肝臓疾患診察(矢野、南、斉藤、百瀬、平野、他)

 肝臓疾患に関わる診療とともに、 臨床研究・基礎研究を行っています。

肝細胞癌に対する治療・臨床研究
 肝細胞癌に対しては、肝胆膵外科・放射線科とも連携して、治療方針の選択決定を行っています。
2012年ではのべ222名の肝細胞癌での入院治療を行っており、肝動脈塞栓術(TACE)166例、経皮的局所治療(ラジオ波焼灼療法およびエタノール注入療法)72例、分子標的薬治療2例となっています。  肝細胞癌に対する治療は背景肝機能に与える影響も大きいことから、間接熱量計を用いて、血液検査ではわかりづらい肝代謝障害を調べることで、肝機能悪化をより早期に予測し、適切な栄養治療の介入を行うことができるように検討を行っています。また生命予後の予測も行えるように努めています。 近年、肝細胞癌の新規腫瘍マーカー(NX-PVKA)が治療後の肝機能悪化の早期予測因子であることも報告しています。  また、B型C型肝炎に由来しない非ウイルス性肝癌が増加傾向にあります。当院でもその臨床的背景について検討を行い、随時報告を行っています。

肝硬変に対する治療・臨床研究
2012年では、のべ44名の腹水、食道・胃静脈瘤、および脳症の入院治療を行っております。
特に脳症については交通事故など社会問題にも密接に関わっていることから、微小脳症の時点から診断を行い、
新規薬剤での治療効果を検討しています。

慢性・急性肝炎に対する治療・臨床研究
 
 2012年の肝炎あるいは肝腫瘍に対する生検処置は161例であり、まず安全で適切な検査処置が行えるようにしています。C型慢性肝炎に対するインターフェロン・リバビリン併用療法においては、微生物学教室とともに兵庫県下病院との多施設共同臨床研究を行っており、治療効果に関わるウイルス側因子の解析を行い、C型肝炎ウイルスのNS5A領域におけるIRRDR領域の変異が多い群では、治療による完全著効が得られやすいと報告しています。新規プロテアーゼ阻害薬との併用療法でも治療効果に関するウイルス側、ホスト側因子の解析について多施設共同研究を継続しています。 劇症肝炎例では内科的な血漿交換や血液濾過透析を中心とした肝臓補助療法を行うとともに、肝予備能・再生能の評価から、肝胆膵外科とも密接に連携して必要であれば時期を逃さず肝移植を行うことができるように治療を行っています。 B型肝炎例では、臨床研究としてB型慢性肝炎に対する核酸アナログ製剤とペグインターフェロン併用療法、drug freeをめざしたシークエンシャル療法など新たな治療法の開発のため多施設共同臨床研究を行っています。基礎研究として、最近増加傾向にある急性B型肝炎の遺伝子解析や抗ウイルス剤使用時に起こる耐性株のウイルス変異などの検討を継続して行っています。また感染病理学教室とも連携して、アジア各国のB型肝炎ウイルスの遺伝子型の違いや臨床病態なども検討しています。                文責:矢野 嘉彦