胃癌

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胃癌について

胃がんは罹患部位として2番目に多い癌であり、年間約5万人(厚生労働省平成25年データより)が胃がんで死亡しています。胃がん罹患率、死亡率、年齢別にみた場合、ともに40歳代後半から増加し始め、男女比では男性のほうが多い傾向にあります。

胃がんは、胃壁(いへき)のもっとも内側の粘膜より発生します。粘膜から胃壁の外に向かってがんが広がっていくと、転移が存在する危険性が増加します。
胃がんは、早期がんと進行がんに分類されます。早期胃がんは、がんの広がりが粘膜または粘膜下層までにとどまっているものをいいます。一方で、胃壁の筋層をこえて広がったがんを進行胃がんといいます。
早期胃がんではもちろん転移をおこす頻度は少なくなりますが、早期や進行という分類よりも、がんの深さに加えて転移の程度なども反映した進行度(ステージ)分類が治療の選択や生命予後を知る場合においては重要になってきます。胃がんの転移形式は、以下の3つに大きく分れます。

胃癌

リンパ節転移

胃癌リンパ節転移は、もっとも多い転移形式です。リンパ節は本来、細菌やウィルス、有害物質などが血液に入らないようにする働きがあります。

がん細胞も同様にリンパ節に侵入し、ここで増殖したものがリンパ節転移です。がんを切除する手術の際には、一定の範囲のリンパ節を予防的もしくは治療的に摘出します(リンパ節郭清(かくせい))。

リンパ節転移が胃の周辺にとどまっている場合は、リンパ節郭清を行うことで治る可能性があります。

腹膜転移

腹膜転移(播種(はしゅ)ともいいます)は、胃の最も外側の壁を越えたがん細胞がお腹の中にこぼれることにより起こり、主に腹腔内の腹膜、小腸、大腸などに発生します。進行すると腹水が貯まったり、腸閉塞を起こすことがあります。
腹膜転移があると、一部の場合を除いて手術でがんを取りきることは難しく、原則として抗がん剤治療を行います。

血行性転移

血行性転移は、胃壁にある血管内に入り込んだがん細胞が血液に乗って他の臓器に転移をきたしたものです。血行性転移は肝臓にもっとも多くみられます。血行性転移があると、胃がんの進行度は最も進んだIV期となり、通常は手術の適応とはならず、抗がん剤を中心とした集学的治療が選択されます。

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手術に必要な主な検査について

検査は入院して短期間に集中して受けていただくことも可能です。

上部消化管内視鏡検査

いわゆる「胃カメラ」と呼ばれる検査で、胃・食道の内腔面から病変を観察します。同時に組織診断目的に生検組織を採取します。 早期胃がんの場合は、術中に腫瘍の位置を確認する目的で、術前に内視鏡下にクリップや色素を用いたマーキングを行います。

上部消化管造影検査

バリウムと発泡剤を内服後、X線にて病変を撮影する検査です。胃の全体像の確認や凹凸の変化をみることに適しています。手術を行う場合は、特に胃の切除範囲を決定や胃壁の動きから周りの臓器との関係をみるために行います。

超音波内視鏡検査

先端に超音波プローブを装着した胃カメラを用いて検査を行ない、病変の深さや周りのリンパ節や臓器へ広がっていないかなどを診断します。

CT検査

リンパ節転移、肝・肺転移、腹水の有無などを調べます。進行癌では胃の病変そのものも観察します。進行度の評価には必須の検査です。

PET検査

腫瘍がブドウ糖を取り込む習性を利用した検査です。脳や腎臓以外の全身を一度に調べることができます。

審査腹腔鏡

一部の進行がんに対してCTやPETで描出が困難な小さな腹膜転移や洗浄腹水中のがん細胞を調べる目的に行います。入院の上、全身麻酔下に行っています。

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治療について

胃がんの治療は、その進行度によって異なります。当院での治療は日本胃がん学会が作製した日本胃がん治療ガイドライン(2014年5月に改訂)を基本として治療を行っています。
しかし、胃がんの治療成績向上や患者さんの体の負担を少なくすることを目的とした低侵襲治療を積極的に行っています。また、JCOG(ジェイコグ)(日本臨床腫瘍研究グループ)の参加施設として、治療の有効性や安全性を調べる臨床試験も行っています。

胃がんの代表的な治療としては、内視鏡(胃カメラ)で胃粘膜切除を行う治療、外科で行う胃切除、化学療法(抗がん剤)があげられます。これらの治療は単独で行う場合と、それぞれを組み合わせて行う場合があります。以下では当科で特に力を入れている二つの治療についてご説明いたします。

低侵襲治療:腹腔鏡手術

腹腔鏡下胃全摘術(オーバーラップ法による食道空腸吻合)内視鏡治療の適応がない早期胃がんや一部の進行胃がんに対して内視鏡外科学会技術認定医を中心として、現在までに400例以上の経験があります。
腹腔鏡下胃がん手術は、本邦で報告されてから20年近く経過し、すでに健康保険でも認められている手術です。

現在保険適応となっているすべての腹腔鏡下胃がん手術(幽門側胃切除、噴門側胃切除、胃全摘)を行っております。
腹腔鏡手術には下図のように様々な利点があり、経験豊富な施設では開腹手術に比べて手術成績も遜色ないことが報告されています。

さらに我々は完全腹腔鏡下での再建を基本としており、より小さな傷で、負担の少ない手術を安全に提供しております。さらに、最近ではほぼ全症例を3D内視鏡を用いて行っています。
これによって立体視による精緻なリンパ節郭清や安全な再建が可能となり、従来よりも短い手術時間で質の高い腹腔鏡手術の実現が期待されます。

腹腔鏡下手術の利点

開腹手術の術創と完全腹腔鏡下幽門側胃切除の術創

集学的治療:化学療法と手術

手術のみでは予後不良である高度進行がんを対象として、手術前に2~3か月の抗がん剤治療を行うことで切除率や治療効果の向上を目指しています。

また、根治切除後もステージII以上の患者さんは再発予防の術後補助化学療法を行います。他の臓器への転移を有するようなステージIV胃がんに対する治療は化学療法が中心となりますが、新しい抗がん剤の進歩や分子標的治療薬の導入により切除不能進行・再発胃がんの治療成績は徐々に改善しています。

さらに新しい抗がん剤、分子標的治療薬と手術の組み合わせにより、今まで手術で治すことが困難とされてきた進行胃がんに対する治療成績の向上が期待されます。
初診時にステージIVの診断で手術治療が困難と判断された症例に対しても、化学療法によりがんが大きく縮小・消失した場合は、手術を化学療法に組み合わせる形で行っております。

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神戸大学大学院医学研究科外科学講座 食道胃腸外科学分野
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