腫瘍・血液内科学分野の歴史は2007年6月に私が腫瘍内科学分野を主宰したことに始まり、2009年10月に大学の組織変更で血液内科も担当することになり腫瘍・血液内科学分野として改組されました。臓器別に行われてきた日本のがん薬物療法の弊害が問題となり、臓器横断的にがん薬物療法の診療・教育・研究を行うことが求められています。固形がんのがん薬物療法の考え方はどのがんであっても同じで、造血器腫瘍とも共通です。固形がんと造血器腫瘍の両方を対象とすることにより相乗効果が期待できます。神戸大学の腫瘍・血液内科は固形がんと造血器腫瘍の両方を有機的に扱っている日本でも数少ない研究室の一つです。
抗悪性腫瘍薬の臨床薬理研究、早期臨床開発に力を入れ、他の施設では実施困難なFirst-in-humanの試験を含めて第I相試験を実施し、第II相試験や第III相試験などの国際共同試験も多く実施しています。固形がんで培った早期臨床試験のノウハウを造血器腫瘍領域にも展開し、白血病やMDSに対してFirst-in-human試験を含む第I相試験を実施できる我が国でも数少ない研究室です。
薬剤の開発は創薬だけでなく、製造販売後に薬物動態研究など臨床薬理学研究で使用方法をチューニング(育薬)することも大切です。最近のがん治療では免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬が大きな成果をあげていますが、効果や副作用を予測するバイオマーカー探索や育薬研究を実験室および臨床で展開しています。
腫瘍・血液内科は日本造血細胞移植学会が定める移植施設認定基準の全ての項目を満たす診療科(認定カテゴリー 1)に認定されて適正な造血幹細胞移植を実施し、移植後の長期フォローアップ・晩期合併症のマネージメントなどの研究も行っています。
医学研究は患者さんに還元されて初めて意味を持ちます。日々の臨床で感じた疑問を、実験室や臨床試験で解決するための研究を大切にしています。
腫瘍・血液内科 教授 南 博信
現在日本において2人に1人が癌にかかり、3人に1人が癌で亡くなるといわれています。その多くの患者さんが化学療法などの内科的治療の対象となります。
今までの日本では、がんの内科的治療は臓器別診療科で行われてきました。しかし、最近ではその弊害が指摘され化学療法を専門とする腫瘍・血液内科の重要性が認識されています。
腫瘍・血液内科では、乳癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、膵癌、大腸癌、肺癌など臓器の枠にとらわれずに、全てのがんの患者さんを対象にエビデンスに基づいた治療、支持療法を行ないます。
また、原発不明癌など従来の臓器別診療では診療科がはっきりしなかったがんに対する治療も行ないます。腫瘍・血液内科では臓器横断的に各種がんの患者さんの治療を行うばかりでなく、各専門科とカンファレンスなどを行い、放射線治療、手術を併用した集学的治療を含めて、それぞれの患者さんに最適な治療を提供します。
また最新のがんに関する知見を収集し、整理した情報を患者さん、ご家族、医療従事者に提供します。さらに、治験などを実施することにより、有望と考えられる新しい薬剤を使用する機会を提供します。
がん全般の内科治療、抗悪性腫瘍薬の開発的治療研究、臨床薬理学研究を行っています。
学生、研修医、専攻医、コメディカルの教育・育成や、血液腫瘍領域の抗がん剤治療、造血幹細胞移植などの実地臨床ならびに臨床研究に取り組んでいます。
研究テーマ:造血幹細胞移植成績向上のための研究
固形がん全般の診療を行いながら、頭頸部悪性腫瘍を中心に抗悪性腫瘍薬の治療開発と臨床試験を積極的に行っています。
血液診療を担当しています。血球発生における精緻なメカニズムと、手術に頼らず悪性腫瘍を完治させ得る点に惹かれて、血液学とその臨床を志しました。現在の血液腫瘍の治療は残念ながら身体的・精神的負荷が強いものですが、丁寧な説明と前向きな姿勢で、患者さんが少しでも安堵するよう心がけています。私達は、エビデンスに基づいた標準的な抗がん剤治療、分子標的療法、造血幹細胞移植を安全・確実に提供するとともに、より多くの患者さんが治癒に至ること、より軽い負担となること、を目標として、分子標的療法や造血幹細胞移植を用いた新規の治療法開発にも取り組んでいます。医学生や研修医諸君には日進月歩のこの分野に魅力を感じて、ぜひ参加してもらいたいと思います。
造血器腫瘍の診療を担当します。学生時代に病理学の杉山武敏教授に師事し癌研究を志しました。留学中はロバート・レーダー教授と花房秀三郎教授の薫陶を受け、以来転写研究を通して造血器腫瘍やがんなどの発症や特性について研究しています(http://www2.kobe-u.ac.jp/~itomi/)。また、浅野茂隆客員教授との共同研究で、ポーアイのBTセンターでは間葉系幹細胞の研究をしています。
