平成20年度 神戸大学 グローバルCOEプログラム

次世代シグナル伝達医学の教育研究国際拠点
−基礎・臨床医学実質融合によるClinician-Scientistの育成−

Global Center of Excellence for Education and Research on Signal Transduction Medicine in the Coming Generation − Bringing up clinician-scientists in the alliance between basic and clinical medicine −
講演会の様子

 平成22年8月23日(月)に臨床研究棟大講義室にて、第27回シグナル伝達医学グローバルCOE 学術講演会として、米国国立衛生研究所NIH NIAMS所長、分子免疫学・炎症部門部門長の John J.O’ Shea博士によるご講演が開催されました。本講演は、「The role of Stats in the changing epigenetic and transcriptional landscape of helper T cells」と題して、 免疫学の奥深さと面白さについて、最新のデータを交え、懇切丁寧に、情熱的にご講演して 頂きました。生体内免疫系において重要な役割を担うヘルパーT細胞の役割が広く知られています。 Tヘルパー(Th)のサブセットにより、CD4+ヘルパー未熟T細胞(Th0)は各Th1、Th2、Th17細胞などに 分化します。各サブセットは、発現する固有のサイトカインにより規定されており、その発現を 制御するのがSTATファミリー分子であると考えられています。しかしながら、ヘルパーT細胞系譜を 制御するSTAT標的遺伝子はほとんど知られておりませんでした。博士らは、クロマチン免疫沈降法と シークエンシング法を組み合わせたChIP-Seq法を駆使して、STAT4および6が結合するプロモーターの 制御下にある遺伝子の確認、および結合機能性を評価するためにヒストン修飾状態と遺伝子発現を ゲノムワイドで網羅的に解析し、各サブセットごとに勾配性を示した制御によりヘルパーT細胞セット へと分化する可能性があることを発見されました。一方、STAT分子の活性を制御するJAK遺伝子の変異は 関節リウマチ(RA)をはじめとする各種免疫疾患に関与することが見出されています。そのため、JAK阻害剤 についての最新の研究成果も免疫疾患の診断・治療を行う上で重要な知見と言えます。基礎と臨床の垣根を 越えて、多数の研究者が本講演会に参加され、また談話会においても活発で刺激的な討論がなされ、 盛会となりました。





<ラボミーティングの様子>




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