動物実験施設における災害対策マニュアル

(平成8年8月5日)

T.動物実験施設利用者用マニュアル

1) 身体の安全確保を行い、災害規模が小さければ初期消火等を行う。

2) 実験中の動物への対応

原則: 災害発生時には動物が飼育室あるいは実験室の外に逃亡しないよう万全を期す。

・実験中の小動物はケージに収容し、床あるいは飼育棚に戻す。

・覚醒下の大動物は繋留する。

・麻酔下で手術中の大動物については安楽死する。

3) 使用中の機器への対応

・運転を緊急停止する。

4) 使用中の薬品への対応

・落下しないよう床に置く等の対処をする。

・発火性・爆発性のある薬品については医学部が定める方法に従う。

5) ガス・電気・水道・酸素への対応

・直ちに使用を中止し、元栓等を閉める。

6) エレベーター使用中の対応

・直ちに近くの階に停止させ脱出する。

・脱出困難な場合は非常ボタンを押して守衛室に連絡する。

7) 飼育室・実験室からの脱出

・脱出時には動物の逃亡がないよう必ず扉を閉める。

8) 災害発生の通報

@ 動物実験施設職員の勤務時間(平日)

・同一階に大声で事態を知らせる。

・7階事務室に連絡する(内線電話が使用不能の場合は階段を使用して事務室に知らせる)。

A 動物実験施設職員の勤務時間(土曜日と休日の 9:00-17:00)

・大声で各階にいる人々に知らせ、守衛室に連絡する(内線5052)。

B 動物実験施設職員の勤務時間外

・守衛室に連絡する(内線5052)。

9) 動物実験施設外への脱出

・近くの非常口あるいは中央階段を使用して脱出する。

・脱出時には開けた扉は必ず閉める。

・エレベーターは使用しない。

10) 動物実験施設職員への状況報告

・後日、実験中の動物に対する対応及び脱出経路について報告する。

11) 災害後の機器の点検

・建物の安全確認後、各研究グループが所有している機器を点検し、正常運転が不能な場合は施設外に持ち出す。

・施設内の整備等の理由により、動物実験施設が機器の持ち出しを要請した場合は、すみやかに講座に持ち帰る。

12) 災害後の動物の確認と安楽死

・建物の安全確認後、災害時に放置した実験中の動物の状態について確認し、動物実験施設職員に対処を相談する。

・災害の規模が大きく全動物を適正に維持することが困難と判断された場合、動物実験施設と協議の上、研究者が実験用動物を安楽死する。

13) その他

・夜間動物実験施設を使用する場合は、停電を想定して、懐中電灯等を用意する。

・各自で必要と考えられる措置を実施し、後日動物実験施設に連絡する。



II.施設職員用

1.勤務時間内の場合の対応
  1) 身体の安全を確保し,災害規模が小さければ初期消火等を行う.
  2) 飼育作業中の動物への対応
・直ちに動物をケージに収容し,ケージを飼育棚に戻す.
・ケージの落下防止装置を確認する.
・飼育棚の転倒防止装置を確認する.
・上記が不可の場合は,ケージを床に置く

  3) 運転中の機器への対応
・オートクレーブ,ケージ洗浄装置等は直ちに緊急停止ボタンを押して機械を停止させ,電源を切る.
・時間に余裕があれば蒸気バルブを閉栓する.

  4)使用中のガス・電気・水道・蒸気への対応
・直ちに閉栓する.

  5) エレベータ使用中の対応
・直ちに近くの階に停止させ,脱出する.
・脱出困難な場合には非常ボタンを押して警務員室に連絡する.

  6) 飼育室からの脱出
・脱出時には動物が逃亡しないよう必ず扉を閉める.

  7) 災害発生時の通報・専任教官への連絡

    a.平日は7階事務室に連絡する.
・事務室担当者は災害の状況を確認し,専任教官に連絡する.
・専任教官の指示に従って館内放送する(放送不能の場合は,分担して各階に大声で知らせる.専任教官不在の場合は下記に示す指示命令系統の順位に従う)
・専任教官(専任教官不在の場合は指示命令系統の順位に従う)は災害の状況を確認し,施設長 (細胞生物学 饗庭 教授 内線5600) および動物実験施設担当事務官(内線5195)に連絡する.
    b.土曜日と休日は大声で各階にいる人々に知らせ,警務員室に連絡する(内線5052)

  8) 動物実験施設会議室への集合および避難
・一旦,7階会議室あるいは指定雛場所に集合する.
・指定避難場所
@ 基礎校舎北門付近,A 医学部本館前正面玄関付近,B 文化ホール東側広場,C 大倉山公園,D荒田公園

  9) 救出あるいは初期消火活動
・ 災害の程度が軽い場合には,専任教官等の指示に従い,逃げ遅れた人の救出および初期消火活動等を行う.

