本研究開発の概要

 我々のグループは、これまで免疫系細胞や腸管上皮細胞機能を制御する食品因子としてキノコ由来の多糖類や、昆布由来食物繊維の研究を行ってきました。 これまでに、キノコ由来多糖は、マクロファージを活性化させること(Mizunoet al, Int. J. Med. Mushrooms, 8,223-229, 2006)、 IL-12産生を促進しアレルギーを軽減させること (Mizuno et al., Int. J. Med. Mushrooms,5, 397-403, 2003, Mizuno, Functional Food and Health, ACS Books,399-407,2008)、 腸管上皮細胞を介しても、免疫細胞を活性化できること (水野雅史、きのこの生理活性と機能、128-134,2005)を明らかにしています。
 また、昆布由来食物繊維であるフコイダンは、 独自開発した抗フコイダンモノクロナール抗体(Mizuno et al., Biosci. Biotech. Biochem., 73(2),335-338, 2009)で 体内動態を検討した結果、ほとんどが糞として排出されました。 また、フコイダンはマクロファージの活性化を抑制しました(Tanoue et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 374(3), 565-569, 2008. Mizuno et al., Biosci. Biotech. Biochem., 73(10), 2324-2325, 2009)。 さらに、共培養系実験から小腸上皮細胞中のNADPHオキシダーゼを活性化することで過酸化水素水を発生させること、マクロファージの活性化を抑制することを明らかにしました。
 これらの結果から、食物繊維は、粘膜免疫システムを介して炎症やがんを制御、予防する可能性が示唆されます。生体内での食物繊維の作用を解明し、機能性食物繊維としての有効性をヒトレベルで明らかにすることにより、農作物の新たな付加価値に寄与できると考えます。しかしながら、これらの食物繊維はこれまでに受容体など発見されておらず、その分子機序がほとんど不明です。
 そこで、本申請では、臨床応用に向け、これまでに知見を得ている機能性食物繊維の作用機序を、メタボロミクスにより作用メカニズムを解明します。ヒトレベルでの安全性、さらには、さまざまな生活習慣病患者にどのような効果をもたらすかを明らかにします。また、さまざまな農水産物中の機能性食物繊維含有量の分析法の確立を行い、主要な農産物等に含まれる含有量のデータベースを作成します。続けて、効率のよい食物繊維の精製法を確立するとともに、多量の有効成分を含有する農作物を選別・育成します。
  以上の実験により、機能性食物繊維成分を高含有する農産物等を用いて、生活習慣病の新規予防法の開発を行います。









研究代表者:吉田優(国立大学法人 神戸大学)





研究分担者:水野雅史(国立大学法人 神戸大学)



研究分担者:金沢和樹(国立大学法人 神戸大学)



研究分担者:金野尚武(公益財団法人 岩手生物工学研究センター)



研究分担者:尾島孝男(国立大学法人 北海道大学)



研究分担者:岸本由香(松谷化学工業株式会社)



研究分担者:杉村留美子(北海道文教大学)