鼻中隔延長術

鼻中隔延長術について

鼻中隔の構造

鼻中隔の構造

鼻は骨と軟骨でできた土台の上に皮膚がかぶさってできています。

鼻中隔は前方が軟骨、後方が骨でできており、それを粘膜が覆っている構造です。

鼻中隔を伸ばし、それに合わせて大鼻翼軟骨を曲げて鼻の形を変化させるのが鼻中隔延長術です。

鼻中隔延長術

鼻中隔延長術

実際の鼻中隔延長術では、大鼻翼軟骨の間で鼻中隔軟骨を露出させることから始めます。鼻中隔軟骨を部分的に取り出し、延長の材料に用います。もし十分な鼻中隔軟骨が得られない場合には、耳介軟骨や肋軟骨を用いることもあります。

材料となる軟骨を、延長したい方向に鼻中隔軟骨に縫い付け、延長した鼻中隔が曲がらないように、軟骨を用いて、延長した軟骨を支えます。延長した鼻中隔に合わせて大鼻翼軟骨を縫い付け、形を整えて手術は完了です。

鼻中隔延長術に軟骨移植や、シリコンのプロテーゼを併用して、形を整えることがあるのは、鼻尖形成術と同じです。

鼻中隔延長術は、鼻の構造を根元から組み替える手術になるため、他の手術に比べると身体の負担も大きくなります。当院では基本的には全身麻酔をお勧めしています。

鼻中隔延長術の注意点

鼻中隔延長術では術後約2〜3日後(個人差あり)に腫れがピークを迎え、その後徐々に引いていき、およそ7日~10日間後には大きな腫れは治まってきます。1ヶ月後にはお化粧なしでも外出できる程度まで回復してきます。4~6ヶ月後には傷跡もほとんど目立たなくなります。

1週間程は日中もギプスを装着していただき、その後2~4週間は就寝時に装着していただきます。約1週間後に鼻の表面、約2週間後に鼻の中の抜糸を行います。

翌日から洗顔・メイクは可能ですが、治療箇所のメイクは抜糸後まで控えてください。無理はせず腫れが引くまでよく冷やして安静にしている方がダウンタイムを短くすることができます。

シャワーは当日から可能ですが、浴槽にゆっくりと浸かって温まるのは、1週間は避けていただいています。学校や会社へは翌日から行くことは出来ますが、大きな腫れがみられるので、2〜3日はお休みいただくことをおすすめします。運動は術後1週間程控えていただいています。

鼻の組織の安定には3〜4週間程度かかるため、1ヵ月は顔のマッサージ、眼鏡・サングラスの長時間使用、うつぶせ寝は控えてください。

術後は稀に、以下のような症状がみられる場合があります。

合併症・副作用
感染/血腫/内出血/腫れ/傷跡/アレルギー反応/糸の露出/鼻孔のひきつれ/左右差/鼻尖の曲がり/違和感/鼻柱の凹凸・分厚さ/鼻閉感/移植軟骨が浮き出る/鼻が長すぎる・短すぎる/鼻尖が高すぎる・低すぎる/上唇の動きが悪くなる

気になる症状が現れた場合には、速やかにご連絡ください。

鼻中隔延長術の問題点

鼻中隔延長術は、他の手術では出すことができないような大きな変化を出せる優れた手術ですが、全ての手術に良い点と悪い点があります。注意するべき点について、順に説明します。

延長する材料の問題

鼻中隔延長術の問題点

一般的に用いられる材料は、ご自身の鼻中隔軟骨です。ここでいくつかの問題があります。

鼻中隔軟骨自体が鼻の構造を維持するために重要な役割を果たしており、その役割を果たせるだけの鼻中隔軟骨は残さないといけません。具体的には外枠となるL型の部分を最低でも10mmは残すべきとされています。使用できる鼻中隔軟骨の大きさは限られたものになってしまい、鼻中隔軟骨では足りない人も少なくありません。

そのような場合、クリニックによっては人工物や保存軟骨を使用する場合もあります。これまでに吸収性プレート、屍体からの保存軟骨、豚の軟骨などが報告されています。しかし長期にわたっての安全性が確認できていないと判断しており、当院ではそのような人工物や豚軟骨などは使用していません。(これはあくまで現時点での当院の判断であり、他のクリニックで使用することを否定するものではありません。)

鼻中隔軟骨が使えない場合には、当院では主に耳介軟骨を用います。

耳介軟骨は鼻中隔軟骨に比べると、柔らかくて曲がりやすく、分厚いので、率直に言えば、耳介軟骨は鼻中隔延長術に適しません。無理して延長しても曲がってくるなど、トラブルが多くなるので、延長量は小さくする方が安全です。

しかし局所麻酔でも容易に採取できる、術中に鼻中隔軟骨が使えないと判明してからでも採取できる、といった長所があります。

もう一つの方法として肋軟骨を用いる方法があります。胸にある肋骨のみぞおち付近にある軟骨のことです。女性であれば乳房の下の線に合わせた部分に4〜5cmの傷をつけて取り出して、これを薄く加工して用います。肋軟骨は優れた材料ですが、強度を保つためには分厚く加工する必要があり、鼻中隔軟骨に比べると曲がりやすいです。そして何よりも胸に傷をつけるという欠点は無視できません。

曲がってくる可能性

曲がる原因として、移植した軟骨を押さえつける皮膚からの圧力が問題と考えています。

鼻中隔延長術は、元々持っている鼻中隔軟骨を土台として、移植する軟骨を継ぎ足して延長するという手術です。慎重にまっすぐに延長させても、土台となる鼻中隔軟骨が負担に耐えきれずに曲がってしまうと、当然継ぎ足した軟骨も曲がってしまいます。

曲がる可能性を減らすためには、延長する量を減らして、鼻中隔にかかる負担を減らすしかないと考えています。

空気の通り道の問題

これまでに説明して来たように、鼻中隔延長術では、いかに軟骨が曲がらないように固定するのか?が非常に重要です。そのため土台となる鼻中隔に、移植する軟骨を縫い付ける際に、左右から軟骨で補強を行います。薄い軟骨ですが、2枚、3枚と重ねることでそれなりの厚みを持ちます。これにより完成した鼻中隔は太くなり、鼻の穴が狭くなります。そして空気の通りを邪魔します。

これまでに説明して来たように、鼻中隔延長術では、いかに軟骨が曲がらないように固定するのか?が非常に重要です。そのため土台となる鼻中隔に、移植する軟骨を縫い付ける際に、左右から軟骨で補強を行います。薄い軟骨ですが、2枚、3枚と重ねることでそれなりの厚みを持ちます。これにより完成した鼻中隔は太くなり、鼻の穴が狭くなります。そして空気の通りを邪魔します。

鼻の触った感じの変化

鼻中隔を延長された鼻では、その固い鼻中隔が鼻尖にまで達します。触ると硬い軟骨を触れるようになります。

例えば鼻尖を指で押し上げて、ブタ鼻を作るようなことはできなくなります。