教授挨拶

神戸大学形成外科学 教授   寺師浩人

施設写真


形成外科学とは、「変形や組織欠損創に対して、その形態そして機能のみならず、心象をも正常な状態に修復再建することを目的とした外科学」を指し、精神外科(造語)や心象外科(造語)とも言い換えることができます。

これは、神戸大学医学部入学直後の新1年生への「医学序説」で私が講義している形成外科紹介の一部です。
そういう意味において、形成外科は患者さんと最も至近距離にいる外科医と思っています。

時には、患者さんの生活の中に入り込んでいかなければ、本当の意味での治療へと導くことができないこともあります。

形成外科の守備範囲は広く、頭のてっぺんから足の先まで、そして頭蓋や頭頸部、胸腹部、骨盤へも及び、取り扱う臓器は皮膚のみならず、脂肪、筋肉、骨・軟骨、そして血管や神経への外科手技を用いながら治療していきます。

これを縦割りで考えますと、腫瘍、外傷(創傷)、先天奇形、美容の4本の柱で成り立っています。
この4部門で形成外科手術手技を駆使して臨んでいく実践外科学と言えるでしょう。


神戸大学形成外科学教室の歴史は決して古くはありません。
田原真也初代教授が教室を興されたのが平成9年(1997年)ですので、本年で約20年が経過しています。
この間の発展は目覚ましく、同窓会員はすでに130人(うち女性医師役30人)を越え、日本形成外科学会認定施設17、教育関連施設11(うち美容2)が連携する大所帯となりました。

『人は石垣、人は城』ですので心強い限りです。そのおかげで、幅広い形成外科のあらゆる分野を網羅できる組織となってきたと自負しています。ここに同窓会の個々のメンバーに感謝申し上げます。

とは言いましても、現状に決して満足しているわけではありません。人が増えるとその分×2,×3となればと思いますが、時に×1.5と甘んじてしまいがちになることもあります。

すべての個々がいつでも前進しているわけでもありません。確実に進む人、ゆっくり進む人、つまずいてばかりの人、止まっている人、全てを包括し組織全体としてゆっくりでも前進していることを個々が感じ取ることができる組織が望ましいと思っています。

決して大きな傘に守られているのではなく、一人一人が崩れないしっかりとした石垣を作っていく意識で今後も臨んでいきたいと思っています。



いつも新しいこと、確かなことを神戸の地から発信していきたい。そのために多くの若者が集い、多士済々の輩が躍動する教室へと今後も邁進していく所存です。



平成29年5月吉日