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研修体験記

神戸大学附属病院脳神経外科での研修

H.K. (平成28年卒)

私は佐賀大学を卒業してから神戸大学で2年間の初期研修をスタートし、その中で脳神経外科をローテートさせていただきました。研修初めの頃は何をしているか全く分からない事がありましたが、まずは上級医について処置や治療を見て覚え,自分で処置の際には必ず一緒についてくださり、箸の上げ下ろしまで指導をいただきました。次第に出来ることが増えると自分が執刀医になったと思って手術適応から開頭方法やアプローチについて教科書を片手に考え、上級医と共に計画を立ててカンファレンスに参加しました。カンファレンスでのフィードバックに加え、自分で考えながら診療を行ったことで臨床力がついたと実感しています。

させてもらえる手技が少ない事が大学のデメリットかも知れませんが、アカデミックな考え方から診療に携わることができるのは大学ならではのメリットではないでしょうか。また手術見学においては様々な症例の開頭アプローチに立ち会うことができたため大変勉強になりました。そして実際に穿頭術等の基礎的な手術は指導医の元で執刀医として行いました。自分が立てた計画通りに手術を行い、患者さんが良くなるのを見ると脳外科を選んで良かったと思う瞬間です。

医員室では病棟医の先生方と机を並べて日々勉強しており、臨床的な疑問があるときに調べても分からない場合は近くの先生方にすぐに聞ける環境です。脳外科は診療科の1分野ではありますが、扱う疾患・病態・部位は多岐にわたるため、研修期間で最も勉強を要しました。

脳外科の魅力は手術では顕微鏡を通した術野はどこよりも美しく、そこに潜む病巣に直接手を加え、生命に直接かかわることができるところだと思います。決して楽な診療科ではありませんが得られるものは沢山あります。
研修医期間は2年目の最後6ヶ月間でしたが、心残りだったのは最長期間10ヶ月全てで脳神経外科を選択しておけばよかったということです。研修医期間中で学ばなければならないことがまだまだ残ってしまいました。脳外科の先生方は熱い人ばかりで、至らない私が熱い先生方に情熱にあふれる指導をいただき成長できたのは神戸大学附属病院脳神経外科だったからではないでしょうか。

将来脳外科を選ばない人も必ず勉強になることがあります。ぜひ初期研修で選んで下さい。私は来年度の4月から専攻医の1人として新たなスタートを切ることになります。脳外科の素晴らしさを知っていただけたらぜひ一緒に働きましょう。

神戸大学附属病院脳神経外科での初期研修を終えて

M.M. (平成20年卒)

平成20年3月に愛媛大学を卒業後、初期研修を神戸大学附属病院で行い、6ヶ月の選択期間を脳神経外科で研修致しました。この体験記を読まれている方の多くが研修先病院や将来進む科について悩まれている医学部の学生さんだと思います。私の経験や考えが参考になるかはわかりませんが、御一読いただければ幸いです。

上の先生や先輩方から聞かれているとは思いますが、やはり市中病院と大学病院では研修は大きく異なります。病院の規模も違えば扱う症例の内容も違うわけで、どちらで研修したとしても一長一短があることは否めません。
脳神経外科も例外ではありません。現在、県立の市中病院で仕事をしていて大学病院とは180°違うことを痛感しております。大学は特殊な症例を含め、ありとあらゆる症例が集まってきます。文献を調べないといけないような稀な疾患も扱います。腫瘍、血管障害、機能系疾患の様々な症例を診させていただきました。反面、市中でよく扱う救急頭部外傷、緊急症例は少ないように思われます。

また、経験する症例数に関しては、大学病院はスタッフの数も多く、割り当てられる症例は決して多いとは言えないでしょう。しかし、その分1つ1つの症例をじっくり時間をかけてみることができます。カンファレンスや抄読会も精力的に行われており、現在行われている研究内容や最先端のトピックスに触れるには絶好の環境といえます。

