元病棟医長から学生さん、研修医の皆さんへ

このHPを見に来てくれた学生・研修医の皆さんへ

船田泰弘(現 高槻病院副院長・呼吸器内科部長)

 このHPを覗いてくれてどうもありがとう。みなさんの前には医師というとてもやりがいのある長い道が開けています。しかし目の前の問題として、研修病院はどこがよいか、進むべき診療科をどこにするか、また今後のキャリアアップをどうしたらよいか、など悩みも多いのではないでしょうか。これらの悩みにはそれぞれの環境や価値観などによって正解というものはないと思いますが、私なりに思うところを述べてみたいと思います。少し長くなりますが参考になれば幸いです。

PageTop

1.初期研修をどこで行うか

 今の研修システムでは研修病院の選択肢が広がりましたが、国家試験の準備と並行して「就活」が必要となり大変になったという面もあります。最もよく受ける質問に初期研修を市中病院と大学病院のどちらで受けるべきかというものがあります。随分以前ですが、私は1年目を大学病院で、2、3年目を市中病院で研修しました。確かに市中病院ではcommon diseaseを中心にたくさんの症例を経験でき、手技も早くから実践させてもらえ、給与も若干良い(ことが多い?)、大学病院では専門医が揃っていて、どの科を回ってもきちんとした指導が受けられ、研修医対象のセミナーも充実しているなどの特色はあると思います。ただ、これはどちらがよいという問題ではなく、相補的な関係にあると思いますので、私は可能なら両方で研修を受けることをお勧めします。ただ、手技が早く身につく、給与が若干よいなどの点は、研修期間中は大きな違いに思われるかもしれませんが、長い目でみるとほとんど差はなくなります。そういう意味では、2年間の初期研修を大学病院で行い、3年目から市中病院で研修するというのもよい選択だと思います。それから、私が大学病院で研修してよかったと今でも思うことのひとつに、たくさんの診療科の先輩や同級生とのつながりが出来たということがあります。これは後になって実感することですが、勤務先に研修医時代にお世話になった先輩や同級生がいるととても心強く、しばしば親身になって助けてもらいました。研修医時代の人脈は間違いなく後の財産になります。そういう観点からも指導医や研修医の多い大学病院を研修先に入れることをお勧めしています。

PageTop

2.診療科をどう選ぶか

 これはそれぞれの環境や価値観によって決めるしかないのですが、それでは身も蓋もありませんので、まず私が呼吸器内科を選んだ経緯からお話したいと思います。当時は卒業前に入局先を決める時代でした。私は人の生死に関わる局面で自信をもって対応できる医師になりたいと思い当時の第一内科(循環器内科+呼吸器内科)に入局しました。1年目を大学病院で、2、3年目を市中病院で研修しましたが、特に市中病院では循環器疾患と呼吸器疾患を同じ比率で経験しました。循環器・呼吸器共に研修医の教育に熱心なすばらしい指導医にめぐり会うことができ、とても充実した研修生活を送ることができました。3年目で循環器内科と呼吸器内科のどちらに進むか大いに迷いましたが、間質性肺炎や肺癌など治らない疾患を何とかしたいという思いが強くなったことと、ロールモデルとなる指導医に出会ったということが決め手となり呼吸器内科を選びました。私のささやかな経験から言えることは、どの診療科も実際やってみるとその科特有の面白さを感じますが、その面白さを十分に実感するにはある程度まとまった期間の研修が必要であること、そして診療科の選択には研修医時代に出会う指導医の影響が思いのほか大きいということです。そのため、興味がある診療科は1年目だけでなくできれば2年目も選択することと、どのような指導医がいるかで研修先を選ぶことを勧めています。 ところで、このHPを訪れた方の中には、呼吸器内科と他の診療科で迷っている方がいるかもしれませんので、そういう方のために、私が考える呼吸器内科の魅力について少し述べたいと思います。まず、呼吸器内科は幅広いcommon diseaseを診る最も内科らしい内科のひとつだと思います。肺癌をはじめとする悪性腫瘍、感染症、アレルギー、機能的疾患、職業・環境関連疾患など疾患の領域は多岐にわたり、さらに呼吸管理や画像診断、気管支鏡などの技能も求められます。このように言うと大変だなと思われるかもしれませんが、あくまでcommon diseaseの診療をベースとして、その上にサブスペシャリティーとしての選択肢が多いということでもあります。また、肺癌や間質性肺炎、COPDなどの治癒が困難な疾患を診ることについては、若いうちは敬遠する方が多いかもしれませんが、私はそのような患者さんを診てきて、治らない病気を抱える人に寄り添ってその苦痛を和らげ、その人の人生を支援しながら最期をきちんと見届けてあげるということは、医師という職業の本来的な役割の一つなのだと実感していますし、その過程でたくさんのことを学んだと思っています。そのような意味で呼吸器内科は、長い医師人生を懸けるに値するやりがいのある診療科だと思います。それから、女性医師にとってのキャリアパス、特に産休・育休後の復帰はとても大きな問題です。呼吸器内科は幅広いcommon diseaseを扱う診療科でありながら全国的に専門医が少ないため、種々の形態での復帰が比較的しやすい診療科だといえます。ライフプランに合わせつつ専門性を生かして活躍し続けたい方にはうってつけの科だと思います。最後に神戸大学の呼吸器内科がとてもオープンで和気あいあいとした気風であることを付け加えたいと思います。教官を含めスタッフの約半数が神戸大学以外の出身で、排他的なところは一切ありません。出身がどこでも神戸で呼吸器内科を志している方は大歓迎です。

PageTop

3.研修後のキャリアアップについて

 神戸大学の内科の研修後のカリキュラムについては、大学院コース、専門医育成コースなどかなり柔軟な対応ができるようになっています。研究を続けたい方には頑張れば留学の道も開けています。是非神戸大学のキャリアアップシステムを活用していただきたいと思います。一般的に研修期間を終えて数年もすれば自分の成長が鈍ってくることに気が付きます。若いうちに特定の病院に就職してしまうと、そこで成長が止まってしまう恐れがあります。研修医時代には自由に病院を選べても、中堅以降で自分の力で勤務先を選びながらキャリアアップしていくこと実は容易ではありません。また、自分に足りていないことは意外に自分では分からないものです。「入局」というとマイナスイメージを持つ人が多いかもしれませんが、適切な時期により広い視野でキャリアアップを支援してくれるメリットはとても大きいのです。確かに医師という仕事は地域医療という社会的インフラを支える役目もあるため、時には地方の病院勤務を任されることがあるかもしれませんが、地方での診療はとても貴重な経験になりますし、必ず適切なタイミングで次のステップに動かしてくれます。私は医局以上に「人材の育成」という視点を持って長期的に支援してくれる制度は他にないと思っています。大学院に進み基礎的研究をやってみたい、臨床研究のノウハウを身に着けたい、最新の設備と熱い指導医のもとで気管支鏡の腕を磨きたい、兵庫県の呼吸器診療を一緒に盛りあげたいなど、キャリアの幅を広げるために気軽に私たちに声をかけて下さい。そして是非一緒に切磋琢磨しましょう。

HOMEへ戻る

PAGE TOP