  10)職員・利用者の安否の確認
・ 施設利用者の状況や職員の作業場所を専任教官に連絡し,安否を確認する.

  11)動物実験施設外への脱出
・ エレベーターは使用しない.
・ 近くの非常口あるいは中央階段を使用して脱出する.
・ 脱出時には開けた扉は必ず閉める.

  12)災害後の安全確認と施設内の状況把握復旧作業
・ 事務専門官の安全確認の後に施設内に立ち入り,状況を把握する.

  13)復旧作業
・ 別紙参照


2.勤務時間外の場合

  1) 動物実験施設あるいは指定場所への集合
・可能な限り出勤する
・出勤できない場合は,専任教官に連絡する.
・動物実験施設に入室できない場合は指定避難場所で待機する.(出勤者が少数であっても,教官と連絡が取れるまで帰宅しない)
・指定避難場所: @ 基礎校舎北門付近,A 医学部本館前正面玄関付近,B 文化ホール東側広場,C 大倉山公園,D荒田公園

  2) 専任教官の指示に従って職員の安否・出勤の可否について職員同士で確認する.

  3) 安全確認後,施設内の状況把握
・事務専門官の安全確認後,施設内に入り,状況を把握する.

  4) 復旧作業
・別紙参照



3.職員の指示命令系統の順位

    施設長
     v
     v
     v
    専任助教授
     v
     v
     v
    助手  >>>>>  外注職員
     v
     v
     v
    事務室担当技官
     v
     v
     v
    飼育室担当技官


4.緊急時の電話連絡

  1) 勤務時間外

    基礎校舎警務員室
     v
     v
     v
    専任助教授  >>>>>  助手  >>>>>  外注員派遣会社
     v
     v
     v
    事務室担当技官  >>>>>  飼育室担当技官
     v
     v
     v
    施設長,動物実験施設担当事務官


  2) 勤務時間内

    各階の責任者
     v
     v
     v
    事務室担当技官  >>>>>  施設全体への連絡
     v
     v
     v
    専任教官
     v
     v
     v
    施設長,動物実験施設担当事務官



III.神戸大学医学部附属動物実験施設における地震等災害発生時の対応マニュアル

平成7年2月28日

 平成7年1月17日に発生した兵庫県南部地震(阪神大震災)により、本学医学部 附属動物実験施設も甚大な被害を受けた。本震災を教訓として、地震災害発生時の被 害を最小限にし、災害からの復旧を速やかに実施できる体制を整えることを目的とし てここに対応マニュアルを作成する。

1)地震発生当日から一週間以内におこなうべきこと

発生した地震災害の規模によっては、地震発生当日にすべてに対して対応するこ とが困難な場合も想定できるので、対応可能な事項から順次実施する。

@.出勤できた職員は至急施設長、専任教官および総務課長(または庶務掛長)と連 絡をとる。被害状況が収拾不可能と思われても、危険がないならば、連絡がと れるまで、施設内あるいは施設近くで待機する。