以上、一般的な大学における脳外科の研修について述べましたが、神戸大学脳神経外科教室に関することをこれから書かせていただきます。症例の割当のことを上に述べましたが、あくまで割り当て上の話で、自分が望めばやる気次第でどんどん手術や手技に参加させていただくことができました。直属の指導医の先生がいらっしゃいますが、他の先生方にも親切・丁寧に教えていただけました。「今度、○○のオペあるから時間あったら見に来たら」と声をかけていただくこともたくさんありました。他大学出身の先生も多いので、出身大学を気にすることもありませんでした。

短い文章で神戸大学附属病院脳神経外科での研修の魅力をお伝えすることができないのが残念ですが、私はこの半年間、非常に有意義な時間を過ごさせていただけたと感じております。初期研修の時点で必ず大学病院での研修を経験する必要はないと思いますが、市中病院も大学病院もどちらでの研修も必要だと考えます。

一般的なことしか書けず、あまり参考にならなかったかもしれませんが、興味を持たれた方、悩まれている方は一度見学にきていただいたら良いと思います。将来、一緒に働ける日を楽しみにしております。

神戸大学脳神経外科研修を終えて

N.H. (平成19年卒)

平成19年に富山大学を卒業し、神戸大学病院で初期研修を行いました。2年目の選択期間ヶ月を脳神経外科で研修しました。 大学病院での研修で最もよかったのは、診断→手術適応の判断→治療方針決定→手術手技→術後管理といった基本的な診療の流れが、病棟業務とカンファレンスを通じて学べた点です。週2回カンファレンスがあり、術前術後の患者についてプレゼンテーションします。

そのために手術ビデオを編集したり、手術書や解剖書を読みながら自分なりにポイントを見つけて診断・治療方針を考えたり、自分なりに手術記録を書いたりするのですが、こういった作業は手術の手順や脳神経外科解剖を学ぶ上で大変貴重な経験でした。もちろんカンファレンスでは至らない点も多いですが、議論の中に入ることで上級医の先生の考え方や知識を学ぶことができました。

その他病棟業務では、入院患者や救急患者の対応はもちろんのこと、中心静脈路確保や気管切開などといった基本的な手技を数多く経験できますし、半年の研修で脳血管撮影や穿頭術を指導のもと何とか行えるようになり、大変充実していました。

ここで、私なりに研修を充実させるために工夫した点を挙げます。 1つ目は、外傷や血管障害などの救急症例を経験するために、月5回の副直に加え、可能な限りOn Callとして積極的に緊急手術に参加させていただいたことです。1ヶ月あたり20件近くの緊急手術があり、肉体的にハードでもありましたが、一般脳神経外科診療を広く学ぶことができたと思います。 2つ目は医員室にある手術顕微鏡(手術室で使用しているタイプ)を使って、血管吻合の練習をしたことです。自由に使えるので休日や副直中に練習しました。回数を重ねれば慣れてくるので、一応形にはなります。

3年目からは、公立豊岡病院で脳外科専攻医として働くこととなりました。知らない土地、病院での勤務に不安もありますが、この6ヶ月の研修で学んだことを生かせるよう努力したいと思います。最後に、上級医の先生はとてもwelcomeな雰囲気で、研修医を大事にしてくれます。脳神経外科に興味のある方はぜひ当科で研修することを勧めます!!

研修期間:2008年10月~2009年3月(6ヶ月)
入院担当症例:69例
担当手術症例:62例
開頭腫瘍摘出術(※1)15例
クリッピング(※2)7例
穿頭血腫除去術12例
EVD3例
VPシャント7例
急性硬膜下血腫除去2例
急性硬膜下血腫除去1例
内視鏡下血腫除去3例
開頭血腫除去2例
STA-MCA1例
CEA1例
AVM摘出1例
Hardy手術2例
第3脳室開窓術1例
微小神経血管減圧術2例
血管内治療2例

(※1)グリオーマ4例、転移性脳腫瘍2例、髄膜腫4例、神経鞘腫4例、悪性リンパ腫1例、血管芽腫1例
(※2)破裂4例、未破裂3例

脳神経外科臨床研修を終えて

I.S.(平成19年卒)