神戸大学医学部附属病院では腫瘍・血液内科の外来診療を行うとともに、都道府県型がん拠点病院である兵庫県立がんセンター血液内科部長として血液腫瘍の診療において大学病院とがんセンターの連携をスムーズにできるように努力していきたいと考えております。
臨床と基礎研究を橋渡しするトランスレーショナルリサーチを通じて、患者様の助けになるよう努力させて頂きます
総合内科専門医、がん薬物療法専門医、血液専門医
固形がん(頭頸部がん、乳がん、肉腫等)を中心に診療を担当しています。薬物動態研究や静脈血栓塞栓症などの臨床研究に取り組んでいます。研修医・専門医の教育にも力を注いでいます。
平成22年に神戸大学医学部医学学科卒。神戸大学医学部附属病院、大阪市立総合医療センター、国立がん研究センター中央病院勤務を経て、平成29年より現職。固形腫瘍全般について診療にあたっています。
平成19年京都府立医科大学卒業。京都市立病院にて初期臨床研修後、消化器内科にて研修継続。
平成25年より大学院腫瘍血液内科学分野に進学し、1年間薫風会佐野病院に赴任、消化器癌診療、消化器内視鏡および緩和ケアを研修致しました。平成26年より現職に就き、固形腫瘍を中心に診療にあたっています。
2008年 大阪医科大学卒業
大阪赤十字病院における勤務を経て、神戸大学感染症内科フェローシップを終了後、現職。
頭頸部を中心とした固形腫瘍を中心に診療にあたっています。
また、免疫不全における感染症診療、移植後ワクチンの啓発も行なっております。
平成21年に関西医科大学医学部医学科を卒業。同年4月より大阪府済生会中津病院にて初期臨床研究を行いました。平成23年より大阪府済生会中津病院消化器内科に勤務。 3年間、消化器癌の化学療法を中心に診療を行い、平成26年より国立がん研究センター東病院消化管内科に勤務し、平成28年より現職。これまで診療をしてきました消化器癌だけでなく、固形癌全般について診療にあたっています。
平成22年に神戸大学医学部医学学科を卒業後、神鋼記念病院、国立がん研究センター中央病院勤務を経て、平成30年より現職についております。基礎研究と臨床の橋渡し研究を通じて、がん治療に貢献したいと思います。
平成24年3月 神戸大学医学部医学科卒業。西脇市立市民病院で2年間の初期臨床研修修了。神戸大学医学附属病院 腫瘍・血液内科で1年間研修し、熊本赤十字病院総合内科で2年間研修、加古川中央市民病院 腫瘍・血液内科で1年間勤務、平成30年4月から現職。固形腫瘍を中心に診療を行っております。
平成30年3月に神戸大学医学部医学科を卒業。北播磨総合医療センターで2年間の初期研修後、当院で1年間、加古川中央市民病院で1年間内科研修を行い、令和4年度より現職。患者様に貢献できる医療を目指して日々精進して参ります。
令和2年3月に徳島大学医学部医学科を卒業。徳島県立中央病院で2年間の初期研修後、甲南医療センター 腫瘍・血液内科にて1年間内科研修を行い、令和5年度より現職。患者様によりよい医療を実践できるよう、精進して参りますのでよろしくお願いします。
平成26年に熊本大学医学部医学科を卒業。熊本赤十字病院で5年間、初期研修と総合内科の研修を行いました。
平成31年4月より現職。固形腫瘍を中心に診療にあたっています。
平成29年3月に神戸大学医学部医学科を卒業。赤穂市民病院で2年間の初期研修後、北播磨総合医療センターで血液腫瘍内科を中心に2年間内科研修を行い、令和3年度より現職。血液腫瘍を中心に診療に従事しています。よりよい医療を実践できるよう精一杯取り組んで参ります。どうぞよろしくお願い致します。
大学病院の役割として診療、教育、研究があります。この研究のうち患者さんへ協力していただき決められた試験実施計画書に沿って、薬剤や治療の有効性および安全性を確認するのが臨床試験です。日々忙しい医師を助けながら、患者さんの体調を観察するとともに検査データを随時確認し異常の早期発見に努め、試験のスケジュール管理をおこなっています。
造血幹細胞移植をめざして治療をされている患者さんドナーさんそれぞれに治療へのご理解度やお気持ちを伺い、サポートを行いながら迅速かつ適切な対応を心掛けています。移植コーディネートには必要な工程が多く時間もかかるため、医師やスタッフと連携をとり日本骨髄バンクや臍帯血バンク、他の医療施設の協力も得ながらより良い移植医療が行えるようコーディネート行っています。
2009年 大阪大学大学院基礎工学研究科修了。理学博士。
新しい治療法の創出、薬の開発のためには、がんの分子メカニズムを解明することが重要です。基礎研究の成果をがん患者さんに還元できるよう、日々研究に邁進していきたいと思います。