとにオープン法で鼻の皮膚(+脂肪組織)をめくり上げてから判断しますが、度々術中に認められる問題を示します。

  • 異物(シリコンなど)に鼻の軟骨が押されて、変形している。
  • 移植された軟骨に鼻の軟骨が押されて、変形している。
  • 軟骨が切断されてしまっている。

このように色々な問題が、組み合わさっているのが鼻の修正手術です。

軟骨が傷んでしまっている場合には、鼻中隔軟骨や耳介軟骨、場合によっては肋軟骨を採取して再建します。その上で、患者様と相談した鼻を目指して鼻尖形成術や鼻中隔延長術などを行っていきます。場合によってはシリコンのインプラントを併用することもあります。

なお当院では現時点で、安全性に不安が残ると判断し、保存軟骨や人工物によって鼻の高さを作ることは行っていません。

後療法

手術の内容によって後療法も変わります。

ほとんどの場合にはギプス(多くの場合はマスクで隠せる程度です)で外側から押さえつけ、綿球や装具で内側から押さえつけます。

皮膚の下に血液が溜まると、感染が生じたり(傷が化膿したり)、将来の鼻の曲がりの原因になることもあるので、後療法は非常に大事です。

術後は稀に、以下のような症状がみられる場合があります。

合併症・副作用
腫れ/内出血/血腫/傷跡/痛み/感染/左右差/違和感/鼻閉感/呼吸困難

気になる症状が現れた場合には、速やかにご連絡ください。

まとめ

鼻の修正手術は、深い知識と高度な技術を要求される手術です。

どれだけ慎重に手術を行っても、初回手術に比べると変化は出にくく、感染などの危険性も高くなります。感染が生じてしまうと、その治療は非常に困難なものになります。時には妥協を求められることも考えられます。

ぜひ十分に担当医と相談の上、手術に臨まれることをお勧めします。