10月から12月の3ヶ月間、脳神経外科にて臨床研修しました。  今回、脳神経外科研修を希望しましたのは、1年目の研修施設において神経疾患を扱う神経内科や脳神経外科が無く、脳卒中などの神経領域の救急を経験する機会が無かった為、また私は心臓血管外科を志望しており大血管手術において脳梗塞などの術後合併症に対する対応を学びたいと考えた為です。

学生時代から脳神経領域には興味はありましたが、実際に研修をさせて頂くと非常に多くの新しい発見がありました。特に印象的だったのが、手術においてアプローチ方法が非常に重要であるという点です。

また、解剖学・生理学の重要性も改めて痛感させられました(特に頭蓋底部の解剖)。研修始めの頃は、手術用顕微鏡から映し出されるモニター画面の上下左右が全く分からないことが多々ありましたが、研修が進むにつれて分かるようになりました。

緊急手術も脳血管障害、外傷など多く経験させて頂き、満足できる3ヶ月間でした。現在、心臓血管外科にて研修を行っていますが、開心術前には必ず頭部CT/MRI画像にて術前精査を行っており、脳神経外科領域との密接な関係を実感しております。

最後になりましたが、甲村教授、木村病棟医長、また直接御指導を賜りました井上先生をはじめとされる諸先生方、また同期で共に研修した長嶋先生には心より感謝しております。本当にありがとうございました。

扱う臓器は異なりますが、外科という領域は同じでありますので現状に満足することなく常に知識も技術も高められるように努力していきたいと思います。

脳神経外科での選択ローテーションを終えて

N.T.(平成16年卒)

平成16年に神戸大学を卒業し、新たな研修制度の第一期生として1年半必須科でのスーパーローテションを終えた後、神戸大学病院脳神経外科で残り半年の研修を完了しました。正直なところ、それまでのローテート先のいたる所で脳外科の過酷さを語られ、数々の勧誘もあり、一抹の不安を抱えつつ期待いっぱいで大本命の脳外科で研修を始めましたが、いざ実際に始まってみるとそれはそれは貴重な研修をすることができました。

大学の脳神経外科では、腫瘍あり血管障害あり外傷あり全身管理あり機能外科あり…と多岐にわたりまたその奥行きも深く、最初に大学で研修を行うことで脳神経外科学の器の大きさを知ることができます。また、国内はもとより、米国コングレス参加などさまざまな学会や勉強会にも積極的に快く参加させていただくことができ、さらに視野を大きく広げることができました。

日常の診療においても、もちろん命に直結する科ですからやりがいは底知れず、どんな上級医の先生も責任感が強く、研修医を放置することなく公私にわたり面倒をみてくださります。また、県内を中心に150名を越える同門の大先生方と接する機会も多く、どの先輩先生方も気さくに声をかけてくださり、脳外科を一生の仕事としていく上で大変心強い味方となります。また、意外に思われるかもしれませんが、脳神経外科ほど、1年目から手術やら検査やら手技やらを自ら行い身につけていく機会の多い科はないと思います。それほどやるべき層が厚いのです。

私事ですが、現在は研修医生活を終え、県立淡路病院で一医師として勤務しておりますが、大学で研修し脳神経外科での奥行きを知ったことが日々の診療に非常に活きています。

まるでパラダイスのような感想を綴ってきましたが、実際は、昨今脳神経外科を専門科として選ぶ人口は減少傾向にあり、またこの新しい研修制度ゆえ強制的にも他科の魅力にも接する機会が増えることで脳神経外科医を目指す方がさらに絞られるのも確かかもしれません。が、成り手が少ないということは見方を変えればチャンスでもあります。ひとりひとりの希少価値が高まるのですから、これから入門されるにあたっては医師としての存在意義はどの科よりも強いと言えるかもしれません。

神戸大学医学部脳神経外科学講座は、興味を持って入門されるならば、必ずや期待に沿える学問分野であり病院であることを、新臨床研修医制度第1期生として誓います。

卒後研修や研究希望の方はご連絡下さい。見学希望も歓迎します。
なお、採用については面談の上決定いたします。

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外科系講座 脳神経外科学分野
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