第246回 日本小児科学会兵庫県地方会

 

プ ロ グ ラ ム

 

日 時  平成20年9月13日(土)1300

場 所  姫路キャスパホール

     TEL(0792845806

 

・本地方会は、日本小児科学会認定専門医のための研修8単位です。

・参加費として1,000円徴収いたします。

・講演の発表時間は5分、質疑時間は2分です。

 

一 般 講 演(発表5分、質疑2分)

 

第1グループ (13001342)                座長  柄 川   剛

  1.新生児におけるくも膜下出血と初期嘔吐の臨床像の比較

                      姫路赤十字病院 小児科  岸 田   真 他

  2.多臓器不全を合併した胎児母体間輸血症侯群の1例

            兵庫県立こども病院周産期センター 新生児科  山 口 由 美 他

  3.院内感染が疑われた新生児A群溶連菌性敗血症の3例

                         千船病院 小児科  楠   典 子 他

  4.S.salivariusによる新生児敗血症の1例

           神戸大学大学院医学研究科内科系講座 小児科学  吉 田 奈津美 他

  5.発熱を主訴に入院した新生児74例の検討

                      姫路赤十字病院 小児科  北 山 路 子 他

  6.両児とも動脈管閉鎖術を施行した在胎32週、一絨毛膜二羊膜性双胎

          兵庫県立こども病院周産期医療センター 新生児科  小 川 禎 治 他

 

第2グループ (13421424)                 座長 土 居   治

  7.出生後診断された総排泄腔遺残症の1例

                      加古川市民病院 小児科  山 内   淳 他

  8.先天性横隔膜ヘルニアの2例

                     兵庫県立塚口病院 小児科  高 原 賢 守 他

  9.当科における腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(LPEC)の導入

                     姫路赤十字病院 小児外科  畠 山   理 他

  10.血管内治療が有効であった胃噴門部静脈瘤の幼児例

                 神戸大学医学部附属病院 小児外科  久 松 千恵子 他

  11.喘息増悪を契機に発見された僧帽弁逆流・大動脈弁逆流の1例

                 兵庫県立こども病院 心臓血管外科  大 嶋 義 博 他

  12Catheter ablationを要した心室性期外収縮頻発例

                 兵庫県立尼崎病院 小児循環器内科  柏 原 米 男 他

 

第3グループ (14241506)                 座長 田 口 和 裕

  13.乳幼児健診で異常を指摘され神戸大学病院を受診した児の検討

           神戸大学大学院医学研究科内科系講座 小児科学  藤 林 洋 美 他

  14.兵庫県立淡路病院における溺水44例の検討

                     兵庫県立淡路病院 小児科  田 中   聡 他

  15.リチウム電池誤飲の1例

                      神鋼加古川病院 小児科  佐々木 香 織 他

  16.心身医学的に対応した慢性連日性頭痛の7歳女児例

                       小野市民病院 小児科  安 島 英 裕 他

  17.当院における小児のけいれん重積およびけいれん群発に対する原因検索と初期治療についての検討

                     兵庫県立塚口病院 小児科  中 川   拓 他

  18.前頭葉を主として障害する乳幼児急性脳症(AIEF)の1例

                兵庫県立こども病院 救急集中治療科  田 村 彰 広 他

 

 

_____ 休   憩(15061520) _____

 

 

特 別 講 演(15201550)        座長 久 呉 真 章

 

本邦における中枢神経系奇形の最先端医療と予防医学の現状

 

東京慈恵会医科大学 小児脳神経外科 教授

ドイツ・ハノーバー国際神経科学研究所 教授(兼任)

                       大 井 静 雄

 

第4グループ (15501632)                 座長 北 野 義 孝

  19.第IIMR混合ワクチンの接種率向上をめざして

    19文科ス第219号通知の実施状況について

                 兵庫県小児科医会感染症対策委員会  岡 藤 輝 夫 他

  20.帯状疱疹に髄膜炎を合併した水痘ワクチン接種歴を有する7歳男児例

                   社会保険神戸中央病院 小児科  宇 宿 智 裕 他

  21.マイコプラズマ髄膜炎の1例

                     兵庫県立淡路病院 小児科  神 吉 直 宙 他

  22.当院における髄膜炎起炎菌と抗生剤感受性に関する検討

                      姫路赤十字病院 小児科  山 本 暢 之 他

  23.溶連菌感染後反応性関節炎の1例

                      加古川市民病院 小児科  小 林 光 郎 他

  24.抗SS-B抗体陽性であったエルシニア感染症の1例

                      姫路赤十字病院 小児科  西 山 将 広 他

 

