文部科学省科学技術人材育成費補助金 ポストドクター・キャリア開発事業
神戸大学生命医学イノベーション創出リーダー養成プログラム

Training Program for The Future Leaders of Innovative Study in biomedical Science


生命医学イノベーション創出リーダー養成プログラム *参加者体験記*

◆インターンシップ体験記◆

神戸大学大学院医学研究科 分子生物学分野  荒木 望嗣 さん
インターンシップ先:神戸天然物化学株式会社(平成24年4月から実就職)
インターンシップ期間:平成23年5月1日〜7月31日

 これまで私は主として大学の機関において研究を行ってきましたが、本プログラムを通して三ヶ月の間、産業を目的とする企業研究(インターンシップ)に従事させていただきました。企業に所属する研究者の印象としては、納期があるという事もあって非常に時間を大切にして仕事に取り組んでいることに気づかされました。実際に企業で働く研究者と触れ合うことで、要領よく実験計画を組み立てる事の重要性を学びました。
 また、私は核磁気共鳴(
NMR)を用いた生体分子の構造解析を専門としておりますが、インターンシップ先で様々な有機化合物のデータを解析する事によって、NMRの知識を更に深める事ができました。この事から自分の専門分野に特化せず、より広い視野を持って研究に取り組む事の重要性を再認識しました。
 以上のように私自身の体験から申しますと、民間企業での職務経験をもたないポスドク、大学院生にとってインターンシップはご自身の視野を広めるのに非常に良い機会ですのでぜひ体験して頂きたく思います。最後に企業研究に携わる機会を与えてくださった神戸大学、ならびに研修先である神戸天然物化学株式会社に大変感謝します。
 


早稲田大学理工学術院先進理工学研究科 生命医科学専攻  村田 篤 さん
インターンシップ先:ボン大学とMiltenyi Biotec社の共同ラボラトリ【ドイツ】
インターンシップ期間:平成24年9月1日〜10月31日、平成25年1月8日〜2月8日

 本研修では、開発研究に関する考え方やノウハウを修得し、開発プロセスの一部に参画することで実践的な経験を積むことを目的として、(1)最先端の医科学研究に必須の蛍光プローブを駆使したライブセルイメージングによる解析データの取得、および(2)取得した結果からツール開発へのフィードバックに関するプロセスを体験しました。具体的には、細胞内環境を可視化するための蛍光色素を用いて、細胞内で生じる変化を解析したり、タンパク質ラベル化剤を用いて、ラベル化したタンパク質の機能解析への応用可能性を検討したりしました。
 本プログラム参加によって、英語での提案書の作成やプレゼンテーションなどを経験できた他、大学での研究と企業における研究との相違点について身を持って学ぶことができた点は大きな刺激となりました。インターンシップにおける経費のサポート、コーディネーターによる企業とのマッチングのためのアドバイスなど、全面的なサポート体制が本プログラムでは整っています。企業での研究開発に興味のある方は是非とも本プログラムでのインターンシップを検討されてみてはいかがでしょうか。



◆短期留学体験記◆

神戸大学大学院医学研究科 消化器内科学分野 博士課程4年  松木 信之 さん
 このたび「生命科学イノベーション創出リーダー養成プログラム」の一環として、米国カリフォルニア州のパロアルトに2010年11月11日より17日まで短期留学をしました。
 当科の杉本真樹先生らとともに、米国退役軍人局パロアルト病院(Veterans Affairs Palo Alto Health Care System)の内視鏡センターを中心とした臨床現場の見学、杉本先生が手掛ける手術支援ロボット手術ナビゲーションの開発プロジェクトを推進するため企業(Intuitive Surgical社、Apple社)とのミーティング、さらには現地の医療関係者やスタンフォード大学の日本人会との国際交流などが目的でした。
 米国退役軍人局パロアルト病院は総ベッド数約900床と規模は非常に大きく、また教育研究病院としてスタンフォード大学医学部より年間1300人以上の学生やインターンが相互に行き来しています。内視鏡センターの見学では、日米での保険制度が異なる現状を体感し、内視鏡機器開発の充実した設備やスタッフの充実さに驚かされました。また米国の臨床業務サイクルや医療教育システムなど、なかなか知ることができない興味深い体験ができました。
 さらに実体験として、早朝7時のモーニングカンファレンスにて研究プレゼンテーションを英語で行いました。ネイティブとのカンファレンスは英語習得の絶好の機会になり、さらなる今後の努力の必要性を痛感しました。スタッフから多くの質問や今後の課題点などの助言もいただき、有意義な英語でのディスカッションとなりました。
 2日目の夕方は、スタンフォード大学の日本人会で定期開催されているL S J ( L i f e Science Japan)主催の第59回セミナーにて我々3人が口演しました。参加者が非常に熱心で質問も多数いただき、また公演後には現地の日本人の方と興味深い話もでき、日本の高度な医療にますます関心の高さを感じました。
 3日目はスタンフォード大学構内を見学しました。Clark Centerという大学内のラボも見学し、建物の全面がガラス張りでオープンな雰囲気が非常に印象的でした。スタンフォード大学はこれまで多数のIT関連会社の重要な人材を輩出し、医学研究においても著名な功績があります。その理由として医学研究を行うラボと、新しい物を実際に世に生み出していく企業との距離が非常に密接しており、イノベーションを創出しやすい土壌がそこにはあると感じました。将来的に、我々の大学も含めた日本の大学・大学院が目指す理想形がそこにはあるのではないかと感じました。
 企業とのミーティングも大きな目的の一つで、手術支援ロボット・ダビンチで有名なIntuitive Surgical本社を訪問しました。共同研究開発のプレゼンと代表取締役CEO、CTO、技術スタッフらとのディスカッションを行い、またダビンチの実際の製造工程を見学しました。またApple Inc.本社ではMacを用いたナビゲーションシステムについてのディスカッションと、日本の医療現場でのiPad活用の現状を報告しました。今までこのような企業との共同研究開発のミーティングに立ち会ったことはなかったため、非常に新鮮であったとともに、プレゼンテーション能力やビジネス活動、交渉力といったことの重要性を認識しました。
 プライベートでは、退役軍人局病院で働く看護師のホームパーティーに招いていただき現地の医療事情やヘルスケア事情などの情報交換もでき、楽しい時間をすごしました。 充実した中身の濃い短期留学となりました。今までには経験してこなかった分野へのモチベーションも高まるとともに、今後の自分にとって何が必要であるかも気づかせてくれた気がします。本当に貴重な経験となりました。若いうちに国際的視野を身につけるためにも、後輩の先生達にも是非続いていたただきたいと思います。