HIV/AIDS

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は後天性免疫不全症候群（AIDS）の原因ウイルスです。国連合同エイズ計画(UNAIDS) の報告では、世界のHIV感染者数は3500万人を超え、2013年中の新たな感染者は210万人、同年のAIDS発症による死亡者数は150万人とされています。地域別の感染者数では、サハラ以南アフリカに属する感染者が全体の３分の２を占めて最も多く、その次に多いのが日本近隣のアジア諸国です。インドネシアでは今もHIV感染者が急増しています。また、日本でも新規の感染者が毎年加速度的に増加し続けています。このような状況において、各国におけるHIV感染ルートを明確にする疫学情報を蓄積させて、感染拡大を防止する対策に応用することが重要です。また、これまでにHIV増殖を阻止する優れた抗レトロウイルス(ARV)薬剤が開発され、現在では、少なくとも先進国においてHIV感染症は制御可能な慢性疾患になりました。しかし、熱帯・亜熱帯のいわゆる開発途上国における状況は先進国とは異なり、HIV感染者の急増に併せて、薬価の高いARV薬剤の供給不足など、深刻な状況が続いています。