A.専任教官あるいは施設長の指示に従い、以下の対応を行う。
専任教官あるいは施設長は建物倒壊の危険等を考慮して指示を出す。この場 合、ヘルメット等を着用できるよう準備しておくことが肝要である。
a.施設全体の被害状況の概要把握
b.会議室等に対策本部を設置
一つの作業が終了するたびに対策本部に集合し、全体作業の進行状況を把 握しながら、次の作業の指示を出すことが効果的である。
c.職員の安否および出勤の可否の確認
公衆電話は、他の電話が不通の場合にも使用できる場合がある。キャンパ ス周辺の公衆電話が使用不能な場合においても、被災害地周辺の公衆電話が 使可能である場合がある。
d.飼育室外への動物の逃亡の有無の確認
逃亡している場合には、直ちに出勤者全員に連絡し、逃亡動物をケ−ジに 収容し、逃亡した飼育室の状況を確認し、逃亡防止策を講ずる。
e.飼育室内に逃亡動物がいる場合の動物の収容
f.水道、電気、電話、ガス、エレベ−タ、空調等の点検
ガス、水道については一旦元栓を閉じること。また、エレベ−タの運転再 開は資材の搬入・運搬に重要である。ただし、余震発生時にエレベ−タが停 止することがあるので、人は使用しない方がよい。
g.飼育器材や衛生器材を保管している物品庫および飼料庫の確認
使用可能な物資等の数を確認し、必要な物資等を取り出せる状況にする。 なお、定位置への整理は後日でかまわない。
h.給餌・給水ができる体制の確立
状況がきわめて厳しい場合には、動物の飲用水の確保についてのみ地震発 生当日に努力する。
・飼育装置等が移動している場合には、飼育装置を正規の位置に戻す。 地震発生当日は、給餌・給水ができる状態および安全な状態を確保する ことを目的とした移動にとどめる。位置の調整等は後日でかまわない。 多人数確保できる場合には、人力のみで動かすことも可能であるが、飼 育装置の損傷の原因になりかねない。自動車用のジャッキ2台と丸太4本 以上を用意し、丸太を飼育装置の下に入れることによって、飼育装置を動 かすことが可能である。
・動物用の飲用水の確保
地震発生時には高架水槽等に損傷が発生する場合があると同時に、高架 水槽等に異常がなくとも貯水槽あるいは揚水ポンプ等に異常がある場合 もあるため、これら全てを確認する必要がある。いずれにも異常がある場 合には、他の貯水槽等からの飲用水の確保が必要となる。この場合、水を 運搬するためのポリタンクや給水瓶等に水を注ぐためのヤカンが有用で ある。
・衛生処理用水の確保
飼育装置の汚物処理、飼育器機、飼育棚、飼育室、通路などの清掃・消 毒用の雑用水の確保も重要である。当施設の場合には農学部附属農場から 井戸水の供給を受けた。届けられた雑用水を貯水するためには、大型のポ リペ−ルが有効である。当施設の場合、動物屍体収置用の大型ポ リペ−ルを転用した。
・飼料、床敷等の在庫確認を実施し、必要に応じて発注を行う。
とくに、通常オ−トクレ−ブ滅菌を実施している場合には、滅菌飼料等 に配慮する必要がある。
i.動物屍体収置室の確認。
j.飼育動物の安楽死処分についての判断。
動物実験施設、医学部およびキャンパス周辺の被災状況および復旧の 見通しを確認し、動物の健康管理や適切な飼育管理が困難になると予想さ れる場合には、飼育動物の段階的な安楽死を施設長と協議する。導入困難 な特殊な系統動物を保護する意味においても、やむを得ない場合の飼育動 物の段階的安楽死は必要である。
k.医学部事務部との連携
l.国立大学動物実験施設協議会および文部科学省研究振興局学術機関課庶 務・学術資料係長への状況報告
地震発生当日あるいは翌日には一報を入れる。
m.動物実験施設利用講座はの通知
施設の被害状況の概要と復旧・運営について協力要請を行う。また、や むを得ない場合には飼育動物の安楽死を依頼する。


2)地震発生一週間後以降

@.飼育管理体制への立て直し
a.動物への給餌・給水を確立
b.汚物処理・飼育室の清掃・消毒等の衛生管理
c.飼育設備の位置調整・修理

A.施設機能の回復
a.倉庫・事務室・実験室等の整理・整頓
b.被害状況についてのリストの作成・予算要求
c.動物実験施設運営委員会の開催
被害状況、現在の飼育管理体制の報告、復旧方針の確認・了承、実験遂 行の可否等の審議


3)断水・ガスの供給停止が長期化する場合の飼育管理における工夫

a.マウス・ラット類の飼育
全動物を床敷飼育にし、ケ−ジに床敷を多量に入れて、ケ−ジ交換は行 わずに床敷交換のみを週一回実施する。給水瓶への補水あるいは充水にヤ カンの使用が効果的である。
b.ウサギ・イヌの管理
自動飼育装置あるいは簡易水洗飼育装置を使用している場合は、給水専 用のタンクを設置する。給水瓶を使用する必要がなくなり、給水瓶の交 換・洗浄・消毒の必要がなく、補水の手間も簡略化できる。専用タンクの 設置が困難な場合は飲水用の器あるいは給水瓶をセットする。給水瓶への 補水あるいは充水にはヤカンの使用が効果的である。
c.自動飼育機等の汚物処理
ドライワイパ−のゴム部分と柄の角度を90度にしたもので飼育装置 の末端に汚物を集め、ジュウノウあるいはチリトリ等ですくい取る方法が 効果的である。
d.飲用水の確保
学内で飲用水の確保が困難な場合には、外部機関に定期的に水の供給を 依頼する。あるいは給水瓶の洗浄・消毒を依頼し、充水して納入してもら う。
e.冬期における新生仔飼育室の保温
空調が停止している場合、温風器あるいはセラミックファンヒタ−等を 使用することによって、飼育室の温度をある程度維持できる。


4) マスコミや一般市民からの質問あるいは取材依頼等に対する対応

@.総務課長を窓口とし、施設長および専任教官の協議のうえ対応のしかたを決定 する。必要と思われる場合には、国立大学動物実験施設協議会および文部科学 省研究振興局学術機関課庶務・学術資料係長と協議する。
A.対応内容については国立大学動物実験施設協議会および文部科学省研究振興局 学術機関課庶務・学術資料係長に報告する。


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