第5グループ (16321714)                 座長 神 岡 一 郎

  25.小児期発症難治性ネフローゼ症侯群に対するリツキシマブ療法

         神戸大学大学院医学研究科内科系講座 小児科学分野

                         こども発育学部門  飯 島 一 誠

  26.重度の腹部症状にステロイドパルス治療が奏功したHenoch-Schknlein紫斑病(HSP)の2例

                    西神戸医療センター 小児科  井 上 珠 希 他

  27.当院におけるγグロブリン不応川崎病の検討

                       公立豊岡病院 小児科  横 田 知 之 他

  28.当院の川崎病における好酸球と初回IVIG治療の関係

                     済生会兵庫県病院 小児科  早 野 克 典 他

  29.繰り返す不明熱を契機に診断に至った混合性結合組織病の1例

           神戸大学大学院医学研究科内科系講座 小児科学  粟 野 宏 之 他

  30.強度の貧血を呈したH.pylori陽性十二指腸潰瘍の1例

                     兵庫医科大学病院 小児科  峰   淳 史 他

 

第6グループ (17141756)                 座長 高 橋 宏 暢

  3115番染色体q15-q21.3欠失の1例

                     姫路聖マリア病院 小児科  桑 村 紀 子 他

  32.軽度の甲状腺機能亢進症を契機として歩行困難・書字不能・幻覚などの症状を呈した女児例

                       高砂西部病院 小児科  金 田 成 浩 他

  33.痙攣をきっかけに診断された副甲状腺機能低下症の1例

                     兵庫県立淡路病院 小児科  丸 野 由美香 他

  34.1歳時に発症したビタミンB12反応型メチルマロン酸血症の1例

             神戸市立医療センター中央市民病院 小児科  吉 田 健 司 他

  35.小児自己免疫性好中球減少症の2例

                      加古川市民病院 小児科  小 寺 孝 幸 他

  36.骨髄非破壊的同種移植(NST)を行った活動性多発膿瘍を伴う慢性肉芽腫症(CGD)の1例

           神戸大学大学院医学研究科内科系講座 小児科学  矢 内 友 子 他


特 別 講 演

 

本邦における中枢神経系奇形の最先端医療と予防医学の現状

 

東京慈恵会医科大学 小児脳神経外科 教授

ドイツ・ハノーバー国際神経科学研究所 教授

                 (兼任)

大 井 静 雄

 

 発達脳科学の研究最前線には、低侵襲性に胎児形態を画像描出する技術などを原動力として急速な発展が見られる。そして、それぞれの小児神経疾患の最先端の医療にも学術的評価が推進力となって、本邦が世界をリードする領域が多くみられるようになってきた。

 それに伴い、胎児期の脳・脊髄疾患の出生前診断に関しても、胎内診断法としての高次元解析画像所見から、出生後の診断法さえ上回る子宮内環境のなかでの胎児の機能評価が可能となりつつある。そして、本邦の新生児学の高度先進技術は、中枢神経系奇形や水頭症においては出生前からその治療指針を決定付け、欧米諸国に広く普及し世界の標準治療指針となるに至った。

 私共は、東京慈恵会医科大学病院総合母子健康医療センターおよびドイツハノバー・国際神経科学研究所【INI-Hannover】を拠点に、小児脳神経外科の実践医療、教育、研究活動を世界規模に展開し、世界諸国の脳神経外科専門医が同施設に留学、研修・研究に従事するとともに、ケニア・インドなどでの主要都市巡回ハンズオンセミナーとしての手術実践指導を実施してきた。また、本年5月16日には、世界最低出生体重新生児二分脊椎患児として599gの新生児二分脊椎の手術に成功したというニュースがNHK総合ニュースや全国主要新聞で報じられた。このように、発達脳科学を背景としてそれぞれの小児神経疾患の最先端の医療にも、本邦が世界をリードする領域が多くみられるようになってきた。

 しかしながら、世界視野に見て本邦における脳脊髄の先天性疾患における予防医学の一般的認識やその効果に関しては、先進諸国に大きく遅れをとっているのが現状である。欧米諸国が、行政企画として葉酸添加食品の普及に大きな成果を発揮している現状にあって、本邦の二分脊椎発症率は、先進諸国の中で唯一、増加の一途を辿っている。その予防医学の実践医療への普及を目的とした国民の認識を高める啓発活動や、奇形発生防止のための食育科学の発展が、現時点において、本領域の本邦での最大の研究課題であるといえる。