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下垂体腫瘍

下垂体とは

下垂体とは頭蓋骨の底(鼻の奥)に存在する約2cmほどの小さい組織で、いろいろなホルモンを分泌する重要なところです。ここに腫瘍が出来ると、さまざまな症状が現れます。腫瘍はホルモンを出すタイプ(機能性下垂体腺腫と言います)と、出さないタイプ(非機能性下垂体腺腫と言います)とに大きく分かれます。症状も腫瘍がまわりの脳や視神経などを押しよけることによって起きるものと、ホルモンが出すぎたり逆に出なくなったりすることによるものとに分けられます。

腫瘍が視神経などを圧迫すると、徐々に視力が低下したり、視野(見える範囲)が狭くなったりします。これらはゆっくり起こることもあるため、注意しないと自分では気づかない場合もあります。たとえば人混みでよく他人と肩がぶつかるようになったなどということで気づかれることもあります。

ホルモンの異常

ホルモンには下記のようなものがありますが、これらが出すぎた場合の症状は、それぞれ異なります。

プロラクチン 生理が不規則になったり、妊娠しにくくなったり、男性では性欲低下などを起こします。
成長ホルモン 身長や手足の先が大きくなったり(靴のサイズが変わる)、顔つきが変化したりします(あごや眉間が突き出てくるなど)。ほかに血圧が上がったり、糖尿病になったりもします。
副腎皮質刺激ホルモン 顔面や体が肥満したり、高血圧や糖尿病になったりします。
甲状腺刺激ホルモン 動悸がしたり、身体がやせたり、疲れやすくなったりします。

以上のような症状を認めた場合、ホルモン検査(採血で行います)および頭のMRI検査を受けることをお勧めします。

下垂体腫瘍の治療

私たち神戸大学脳神経外科では下垂体腫瘍と診断された患者さんに対し、薬や手術、場合によっては放射線照射などの治療を検討します。残念ながら一部の腫瘍を除いて薬で完全に治療することは難しく、手術が必要になることが多いのですが、この場合も鼻孔から内視鏡を使ってできるだけ体の負担が少なく、かつ効果の高い方法を行っています。以下は過去に治療を受けられた患者さんのMRIのご紹介です。

非機能性下垂体腺腫(ホルモンを出さないタイプの腫瘍)

  • 非機能性下垂体腺腫

    【手術前】
    下垂体に大型の腫瘍を認め、視神経(矢印)を圧迫しているのが確認されました。

  • 非機能性下垂体腺腫

    【手術後】
    腫瘍は完全に取り除かれ、圧迫されていた視神経(矢印)がもとに戻っています。

機能性下垂体腺腫(ホルモンを出すタイプの腫瘍)

  • 機能性下垂体腺腫

    【手術前】
    下垂体の左側(写真では向かって右側の矢印)に小さい腫瘍を認めます。副腎皮質刺激ホルモンが分泌されており、患者さんは重い糖尿病を患っていました。

  • 機能性下垂体腺腫

    【手術後】
    手術で腫瘍はすべて取り除かれています(矢印)。ホルモンの値は正常になり、糖尿病も改善しました。

また、通常の下垂体腺腫のみならず、頭蓋底の頭蓋咽頭腫、髄膜腫、脊索腫などの手術が困難な疾患に対しても、神経内視鏡を用いた手術に積極的に取り組んでいます。

病気の治療法に絶対というものはありません。個々の患者さんの体の状態やお仕事・生活の状況なども加味して決めていく必要があると考えます。このためまずは外来にお越しいただき、じっくり相談されることをお勧めいたします。

「経鼻内視鏡手術の臨床解剖所見」に関する研究
神戸大学医学部附属病院脳神経外科では、現在、「経鼻内視鏡手術の臨床解剖所見」ならびに「経鼻内視鏡下手術を施行した脊索腫の予後に関する研究」について、臨床研究を行っております。
詳細については、別途「情報公開文書」をご参照ください。また、この研究についてご質問等がございましたら、最後に記載しております [問い合わせ窓口] までご連絡ください。