神戸大学がインドネシア国で行っているインフルエンザウイルス研究を紹介します。

インドネシア国は、WHO（世界保健機構）の集計では、すでに１００人を超える死者が出ていて、世界中で最多数です。患者は、現在も発生し続けています。ところが、インドネシア政府は、2006年当時保健大臣だった、Supari氏の政策の影響により、WHOに対してもウイルスや患者発生の詳細な情報を出さないなど、鳥インフルエンザの情報共有・公開に非常に消極的でした。そのような状況下で、2007年、神戸大学は、インフルエンザウイルス研究の第一人者である河岡教授を客員教授に迎え、インフルエンザ研究担当者を国内と現地においてインドネシア国との協力研究を開始しました。2007年11月に、同国研究拠点の大学に、鳥インフルエンザウイルス研究を安全に行うための施設を設立し、同国現地での研究体制を整えました。

わたしたちの研究活動により、インドネシア国で流行している鳥インフルエンザウイルスの遺伝子の特徴が年々変わる様子や、現在同国で蔓延している鳥インフルエンザウイルスの特徴がわかってきました。また、インドネシア国での人のインフルエンザウイルスの蔓延状況を調べたところ、雨期に流行している様子がわかり、新型インフルエンザウイルスの世界流行の際には、インドネシア国にも同ウイルスが蔓延していたことがわかりました。新型インフルエンザウイルスの発生の可能性が皆無ではない状況にある同国から、現地での研究結果を情報発信していくことは世界レベルでの感染症対策を考えたとき、とても重要なことだと考えています。