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色素性乾皮症ってどんな病気?

日光によって引き起こされる遺伝子の傷を修復するしくみに障害があるために、遺伝子の傷が修復されないまま残ってしまう遺伝性の病気です。そのために日光露光部の皮膚にしみがたくさん生じ、皮膚が乾燥し、若いうちから多数の皮膚がんが生じる病気です。日焼けの症状が非常似ひどく出る事が多いですが、日焼けの症状が出ないまま進行して行くこともあります。 日中はまぶしいとか、紫外線による眼の障害が出ることもあります。また、日本ではXPの患者さんの6割以上に原因不明の神経症状を合併しています。
この病気にはA-G群とV型の8つの型が知られています。世界中にある病気ですが、日本での頻度は諸外国と比べると高く、500--600名の患者さんがいると推定されます。特にA群とV型が多いことがわかっています。両親のうちの両方がこの病気の遺伝子を持っている(保因者)場合、子供が発症する確率は1/4となります。

最初にどう言う症状で気づかれますか?

重症例では、生まれてすぐの日光浴でほんの5分しか日に当たっていないのに、顔がぱんぱんに赤くはれ、その赤みと腫れが日を追う毎にどんどんひどくなり治まるのに1週間くらいかかる、といった異常な日焼けの反応で気づかれる事が多いです。 一方で、日焼けの反応があまり強く出ないタイプもあり、そういうタイプではかえって気づかないうちに、紫外線に当たってしまい皮膚癌が生じて初めて診断される例もあります。普通のそばかすにしては範囲が広いとか、こどもなのに、手の甲にしみがたくさん出来ている、 と言った症状があれば、皮膚科専門医を受診して相談して下さい。

XPではどのような症状がおきますか?

型によって症状は異なります。共通する症状は、日光露光部に発生する皮膚がんです。しかし、すぐに皮膚癌が生じるわけではなく、最初のうちは日光に繰り返しあたるうちに、露光部の皮膚にしみが増え、皮膚が乾燥します。症状の重い病型では生後すぐに日光照射後に激しい日焼けの反応が生じます。 たとえば、5分外出しただけでも真っ赤に顔が腫れ、涙が出て、日焼けの反応が2日目、3日目と増強し、3~4日後がピークとなります。眼の白目の部分も紅く充血します。そのようなことを繰り返すうちにしみ、皮膚の乾燥などが増えてきます。そのままほっておくと、10歳になるまでに多数の皮膚がんが顔面などの日光にあたる部位を中心に出現します。 V型やC 群の患者さんでは日焼けの反応がひどいという症状ははっきりしないことも多く、日の当たる部位に10代でしみがたくさん生じ、日光曝露量にもよりますが、20代から露光部に皮膚癌が生じ始めます。神経症状については、日本においてはA群の患者さんで多くみられます。早期に症状が現れる場合には、頚のすわり、ひとり立ち、言葉の発達、などが遅れる場合もみられますが、 あまり、気づかれないまま過ごすこともありです。3-5歳頃から難聴、転びやすいなどの神経症状が出始めますが、通常の意思の疎通は十分に行なえます。7-8歳頃から一旦習得した言葉が不明瞭になったりすることもあります。その頃から、体のバランスを保ちにくく、歩いていてもバタンと前につんのめって転ぶことが多くなります。10歳を過ぎた頃から神経、知能、身体的全ての面で症状が進みます。 (詳しくは難病センターのHP http://www.nanbyou.or.jp/entry/112をご覧下さい。)

どのように診断されますか?

皮膚科専門医が診察し、XPが疑われる場合には種々の検査を組み合わせて確定診断を行ないます。神戸大学医学部部付属病院や大阪医科大学では遺伝子診断が可能ですXPのなかでもどのタイプかという事と同じタイプのなかでもどのような遺伝子異常かという事で症状が異なってきます。 早期に診断を確立して、必要な遮光を行ない、神経症状の進行に対応する事が大事です。

神戸大学を受診する場合にはどうすれば良いですか?

初めて受診される場合には紹介状をお持ちになって月曜日に受診下さい。神戸大学の地域連携を通して主治医の先生から予約を取って頂く事も可能です。2回目からはXPの専門外来を第4水曜日に設けております。 XPの患者さんができるだけ一度の来院ですむよう、XPの診療を担当する各診療科のXP専門の担当医が第4水曜日に対応できる体制を整えております。 また、院内で神戸大学XP診療グループを立ち上げ、皮膚科、神経内科医、耳鼻科医、小児科医、リハビリテーション(整形外科)医が定期的に集まり、診療しているXP の患者さんの情報を共有して、知識を深め、診療方針の相談を行なったりしております。

治療はどうしますか?

残念ながら、現時点で患者さんを完全にXPから解放できるような治療法はありません。皮膚症状については、遮光を確実にすることで皮膚癌発症をかなり防げるようになってきました。 しかし、診断が遅かった場合には診断された時点で既にそれ迄に長期に紫外線にあったっているため、その後も次々と皮膚癌が生じてきます。できた皮膚癌は早めに見つけて、大きくならないうちに切除します。 歩行困難などの症状が出た場合には、整形外科で手術をしてもらったり、装具をつけて矯正をしたりすることもあります。症状によって、それに対応した治療になりますので、定期的に医師の診察を受けることが必要です。 神経症状については良い治療法がないのが現状です。神経症状が何故おこるか、どうしてひどい日焼けが起きるのかといったことは未解明です。それが解明されることにより、良い治療法がみつかると思われます。現在、世界中でXPについての研究を進め、治療薬を見つける努力をしています。

患者会はありますか?

“XPつくしんぼの会(神戸)、”XPふれっくるの会(大阪)“、“XPひまわりの会(東京)”と3つの患者会があり、それを統合した全国色素性乾皮症(XP)連絡会があります。(HP:www.xp-japan.net)