近年、高齢者の救急搬送が増え、全搬送者数の5割を超えています。
特に、高齢者の介護施設からの救急搬送の増加、中でも都市部における三次救急医療施設(救命救急センター)への高齢者搬送が増えています。(1)
介護施設から搬送された認知症高齢者について、20%がその日のうちに搬送先の病院で亡くなり、また60%が短期間の搬送先での入院の後に亡くなっていること、さらに、その搬送された方々のほとんどが自らの意思を表明できない状態で救急搬送されていることが報告されています。(2)
本来、救急搬送は、救命を目的としているものです。
しかし、救命というより「看取り」に近い方々が搬送され、結果としてご本人が望まない延命措置につながるということも少なくありません。
また、高齢者の救急搬送では、ご本人やご家族が延命措置を望んでいるのかはっきりしない場合も多く、また、病院側が積極的な救命措置をした結果、ご家族が「本当にこれでよかったのか」「こんなはずじゃなかった」と後悔したり、悩んだりすることも多いのです。
思いがけない事故や病気の進行によって、どなたにでも「もしものとき」が突然訪れる可能性があります。
突然のことで気が動転することもありますし、病気によっては、ご自身のお気持ちや希望をお話しできない状態になる可能性もあります。
心の余裕のある時に、じっくりと考える時間を持つこと、そして、あなたの考えを大切な人と話し合うこと、つまり人生会議を積み重ねることで、あなたの希望は尊重されると同時に、ご家族をはじめ周囲の方々の気持ちの負担も減らすことができる可能性が高くなります。